GIGA第2期に向けた環境整備を支援する DIS教育ICT事業のこれまでとこれから

児童生徒1人1台のGIGAスクール端末の活用が当たり前の光景となった今、その学びをさらに加速化させるための事業の方針が文部科学省から示されている。特に注目されているのがGIGA第2期と呼ばれる、次期GIGAスクール構想の端末更新だ。
再び訪れた学校現場の大規模な端末導入に、ダイワボウ情報システム(DIS)はどのように支援を進めていくのか。同社の教育ICTに関するこれまでとこれからの取り組みを紹介していこう。

10年以上前から教育の情報化に取り組む DISの教育ICT推進グループ

文部科学省から、児童生徒1人につき1台の学習者用端末と、高速大容量のネットワークの整備を一体的に進めるGIGAスクール構想が発表されたのは2019年末のこと。本来、2022年度末までの五カ年計画として段階的に整備を進めることを予定していたが、コロナ禍によってその計画は大きく前倒しされ、2020年度中に急速に整備が進められた。現在では学びの場におけるICT機器の活用は日常のものとなっており、早い自治体では端末の更新に向けて動き出しつつある。

そうした教育現場のICT環境整備や活用に対して、GIGAスクール構想が打ち出される以前から支援を続けてきたのがダイワボウ情報システム(DIS)だ。DISでは2012年から教育ICT推進事業を強化し、その一環として「School Innovation Project」をスタート。全国約30校の公立学校を対象に、普通教室で活用できる1人1台の学習者用端末(1クラス分)や指導者用端末、授業支援ソフトといったICT環境を提供し、グローバルな社会に対応していく「21世紀型スキル」の育成に取り組んできた。
DIS 販売推進本部 戦略ビジネス推進部 教育ICT推進グループ 係長 赤木康行氏はグループ立ち上げ当初から、教育の情報化に携わってきた。「当時、私は首都圏の自治体における実証をサポートしていました。その中で児童生徒1人1台の端末環境の重要性を実感すると同時に、授業の在り方を大きく変えるこれらのICT環境は、将来的に必ず必要になるだろうと思いました」と赤木氏は当時を振り返る。昨今、政府はデジタル人材の育成に力を入れており、文部科学省もそうした人材育成に向けて教科横断的な学びやデータサイエンス、AI教育の推進などに取り組んでいる。DISのICT教育に向けた取り組みは、これらのデジタル人材教育を先行するものであり、高い先見性があると言えるだろう。 

販売パートナーと教員へ スキルやノウハウも継承


2020年の第1期GIGAスクール構想では世界的な半導体不足に加え、これまでは5年周期で行われてきたPC教室の端末リプレースを大きく超える端末の調達が必要になったことで、PCメーカーはもちろん全国の販売パートナーも対処に奔走した。DISではこれまでのICT教育に関する環境整備のノウハウを生かし、端末のキッティングなどの物流の側面で販売パートナーをサポートした。
またGIGAスクール構想では、これまで教育現場であまり使われてこなかったクラウドサービスを活用することで導入コストを下げることが指針として示され、クラウドネイティブなChromebookが大きな注目を集めた。
しかし当時、Chromebookの認知度は決して高くなく、それは販売パートナーも同様だった。赤木氏は「当社ではChromebookが日本に上陸した2014年当時から注目しており、Windows、iPadに加え、Chromebookにおいても教育現場への導入支援や研修などに取り組んでいました。そうしたノウハウがあったことで、非常に混乱した最中ではありましたが
                 販売パートナーさまへのスキルトランスファーが行えました」と語る。


同時に、教員への支援も行っている。DISでは2015年ごろから教育現場の教員向けに、ICT機器を活用した模擬授業を実施しており、授業におけるICT活用が日常の物になるよう、以前から啓発活動を実施していた。
DIS 販売推進本部 戦略ビジネス推進部 教育ICT推進グループ 課長代理 前田健太郎氏は「教育に関しては先生方がプロフェッショナルです。授業で子供たちに学ばせたい事柄を真摯に考えて単元計画を作成しておられ、そうしたノウハウにかなうものはありません。しかし一方で、ICTを授業で活用すればより授業の精度や充実度が向上できるという側面もあります。また、ICTを活用することで、先生個人が持つ優れたスキルやノウハウの共有化や、形式知への促進も期待できます。加えて、児童生徒もICTの利活用を通して、その恩恵を受ける可能性も高まり、子供たちの学びの質の向上にもつながるのでは、と考えております」と説明する。

