教育委員会や小中学校等などの関係者への研修も Web 会議システムを活用した形へとシフトしている。

鳥取県では、県内 4 つの地域を ICT 活用教育の推進地域とし、その学区内に設けられた推進校での実践事例などを随時発信していくといった「とっとり GIGA スクール構想推進チャンネル」の取組が行われている。これは Web 会議システム「Google Meet」を活用して推進校での実践例を配信するといったものである。他にも外部の ICT 活用教育アドバイザーによる講演会や ICT 活用に関する助言などを県内の各校に配信するといった取組も行われている。

また、整備された端末を使い始める前の状態を同県では「ステップ 0」と位置付けているが、例えば “端末はどこに保管するのか” や “どのタイミングで児童生徒が自分の席に端末を持ってくるのか”、“充電は誰がするのか” といった現場から聞こえてくる疑問には、通知や掲示物をはじめとした情報発信によってサポートが行われているという。

こういった取組に欠かせないのが、高性能な PC であり、スムーズに配信するためのネット環境、さらには精細な映像を撮るためのカメラだ。また、「おてがる遠隔授業パック」に含まれているインテル® Core™ プロセッサー・ファミリー搭載の高性能な PC は、とにかく動作が軽く、PC やアプリの起動、処理待ちなど、無駄な時間を費やさずにストレスなく使いこなせる、と吉田氏は高く評価する。また、従来は対面形式で行なわれていた研修が、コロナ禍によって Web 会議システムを主体としたものに変わったからこそ、高速な Wi-Fi ルーターをはじめ、高画質なカメラも必要不可欠でフルに活用していると続けた。

このように「おてがる遠隔授業パック」を活用することで教育に関する意識が大きく変わり、今までの教育と ICT を組み合わせた、前述した取組のようなアイデアが次々と生まれ、実現できるかを実際に試したり練習したりするといった場が設けられるようになったことが大きな一歩だと吉田氏は語った。

フォロー体制を整え ICT 活用を促進 将来的には自主性を重んじていきたい

ICT を活用した教育が浸透しつつある鳥取県だが、当初は課題もあった。いくら ICT の教育環境を整えたとしても、実際に利用する教員のスキルが追い付いて行かなければ、ICT の活用は進まない。また、積極的に ICT を活用する教員とそうでない教員の差が生じていることも課題だという。鳥取県では、「とっとり ICT 活用ハンドブック」を作成、県内のICT教育の方向性を示し、実際に市町村で導入された端末を研修端末として各学校に持ち込み、授業での活用法や操作方法を研修する「出かけるセンター」と呼ばれる取組も学校側の端末導入前から実施している。前述した「とっとり GIGA スクール構想推進チャンネル」など市町村教育委員会や学校向けのフォローのほかにも教員向けの対面研修を実施している。これらに加え、Web 会議システムを活用し、「Google Workspace」の機能を解説するマニュアルの配布や、毎週決まった時間に「放課後ワンポイントレッスン」と呼ばれる 10 分から 20 分程度の「ICT を授業活用するポイント」の配信を行うほか、短時間で操作が覚えられるようなミニ動画を用意するなどフォロー体制を整えたことにより、教員のスキルアップはもちろん活用に対する意欲も上がっているという。

一方で、「県の教育委員会がすべてをサポートするといった取組は、将来的に教員の自主性を妨げてしまうのではないかと危惧している。」と吉田氏は語る。「しかし現段階では、ICTを活用してもらうために県の教育委員会が教員を牽引して学校ごとの差をなくすのはもちろん、学校内においても教員ごとの差を無くすことが優先事項です。そして、ICT が十分に活用されるようになったら徐々に手を離していき、教員が自主的に工夫を凝らした授業を展開してくれることを期待しています。」と締めくくった。

「おてがる遠隔授業パック」によって、ゼロスタートからでもスムーズに Web 会議を行なうための環境を構築することが可能。