ネット環境が無い状態からスタートも 「おてがる遠隔授業パック」がすっきり解決

北海道の札幌市に位置する札幌市立稲穂小学校は、2020 年 9 月よりダイワボウ情報システム株式会社 (以下、DIS) が提供を開始した「おてがる遠隔授業パック」のモニター校として運用を実施している。

同校には、元々 40 台のデスクトップ PC が設置されていたものの、リース期間末期ということもあり機種も古く不具合によって動作しない PC も存在するなど、決して恵まれた環境とは言えない状況が続いていたという。加えて、コロナ禍による一斉休校が行なわれた際、双方向の遠隔授業ができる設備を持ち合わせておらず、動画を配信するに留まったという苦い経験を味わうことになった。そんな折、ICT 教育に明るく、自身も Google 社の認定トレーナー資格を取得している同校の菅野光明校長が DIS の「おてがる遠隔授業パック」のモニター募集を知ることになる。たとえ休校という事態に陥っても「子どもたちの学びを止めない」という強い信念が応募へと動いたキッカケとなった。

そもそも、情報機器やその活用法に明るい同校の菅野校長は、以前から ICT 活用に対して積極的な姿勢を持ち、その重要性や活用法について学校内外を問わず研修会を開いたりICT 教育を推進したりと準備を進めてきた過去がある。しかし、遠隔授業に関しては、 ネット回線が乏しく外部との接続がままならない状況が悩みの種だったという。しかし、インテル® Core™ プロセッサー・ファミリーを搭載する高性能なノート PC に加え、Wi-Fi ルーター、マイクなどがパッケージされた「おてがる遠隔授業パック」を導入したことで状況は一変。ストレスなく使えるノート PC に安定したネット環境が使えるようになったことで、双方向による遠隔授業が可能となり、行事のWeb会議システムを活用した配信の準備もすすめることができたと同校長は振り返る。

学校にWi-Fi環境が整う前に実施した研修会
処理能力の高い PC と高速な Wi-Fi ルーターによってストレスのないクラウド体験が可能となった。

使いやすい PC だから 実際に触れて親しみを持ってもらえる

教員への研修にも変化が表れたという。従来は、GIGA スクール構想がなぜ必要か、日本の現状についてなどの学びが中心だったが、「おてがる遠隔授業パック」導入後は、実際に研修の場へ高性能なノート PC と Wi-Fi 環境を手軽に持ち込めるようになり、クラウドの体験や共同作業といった実践的なものへと変化し、分かりやすく伝えられるようになったとのこと。こういった実践的な研修を積み重ねることで、最初は抵抗感を持っていた先生方も積極的に機器を扱うようになり、今ではアイデアを出しあいながら新たな活用方法を見出している。先生方の動き方が能動的になったことは非常にありがたい。と、「おてがる遠隔授業パック」導入について振り返った。

さらに、菅野校長自らが ICT に明るく積極的な活用を目指していることから、稲穂小学校は札幌市内外の学校から相談を受けるまでになっている。“子どもの学びは止めない” しかし、無理のない形で遠隔授業等を進めるための取り組みと研修がすでに始められているという。同校では、2021 年の 4 月から 1 人 1 台体制が確立しているが、その半年以上前に「おてがる遠隔授業パック」を導入したことで遠隔授業開始までの準備期間が長く取れたことが大きなアドバンテージだったと菅野校長は語る。教員に対し、キメ細やかな研修を行なうことで活用法の周知を徹底。遠隔授業は、すでに学級閉鎖や学校に出席できない児童に対して行なわれてきた実績があるが、特別な準備をしないで、普段と同じように授業を行なうことをマインドセットした。内容については、日常の授業とあまり差が無く、無理なくできるような形でやっていきたいと同校長は語る。

特別なことをしない、頑張りすぎない 普段通りの授業を意識することが大切

稲穂小学校の遠隔授業は、明確な時間割を定め決まった時間にWebへアクセスする手法を取り入れている。すでに学級閉鎖をはじめ、様々な理由で学校に登校できなくなってしまった子どもに対しての授業実績もあり、その有用性や効果についても検証が行なわれている。

まず、児童たちは登校後に行なわれる朝の会、そして 1 回 30 分程度の 1 校時と 2 校時の授業、そして終わりの会にアクセス。1 校時の遠隔授業では、その日に取り組む課題の掲示と教材の配布を中心に進行。そして、例えば算数なら教員が解き方を見せたり、国語なら漢字の書き順を見せたりといった具合に見本を示すことで理解度を深めるといった工夫が行なわれている。児童は、1 校時で与えられた課題を約 2 時間設けられている家庭学習の時間を使って行なうといった流れになる。そして、遠隔授業の 2 校時目は、家庭学習で行なった課題の答え合わせやまとめを中心に進行。教員が解答を示す手法や児童に発言の場を与えて発表させるといった手法も取り入れる。その際、必要に応じてもう一度、問題の解き方などの見本を見せることを想定している。ここまでの流れで午前の授業は終了。学年によっては、午後の課題を掲示。学習だけでなく、運動や家庭でのお手伝いといった課題を掲示するのも有効だと考えているという。

また、菅野校長は、遠隔授業のポイントとして以下の 3 つを掲げている。

① 特別なことをしない。頑張りすぎない
② 家庭での学習内容を明確にする
③ どの子どもも課題に取り組める内容にする

① の「特別なことをしない。頑張りすぎない」は特別な教材を用意する必要も無く、いつもと同じ授業を行なうことを意識すればよい。また、長時間の授業は行わない。あくまでも普段の授業を意識するとのことだ。

②の「家庭での学習内容を明確にする」は、自己調整力が必要となるため、遠隔授業よりも難しいという。教員から与えられた課題をいかに家庭で確実に学習するか。その解決には、デジタルのみならずノートに学習結果を残すアナログ的な手法を使うことで保護者も結果が見やすく有効とのことだ。課題の提出もデジタルではなく、書き写したノートの写真で十分だと菅野校長は語る。

そして ③ の「どの子どもも課題に取り組める内容にする」は、端末操作が難しいと児童が学習に参加できない恐れがあるため、操作を簡素化。その一環として先に述べたようにノートに書き起こすといったアナログ的手法を取り入れるのが有効。できるだけ普段と同じ授業をすることが大切と繰り返した。

リアルタイム配信だけでなく、同校ではデジタルを活用した授業デザインにも注力。例えば理科の場合、ミニトマトの種の観察をデジタル化。自由自在に拡大縮小したり、見る角度を変えたりすることで細かな部分まで観察が可能。従来は実物を見ながら観察していたとのことだが、この取り組みを始めたところ、今までに見たことが無いほど細かな観察記録を描く児童が増えるなど効果が実証されている。

デジタルのメリットを活かしつつも、手書きの良さも融合した新たな学びのカタチ。その実現に欠かせないのは、ストレスフリーで使える高性能な PC であり、どこでもネットにつながる快適な Wi-Fi。「環境面が整わないことで諦めてしまう学校もあると思います。「おてがる遠隔授業パック」のように手軽に使える機材でより遠隔授業や動画配信が身近なものになっていくといいですね。」と締めくくった。

手元の拡大が自由自在の実物投影機を利用することで、手本を示す教員の手元を見やすく配信することも可能。
教科書や教材を投影することで、普段と同様に授業を進行。前列や後列といった具合に座席の位置に関わらず見やすく表示されるのも遠隔授業ならでは。