「Lenovo LocknCharge Power Pack」導入の経緯
江戸城の別名「千代田城」を名前の由来とし、皇居周辺エリアに広がる東京都千代田区。日本の政治経済の中心地である一方、文教地区の側面も持っています。公立学校だけでも、小学校8校、中学校2校、中等教育学校1校があり、小学校で約3500人、中学校・中等教育学校で約1200人が学んでいます。
GIGAスクール端末の活用が進む千代田区が直面したのが、「児童・生徒の充電忘れ」と「バッテリー劣化問題」でした。その対策として、2023年度に小・中学校すべてのクラスにモバイルバッテリーとその充電保管庫のセット「Lenovo LocknCharge Power Pack(以下、LLPP)」を導入。その経緯や効果について話を伺いました。
GIGAスクール端末のバッテリー対策に、児童・生徒が自分の席で充電しながら授業を受けられる
モバイルバッテリー充電保管庫「Lenovo LocknCharge Power Pack」
Lenovo LocknCharge Power Pack
家庭での充電を忘れた児童・生徒のために、教室の隅に即席の“充電コーナー
千代田区では、GIGAスクール構想による一人一台端末の整備後、校務システムのリプレースに伴うICT環境整備や、東京都の「TOKYOスマート・スクール・プロジェクト」を受け、本区の取組名称を「ちよだスマートスクール」としました。学び方・教え方・働き方を変えるための具体的な17の取り組み目標を設定し、子ども自身が学習方法を決める学びをめざして、ICT活用を推進しています。
そんな千代田区のICT活用においては、「GIGAスクール構想当初から端末の持ち帰りを基本とし、家庭での充電を前提に活用を進めてきた」と同区教育委員会事務局 子ども部 子ども総務課 指導主事 相場 奨太氏は話しています。
「本区では、いつでもどこでも学習できる環境を実現するために、LTE搭載モデルの端末を採用しました。教室での学習はもちろん、社会科見学等の校外学習に端末を持って行って活用できるほか、家庭学習での活用も早くから取り組んでおり、端末も基本的に毎日持って帰っています。
そのため当初から、家庭で充電してくることを前提にICT活用を進めることができたのです」と相場氏。実際、千代田区の小中学校では、各教室に充電保管庫も整備していませんでした。
ところが、活用を進めていくと「充電を忘れてくる児童・生徒がいる」という声が現場の教員から聞かれるようになりました。必要に迫られた教員たちは、教室の隅に電源タップを用意して、即席の「充電コーナー」を作り、充電を忘れた児童・生徒がそのコーナーに行って充電しながら授業を受けるようになったのです。
さらに、授業におけるタブレット端末の活用率が上がるにつれて、教員からは「1時間目から使っていると5・6時間目まで充電がもたない」という声も出てきました。「各学校を巡回していると、5・6時間目に教室の隅の充電コーナーに児童・生徒が何人も集まっている光景を見かけるようになりました。そのとき長年使ったスマートフォンと同じように、GIGA端末も経年劣化でバッテリーがもたなくなり、状況が悪化しそうだと気が付きました」と相場氏は当時の印象を語っています。
授業中に自分の席で使えるモバイルバッテリーだから、学びが止まる心配もなし
こうした充電問題の課題に直面した千代田区。GIGAスクール端末のリースが3年であることから、なんとかもう1年もたせることができれば、次の端末に切り替えて充電問題も改善できる、そう考えていた相場氏が選んだのが、LLPPでした。
同製品は、Lenovo社製モバイルバッテリー「Lenovo Go USB Type-Cノートブックパワーバンク20000mAh」12個と、それらを充電・保管するLocknCharge社の急速充電ステーション「BOLT12 USB-C PD チャージングステーション」がパッケージになったもので、教室で児童・生徒が使うことを想定したものです。
「こんなに良いものがあったのかと驚いて、すぐに導入を進めました。LLPPのサイズ感も良く、大きな充電保管庫とは違って、教室後ろのロッカーにも置けそうだとすぐに設置場所がイメージできました」と相場氏は語っています。
春の展示会で本製品を見かけたという相場氏は、その夏すぐに予算要求をし、翌年5月末には学校に配備されました。同氏は「そもそも充電の課題については、千代田区内の情報主任で構成しているMicrosoft Teamsの専用チャネルで早い段階から共有されていました。
現場の困りごとを吸い上げやすいような体制を築いていたことも早期の課題解決につながった要因だと考えています」と述べています
ICTの管理運用を担う千代田区教育委員会事務局 子ども部指導課 管理係 松浦洋介氏によると、同区では基本的に各クラスに1セットのLLPPが配備されているといいます。
「導入した結果、教室の隅の充電コーナーに児童・生徒がたまる光景もなくなりましたね。バッテリーが少なくなったら、児童・生徒がモバイルバッテリーを取りにいって、自分の机の上で差して使うだけ、授業を継続して受けられるようになりました。
1クラスで12台と同時に使える数に制限はありますが、現場から足りないという声もあがっていません。本区では充電忘れの児童・生徒用として導入したので、必ずしも児童・生徒数を用意する必要はないと考えています」と松浦氏は語っています。
バッテリーの心配なく、安心して授業が受けられるのがなによりのメリット
相場氏はLLPPの導入効果について、「先生方の心配も減りましたが、なによりも児童・生徒が精神的に楽になったと思います。『充電を忘れてしまった、どうしよう』『バッテリーがあと2%しかない』などと焦らなくてよくなり、安心して授業を受けることができるようになりました。授業中にバッテリーの心配をする必要がなくなったのは大きいと思います」と語っています。
またバッテリーが切れそうになったら、自分で充電保管庫からモバイルバッテリーを取ってくると決めているクラスは、教員の個別対応も発生しないため、授業の中断も防げると説明。児童・生徒と教員が安心して学習に取り組めるサポートツールとして役立っていることがわかります。
ほかにも費用面でLLPPの導入はメリットがあると松浦氏。「コンセントの増設工事よりも安く抑えられますし、そもそも現在の学校では電圧が足りないという問題もありますので、そうしたことを考慮すると、LLPPでバッテリーを運用する方法は安全です。」
普段の運用についても、使うときは充電保管庫からモバイルバッテリーを取り出し、使用後に戻すだけで自動的に充電されるため、充電し忘れるようなこともありません。
学校へのLLPPの導入がきっかけとなり教育委員会内においてもモバイルバッテリーの便利さが知られ、業務でモバイルバッテリーの活用が進むようになったそうです。
ー人一台端末の時代に入り、学校現場では急速にICT活用が広がっています。日常的な活用を進めれば進めるほど、バッテリーや充電の問題は付いてまわり、日々の学習や学校生活に影響を及ぼします。LLPPはそんな学校現場における端末活用の支えとして必須のアイテムになるといえるでしょう。
相場 奨太氏
子ども部 子ども総務課 指導主事
松浦洋介氏
子ども部指導課 管理係
GIGAスクール端末のバッテリー対策に、児童・生徒が自分の席で充電しながら授業を受けられる モバイルバッテリー充電保管庫「Lenovo LocknCharge Power Pack」
Lenovo LocknCharge Power Pack (PDF 723 KB)