研修の流れ

朝倉教授は札幌市の小学校教員としての豊富な経験を持ち、現在は札幌国際大学において教育研究に取り組まれており、研究テーマの一つとしてPBL授業開発にも携わっています。
今回の研修では、朝倉教授の実践的な知見と、DISが実施している授業デザイン研修を掛け合わせ、グループワークを基本に先生方が主体的・対話的な活動を体感しながら学ぶワークショップ形式のアクティブ・ラーニング型研修を実施しました。全国から小学校・中学校の先生方にご参加いただき、教科横断型学習や探究・課題解決型学習(プロジェクト型学習:PBL)への理解を深めながら、「総合的な探究の時間」などにおいて知識や技能を活用・応用し、課題解決に必要な資質・能力を育成する授業づくりについて考察しました。研修の最後には学びの成果としてPBL指導計画案の作成に取り組みました。

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主体的・対話的で深い学びを実現する授業デザイン研修 - 教育ICT総合サイト

1部 これからの社会で必要な資質能力とは

研修の前半では、資質・能力とは何かを整理しながら、これからの社会で子どもたちに求められる資質・能力についてグループごとに議論を行いました。
話し合いの中では、資質として柔軟性や創造性、共感力、主体的に学ぶ力、メタ認知、使命感、責任感などが挙げられました。また、能力としてはプレゼンテーション力や聴く力、課題発見能力、コミュニケーション能力などが必要であるとの意見が出されました。
参加者はそれぞれの学校現場での経験をもとに意見を積極的に交わしながら、知識の習得だけでなく、他者と協働しながら課題を発見・解決する力の重要性について議論を行っていました。また、各グループの考えを共有することで新たな視点や気づきが生まれ、これからの社会で求められる資質・能力についてより多角的に理解を深めている様子でした。

2部 主体的・対話的で深い学びを実現する授業デザインとは

第1部で整理した資質・能力を育成するための主体的・対話的で深い学びを実現する授業デザイン方法として、プロジェクト型学習(以下、PBL)の説明がされました。
PBLは、学習者が決められた期間内に共通の目的を達成するために、チームで調査研究・ものづくり・発表などに取り組む「探究型の学習方法」です。活動の中で様々なアイデアを論理的に話し合いながら、必要な知識やスキルを習得していきます。学習意欲の向上や、他者との協働の充実、主体的に学習することによる理解の深まりや、自己管理スキルの向上などといったメリットが挙げられます。PBLの枠組みは学習指導要領の「総合的な学習の時間」の目標とも関連しており、探究的な学習の中で児童・生徒自身がPDCA並びにAARサイクルを回しながら学びを深めることが重要です。

PBLへの理解を深めるために、先進自治体の小学校でPBLに取り組んできた生徒たちのプレゼン動画を視聴しながら、生徒たちが何を学び、どのような知識・技能や資質・能力を活用・応用して、どのような成果を生み出したのかをグループで洗い出し・分析するワークを行いました。
課題発見から調査・分析、改善に向けた試行錯誤に至るまでの一連のプロセスについて整理する中で、生徒たちが教科で学んだ知識・技能を活用して学習を進めていることや、プレゼンテーション力・課題発見能力・学び続ける力などの資質・能力を発揮していることについて様々な意見が挙げられました。また、国語・算数・理科・社会などの複数の教科で身に付けた知識や技能が活用されていることや、データの分析や振り返りを繰り返しながら学びを深めていく過程について活発な意見交換が行われていました。参加者たちは生徒たちが社会とのつながりを意識しながら課題解決に取り組む姿を分析することで、PBLへの理解を深めている様子でした。

3部 PBLデザインの作成

第3部では、朝倉教授より「総合的な学習の時間」における授業デザインについて解説いただきました。朝倉教授は、知識・技能の習得に加え、思考力・判断力・表現力、学びに向かう力、人間性を「総合的な学習の時間」を通して育成していくことの重要性について説明されました。
朝倉教授は、「総合的な学習の時間」においては、活動の実施自体が目的化してしまうのではなく、その活動を通してどのような資質・能力や、概念を身に付けさせたいのかを明確にした上で授業を設計することが重要であると説明されました。また、学びには「何を学ぶか」という内容知と、「どのように学ぶか」という方法知の両方が必要であり、個別の知識を習得するだけでなく、その背景にある概念の理解を深めることが探究的な学びの土台になるとお話いただきました。
子どもたちに学びを委ねるだけではなく、教師が育成したい概念や資質・能力を見据えながら適切な教材や学習環境を整えることが非常に重要であると説明されました。

研修の最後には、これまで学んだ資質・能力やPBLの内容を踏まえ、グループごとにPBL指導計画案の作成に取り組みました。
各グループでは「地域の良さを知る」「街を元気にする」「地域を自分たちの力で活性化する」などを身に付けたい概念に設定し、地域の特色や課題を題材とした授業デザインが検討されました。地域の歴史や産業、観光資源や社会課題などを学習材料として活用しながら地域の人々や企業へのインタビュー、フィールドワークなどの実社会とつながる活動を取り入れるアイデアが挙げられました。
今回は全国各地から先生方が参加していたこともあり、それぞれの地域が抱える課題や特色を踏まえた多様な視点から意見が出されていました。地域の魅力や課題を調査・分析するだけでなく、その成果を発信したり、課題解決に向けた提案や実践につなげたりすることで、発信力や課題解決力、協調性などの資質・能力を育成する授業デザインについて活発な議論が行われていたことが印象的でした。
朝倉教授からは、どの班の計画案においても、地域について調べること自体を目的とするのではなく、その先にある地域社会の課題や将来について考える視点が盛り込まれていた点が共通して見られたとのお話がありました。また、今回の議論では地域課題をテーマとしたアイデアが多く挙げられた一方で、STEAM教育の視点から理数系の学びやものづくりの要素を取り入れることで、より探究的な学びの可能性が広がるとお話いただきました。

研修後の声について

参加された先生方からは、「総合でPBLを実践するために必要な考え方を学ぶことができた」「資質・能力や概念形成について理解が深まった」といった声が寄せられました。グループワークを通して対話的に学んでいただいたことで、PBLの進め方や授業設計について理解を深めていただけたようです。
さらに、「総合の授業づくりに活かしたい」「学校で進めている総合をより良くしていきたい」といった声や、「これまで取り組んでいた方向性は間違っていなかったと感じた」といった感想も寄せられました。意欲的に取り組んでいただいたことで、研修で得た知見を自身の実践と結び付けながら、今後の総合的な学習の時間の充実に向けて考えを深める機会となったことがうかがえました。

インテル® Skills for Innovation(以下、SFI)とは?
今回の研修では、PBL(プロジェクト型学習)のマインドセットを中心に扱いました。
一方でこれと並行して学びを更に発展させるアプローチとして注目されているのが、SFIです。SFIは未来の社会や職場で必要となるスキルセットとマインドセットの双方を育成することを目的としています。テクノロジーを駆使して問題を解決する能力、批判的な思考、そして創造性に溢れるアプローチを身に付けることが求められます。
当社でもSFI研修を実施しており、STEAM教育や探究学習のさらなる発展にお役立ていただけます。
インテル® Skills for InnovationベースのSTEAM教育を実現する授業デザイン研修 - 教育ICT総合サイト