日常の活用からSTEAM教育まで 充実した教員研修メニューで支援

DIS では、School Innovation Project で蓄積したノウハウと、インテルの協力を得て開発した教員研修プログラムを用いて、二つの「教員向け研修サービス」を提供している。
一つ目は、実機を用いたハンズオン形式で導入機器の操作方法を学ぶ「タブレット端末の操作研修」だ。
二つ目は「授業デザイン力向上を目指した研修」だ。アクティブ・ラーニングを実現する授業デザインや、主体的・対話的で深い学びを実現する授業デザインの研修などを行う。またプロジェクト学習による生徒主体の思考支援型授業デザインを学べる「Intel Teach Program 1Day研修」も提供しており、次世代型教育の実現を充実した研修メニューで支援している。

加えて、昨今注目が集まるSTEAM教育を実現するための教員研修メニューも用意している。本研修メニューでは大きく分けて三つの研修メニューを提供している。
一つ目は「機器・アプリ操作研修」だ。「Adobe Express 操作活用研修」「Adobe Premiere Pro 操作活用研修」「3Dプリンター操作研修(外部委託)」によってSTEAM教育に必要となるアプリケーションやハードウェアの基礎的な操作方法を学べる。
二つ目が「学習フレームワーク(授業デザイン)」だ。「STEAM教育授業デザイン研修(基礎)」「STEAM教育授業デザイン研修」「Intel Teach Program 1Day研修」「Intel Teach Program 講師養成研修」「プレゼンテーションスキルアップ研修」が用意されている。STEAM教育はもちろん、課題解決型学習(PBL)やIntel Teach Elementsプロジェクト型アプローチ(PBA)による授業デザインを学び、日常の授業に生かせる。
三つ目が「STEAM教育」だ。インテルが提供する授業コンテンツと研修プログラムから構成されるフレームワーク「Intel Skills for Innovation」によって、教員はSTEAM教育の実践的な手法を学べるのだ。

兵庫教育大学との連携協定で Society5.0時代の教員を養成

これらの研修メニューのノウハウを生かし、DISでは教員養成においても教育機関と連携を進めている。
具体的には、2023年2月27日に兵庫教育大学が主体となって推進する「教員養成フラッグシップ大学事業」において、教員養成の改革および高度化に貢献することを目的とした包括的連携協定を締結した。教員養成フラッグシップ大学とは、文部科学省が創設した新しい仕組みで、「令和の日本型学校教育」を担う教師の育成を先導し、教員養成の在り方自体を変革していくためのけん引役として指定される。2022年3月9日に4大学が初の「教員養成フラッグシップ大学」に指定されており、兵庫教育大学もその一つだ。DISは本事業の趣旨に賛同するとともに、これまでの教育ICTビジネスで培ったノウハウを基に、ICT環境の整備や活用を企業の立場から推進していく。

連携協力においては、以下の4事項に取り組んでいく。

  1. Society5.0時代に対応する先導的・革新的な教職科目や教育方法、教材の開発及びICT環境整備に向けた各種検討や助言及び実施連携
  2. 本事業に資する人材交流や検討会議等への参加
  3. 本事業の運営のために設置される、兵庫教育大学教員養成フラッグシップ大学コンソーシアムへの参加・協力
  4. その他、目的達成に必要と双方が合意した本事業に寄与する取り組み

前田氏は「本包括協定によって、当社社員も兵庫教育大学の教職科目の担当教員として授業を行います。大学と連携しながら、教育現場のより実践的なICT 活用の在り方を探っていき、当社研修メニューの継続的発展にもつなげていきます。文部科学省の2023年度補正予算によって、次期GIGAスクール構想の端末更新の補助上限が決まり、GIGA第2期に向けたリプレースの動きが加速化していくことが見込まれていますが、今後重要となるのは端末の補助上限やスペックといった数値的なポイントではなく、先生方の端末利活用の促進です。教員研修をはじめとした先生方の支援によって、第1期GIGAスクール構想から次のステップへと進むサポートをしていきたいですね」と語る。

