宮城県本吉響高等学校について

宮城県本吉響高等学校がある気仙沼市は宮城県の北東部に位置する港町で、漁業・水産業が盛んです。内陸部では農業も行われており、豊かな食材にも恵まれた地域です。

本吉響高等学校は、昭和21年に農林学校(宮城県津谷農林学校)として設立され、その後「普通科」「産業技術科」「家政科」の3学科体制を経て、現在は「総合学科」に一本化されています。教育目標の1つに「自然や人と響き合い、環境と調和して生きていくことができる感性豊かな人間の育成を目指す」を掲げており、進学教養・産業情報・生活表現・人間環境など多様な系列の中から生徒が主体的に学びを選択できる環境が整っています。

さらに同校は、文部科学省が推進する「高等学校DX加速化推進事業(DXハイスクール)」の採択校であり、現在は採択2年目となります。

この2年間で生徒の学習活動の幅を広げる環境整備は整いましたが、今後はより地域に根差した課題解決を生徒たちが主体的に探究できるような本吉響高校式の授業デザインを確立する必要がありました。その中で当社が提供する、主体的・対話的で深い学びを実現する授業デザイン研修がマッチすると考え、研修実施に至りました。

研修の流れ

本研修は、グループワークを基本に先生方が主体的・対話的な活動を体感しながら学ぶワークショップ形式によるアクティブ・ラーニング型の研修です。子どもたちの「主体的で対話的な深い学び」を実現するために、教科横断型学習や探究・課題解決型学習(プロジェクト型学習:PBL)についての基礎的理解を深めることが目的となります。「総合的な探究の時間」などで自治体や学校が目指す教育目標に沿って、教科横断的に知識や技能を活用・応用し、課題解決に必要な資質や能力を育成する授業設計や指導実践を目指します。

研修の前半では資質・能力とは何か?を整理しつつ、これからの社会で必要な資質・能力について先生方同士で議論していただきました。話し合いの中で、先生方からは主体性や協調性、問題解決能力など探究の学習に関連するキーワードが活発に飛び交っていました。

特に定量的な評価が難しい資質においては複数回にわたってルーブリック評価をするなど、方法を工夫する必要があるという意見もありました。各グループでの意見を全体に共有する場面では新たな気づきを発見し、資質・能力に対する理解がより深まった印象でした。

前段で考えた資質・能力を育成し、子どもたちが主体となる学びの授業デザインを実施するためのポイントとしてプロジェクト型学習(以下、PBL)の説明がされました。

PBLとは、学習者が決められた期間内に共通の目的を達成するために、チームで調査探究・ものづくり・発表などに取り組む「探究型の学習方法」です。活動の中で様々なアイデアを論理的に話し合いながら、必要な知識やスキルを習得していきます。
達成したい目的を明確にすることで学習意欲が高まり、さらに試行錯誤や情報収集を通じて知識の活用・応用が促されることで、学力の向上が期待できます。

また、他者との協働を通じて主体的な自己管理スキルが育まれるなど、児童・生徒が相互に成長を促し合う学習環境が生まれます。
PBLの枠組みは学習指導要領の「総合的な探究の時間」の目標とも関連しており、探究的な学習の中で児童・生徒自身がPDCA並びにAARサイクルを回しながら学びを深めることが重要です。

続いて、先進自治体の中学校でPBLに取り組んできた生徒たちのプレゼン動画を視聴しながら、生徒たちが何を学び、どのような知識・技能や資質・能力を活用・応用して、どのような成果を生み出したのかをグループで洗い出し・分析するワークを行いました。
課題発見、調査・分析から解決に向けた協働・改善に至るまでのPBLの一連の流れの中のそれぞれの過程で、生徒たちの思考や行動を整理していくことでPBLに対する理解を深めている様子でした。また、教科との関連性について議論する場面も見られ、ICTの活用により教科横断的な学びが実現しやすくなる点や、テクノロジースキルがどのように活用されているかについて、担当教科を超えて活発な意見交換がなされていました。

研修の最後には、これまで学んだ資質・能力の育成やPBLの内容を踏まえ、単元計画の作成に取り組みました。
作成にあたり、本吉響高等学校の3つの教育目標を基盤にテーマを設定いたしました。

【教育目標】
・自然や人と響き合い、環境と調和して生きていくことができる感性豊かな人間の育成を目指す
・高度情報化社会に適切に対応し、知的で且つ創造的に生きて行くことができる人間の育成を目指す。
・生徒一人ひとりの個性を生かすとともに、誠の心をもった人格形成や将来の自己実現に向けた教育を目指す。

具体的な単元計画のアイデアとしては、品種改良した特産物をブランド化して地域活性化につなげる取り組みや、そのブランドのイメージキャラクターを3Dプリンターで制作する案、さらに地元農家と直接やり取りしながら課題把握を行うという案が挙げられました。

地域の特色や課題に着目し、農業や地域連携・地域活性化などを中心とした授業設計が検討されていたことが印象的でした。先生方は地域の社会課題に対してICTの力を活用しながら解決しようという姿勢で議論が活発に行われていました。

研修後の声、今後の展望について

参加された先生方からは研修実施前後で、「探究学習の進め方の筋道が明確になった」という意見や、「ICT機器の適切な活用タイミングが理解でき、基礎的なリテラシー向上につながった」という意見が挙がりました。

本吉響高等学校でDXハイスクールを推進されている菅原教諭は、『例えば、「このタイミングでICTを活用できないか」と教員自身が自発的に考えるようになるなど、活用のハードルが下がったことは、今後の授業実践力の向上に大きく寄与するものではないかと考えます。

特に次年度は、学校全体で「総合的な探究の時間」をより個人の探究課題にフォーカスした形へとシフトチェンジする計画です。このタイミングでDXハイスクール採択校としての取り組みを掛け合わせることで、探究計画のブラッシュアップと教職員の資質向上を図り、生徒の学習意欲をより一層高めていきたいと考えています。』と今後の展望を語られました。

最後に

研修を通して、先生方がPBLの本質や資質・能力の育成について具体的なイメージを持ち、地域課題を踏まえた単元計画へとつなげていたことが印象的でした。

本吉響高等学校では現在DXハイスクール3年目の継続申請も検討しておりますが、今回の研修で得た知見やアイデアが学校全体のICT活用の活性化や探究的な学びの充実の後押しするきっかけになることを心より願っております。

インテル® Skills for Innovation(以下、SFI)とは?

今回の研修では、PBL(プロジェクト型学習)のマインドセットを中心に扱いました。
一方でこれと並行して学びを更に発展させるアプローチとして注目されているのが、SFIです。SFIは未来の社会や職場で必要となるスキルセットとマインドセットの双方を育成することを目的としています。テクノロジーを駆使して問題を解決する能力、批判的な思考、そして創造性に溢れるアプローチを身に付けることが求められます。
当社でもSFI研修を実施しており、STEAM教育や探究学習のさらなる発展にお役立ていただけます。
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