学校紹介

1991年に設立された関西学院千里国際中等部・高等部は、大阪府箕面市に位置する学校です。開校当初から国際バカロレア(IB)の理念を取り入れた対話型および思考型の学習を重視した授業を展開。また、 幼稚園から高校 3 年生までが通う関西学院大阪インターナショナルスクールも併設し 「Two Schools Together」というスローガンを掲げ、多国籍、多文化、多言語という教育基盤を持っているのも大きな特徴です。さらに、 関西学院大学と連携した高度な教育を提供。そんな同校に設置された STEAM Lab を活用した教育事例、そして教職員の活用について、同校の西出新也教諭にお話を伺いました。

さまざまな環境が交錯する BYOD 環境の課題を補い、より高度な学びに

同校は、同じ敷地内に併設されるインターナショナル ・ スクールと 2 校でひとつの存在として、教室や施設を共有し、授業や行事、そしてクラブ活動を実施。中等部以上の生徒からは一人一台の PC 環境実現のため、 BYOD が導入されており、 ほとんどの授業において ICT を活用した授業を展開しています。 Google Workspace for Education が導入されているため、 授業の管理は Classroom で行われ、 普段の授業はもちろん、 コロナ禍でもスムーズな授業運営が行えたと西出教諭は語ります。そんな同校ですが、 BYOD によって生徒が利用している環境もスペックもさまざまであることから、 生徒たちがクリエイティブな表現をしたいと思っても、 アプリを統一することが難しく、 ブラウザーベースで完結しなければならないという課題があったと西出教諭は振り返ります。学校のなかで、 個人の端末を超えるハイスペックな PC と統一した環境を提供したい。 STEAM Lab の設置には、その実現に向けた想いが込められています。

校内の教室は改修が進み、 開放的な空間に。より学習者を中心とした学びの環境が整っています
Adobe Creative Cloud が導入されているため、 生徒の想像をシームレスにカタチへと変えられます

BYOD 端末の不足を補うことで、実践的な作業もスムーズに

BYOD によって中等部から一人一台の PC 環境が整っている同校。しかし、 「生徒の創造をカタチにする動画やイラスト作成ツールなど PC に大きな負荷がかかるソフトウェアを利用する場合、 BYOD の端末では動作が重くなる、動かないといった課題を抱えていました。とくに情報科を選択した生徒は、Adobe の Creative Cloud を活用して動画を作成するといった授業も展開されるため、 より高性能な PC 環境が必要とされていますね」と西出教諭は振り返ります。そういった課題も STEAM Lab の高性能な PC で解決し、 快適な授業展開が行えていると評価いただきました。また 3D プリンターは、 数学や理科といった教科で使用する 3D モデルの作成、 そして技術科 ・ 情報科の 3D モデリングに関する授業では、 時間の都合で AR 出力を主に行っていたものの、 希望する生徒に対して STEAM Lab を開放し、 自由にプリントできる環境を整えるなど、 より深い学びに繋げる配慮が行われました。

新たな表現、そして学びの場としての STEAM Lab

教壇に立つ以外にも学内のラーニング ・ テクノロジー ・ コーディネーターとして活躍される西出教諭に加え、 校内に SE が常駐する同校。 STEAM Lab の機器設置やソフトウェアの設定などはスムーズに行えたものの、機器追加に伴う電源の確保やセキュリティーに関する折衝などに少し苦労したと西出教諭は振り返ります。そういった課題を乗り越え、 従来の BYOD 端末では難しかった 3D の VR モデリングを活用したプレゼンの実施や、 同校のウェブサイト来訪者をデータ分析し、 ウェブサイトの課題や解決までのプロセスを学ぶ 「データサイエンス」 のカリキュラムをAdobe と共同で開発した際にも STEAM Lab を活用いただきました。これらのカリキュラムを通じて企業や官公庁などで必要とされるプレゼンの表現手法を学ぶだけでなく、 データサイエンス分野で実際に使われる「Adobe Analytics」 で課題解決プロセスを学ぶことで、 情報社会を構成するデータ利活用の重要性に対して主体性を持って関われる人材育成が期待されます。

Adobe と共同で開発したデータサイエンスのカリキュラムでは、実践的な学習が展開されています
新たな表現手法の学びにも STEAM Lab の機器が活躍しています

授業だけでなく、学校の垣根を超えた交流の場としても活用

同校の STEAM Lab は、課外活動においても活用が進んでいます。そのひとつが、eスポーツ部の創設です。「キャンパス ・ アクティビティ ・ コーディネーターが各種調整を行ってくれたお陰で、 創設が実現できました。中学生と高校生、 そしてインターナショナル ・ スクールの生徒が一緒になって活動できる機会を得たのは大きいと思います。また、 生徒の居場所が増えたということも実感できます」と西出教諭は語ります。バックグラウンドが異なる生徒であっても放課後のeスポーツ部ならスムーズに参加でき、 友達との交流を深めるだけでなく活躍もできる。そんな生徒の輝ける場所の提供、 そして同校が掲げる、 ふたつの学校は一体であるという理念とスローガンを体現化し、 学校の垣根を超えた交流の中心地となる STEAM Lab の在り方を実践した事例となりました。

2 校の生徒が一緒に活動するeスポーツ部。生徒の居場所となり輝ける場所となっています

STEAM Lab 導入機材


・株式会社ユニットコム(パソコン工房)
 第 11 世代インテル® Core™ i7-11700F プロセッサーとNvidia Geforce RTX Ti 搭載
 ミドルタワー ・ ゲーミング PC LEVEL∞ R-Class LEVEL-R959-LC117F-SAX 10 台
・27 インチ液晶モニター、 3D プリンター
・Adobe Creative Cloud 小中高校サイトライセンス

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