パートナーと協調しながら GIGA第2期の端末更新に取り組む

もちろん、DISではGIGA第2期に向けた端末更新のサポートも行う。
次期GIGAスクール構想では、都道府県に基金を造成した上で共同調達を行うなど、計画的かつ効率的な端末整備を推進していく方針が文部科学省から示されている。「共同調達の場合、1度に導入される台数も多くなります。また都道府県単位で調達しても、端末の管理は市区町村単位になるでしょう。そうした導入の環境を、ディストリビューターとしてどうお手伝いをするかを検討しています。また、端末更新を実施する場合、これまで使われてきた端末の扱いも問題になります。この点に関するサービスに対する需要も今後高まってくると予想されます。当社としましても、メーカーさまやパートナーさまと協調しながら、補完し合えるような準備を進めていきたいと考えております」と赤木氏。

GIGAスクール構想に伴う端末整備に加えて、現在学校現場で求められているのがPC教室の見直しだ。
これまで子供たちが情報活用能力を育成するために使われていたPC教室だが、1人1台のGIGAスクール端末が配備されたことでその活用頻度が減少傾向にある。学校によってはPC教室を廃止し、他の教室への転換するケースもあるが、より創造的な学びを実現していくためには、クラウド利用が前提となっているGIGAスクール端末では限界があるのが実情だ。

そこで、より先進的な自治体や学校で取り組んでいるのが、PC教室のアップグレードだ。
具体的には3DプリンターやハイスペックPCを新しく配備することにより、子供たちの創造性を引き出すことが可能になる。特にScience(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Mathematics(数学)、そしてArts(芸術・人文社会科学)の頭文字を取った教育概念であるSTEAM教育では、理数教育と創造性教育を組み合わせた学びを行う。STEAM教育を実現する上では、GIGAスクール端末による学びのインプットだけではなく、より高性能なPCなどを活用した学びのアウトプットが不可欠となるのだ。

DISと兵庫教育大学は、教員養成フラッグシップ大学事業における教育ICT分野で包括的連携協定を締結し、我が国の教員養成の改革および高度化を目指し取り組みを進めている。

子供の好奇心を育てるSTEAM Lab 高校への整備に向けた方針も検討

インテルは、これまでのPC教室をアップグレードしたSTEAM教育に適した新しい教室「STEAM Lab」の構築支援を進めている。インテルはこのSTEAM Lab環境によるSTEAM教育推進を目的に、DISをはじめとしたパートナー企業と共に実証研究を実施しており、現在18校を対象に2022年4月〜2024年3月にかけてSTEAM Lab環境を活用したカリキュラム開発と授業実践に取り組んでいる。

前田氏は「STEAM Labは子供のわくわく感を増幅させてくれる学びの環境です。現在実証を進める18校以外でもSTEAM Labを導入、活用している学校があり、それらに対する支援も継続的に行っていきます。STEAM LabはこれまでのPC教室とは異なり、アクティブ・ラーニングが行いやすいよう机や椅子を自由に動かせます。そのため教室のレイアウトを変更して、STEAM Labの中で職員会議を行うなど、児童生徒の学び以外にも活用できるのです」と話す。

こうしたSTEAM Labの整備は、今後高等学校(以下、高校)にも広がっていく。文部科学省の2023年度補正事業では「高等学校DX加速化推進事業」(DXハイスクール)が実施される予定だが、この事業ではハイスペックPCや3Dプリンターなどの高度な環境を整備した教室が求められている。すでにDISでは複数の高校から整備についての相談を受けているが、高校の場合は小中学校と異なり専門学科を有しているなど、学校によって学びの傾向が異なる。「DXハイスクール環境下においては、どういった学びや環境に軸を置いたSTEAM Labが最適か、現在検討を進めています」と赤木氏。
これらの取り組みからも分かるように、DISでは教育現場のICT化をソフト・ハードの両側面から支援してきた。その取り組みはGIGA第2期やSTEAM Labといった環境整備も含め、今後も継続していく。

前田氏は「GIGAスクール構想で導入された1人1台端末は、そもそも学びの格差を埋めることが目的でした。しかし現時点では、端末の活用頻度や習熟度などによって授業の精度に格差が広がってしまっています。GIGA第2期では端末の更新はもちろんのこと、教員向け研修サービスによって先生方の活用の格差をなくしていきたいですね。また児童生徒の学習データ活用や、それに伴う教員の働き方改革を実現していくことで、個別最適化され創造性を育む学びの環境の確立につながると思いますので、販売パートナーさまと協力して教育DXを成功させていきます」と語った。

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