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【監修】西田光昭(柏市教育委員会 教育専門アドバイザー)

 

教師生活10年目を迎えて、4年生の担任ならびに学年主任へと成長したわか子。「新米教員わか子がゆく」では、わか子も新人でわからないことだらけでしたが、今は、ベテラン教員はやお先生と、新米教員しんじ先生の間に入って、教員として充実した日々を送っています。

 

ところが…!! 今、わか子を一番悩ませているのは、新学習指導要領から実施されるプログラミング教育。

実はわか子、プログラミングなんて今までやったこともなければ、コンピュータも得意ではないのです。

となりのクラスの新米教員しんじ先生は、“プログラミングなんて面白そう!”とワクワクしている様子ですが、わか子は不安だらけ。

にもかかわらず、校長先生からプログラミングの教材研究を頼まれてしまったのです。

 

どうする、わか子?

教科の内容に絡めて教えるプログラミング教育

わか子:が、が、が、がーーーーん。

 

しんじ:ど、ど、どうしたんですか? わか子先生。顔が青ざめていますよ。

 

わか子:あのね、ま、ま、また、校長先生から頼まれたのよ〜!

 

しんじ:今度は何を頼まれたのですか?

 

わか子:プログラミング教育の導入に向けて、どのような教材があるか調べてほしいって。ついに、このときが来てしまったわ〜。

 

しんじ:いいじゃないっすか! 自分、プログラミングの授業は楽しみですよ。教材調べるなら、自分も手伝います!

 

わか子:あ〜〜ん、プログラミングなんてやったことないのに〜〜。不安だわ…。

もう一度、おさらいしておきましょう。

プログラミング教育は新学習指導要領で小学校から必修化されることが決まりました。第4次産業革命と呼ばれる今、生活のなかではプログラミングが身近に存在し、多くの日常生活が支えられています。

その存在を理解することが欠かせず、こうした時代に生きる子どもたちにとって不可欠な知識や考え方を学ぶために、小学校から取り組むこととされました。

 

その目的は、新学習指導要領の総則では、「児童がプログラミングを体験しながら,コンピュータに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考力を身に付けるための学習活動」に取り組むこととされています。解説では、次のように明記されています。

 

「小学校段階において学習活動としてプログラミングに取り組むねらいは,プログラミング言語を覚えたり,プログラミングの技能を習得したりといったことではなく,論理的思考力を育むとともに,プログラムの働きやよさ,情報社会がコンピュータをはじめとする情報技術によって支えられていることなどに気付き,身近な問題の解決に主体的に取り組む態度やコンピュータ等を上手に活用してよりよい社会を築いていこうとする態度などを育むこと,さらに,教科等で学ぶ知識及び技能等をより確実に身に付けさせることにある。」

(新学習指導要領解説編 総則より、プログラミング教育の部分を抜粋)

 

一方、プログラミング教育が必修化されるといっても、「コンピュータサイエンス」と呼ばれる学問領域全般の教育というわけではありません。

新学習指導要領の解説によると、算数科、理科、総合的な学習の時間の中で、児童がプログラミングを体験しながら、論理的思考力を身に付けるための学習活動を取り上げる内容やその取り扱いについて例示しています。

 

また、例示以外の内容や教科等においても、プログラミングを学習活動として実施することが可能であり、プログラミングに取り組むねらいを踏まえつつ、学校の教育目標や児童の実情等に応じて工夫して取り入れていくことが求められています。

 

つまり、プログラミングだけを教えるのではなく、教科のねらいに絡めて教えることが求められているというわけです。

 

しんじ:教科の内容と絡めて教える、そうだったのか〜〜〜!知らなかった〜!

 

わか子:でしょ〜〜。難しすぎて、どうしたらいいかわからないわ〜。そうだ!こんな時は、はやお先生にアドバイスをもらいに行きましょう!

プログラミング教材ってどういうものがあるの?

はやお:おや、わかこ先生にしんじ先生、今日はどうしたんですか?

 

わか子:はやお先生〜〜! 助けてください。プ、プ、プログラミングがぁ…。

 

しんじ:わか子先生、また校長先生から今度はプログラミング教材を調べるようにって頼まれたんですよ。それで、自分はプログラミングをやったことがないからわからないって。

 

はやお:それは、大変なものを頼まれてしまったね(笑)。

 

わか子:はやお先生、どうすればいいですか? 何から手をつければ良いでしょうか?

はやお先生は、小学校で使えるプログラミング教材について、大まかには3つのタイプがあると説明を始めました。

①コンピュータを使わないプログラミング(アンプラグド)

②ソフトを使うプログラミング

③ハードを使うプログラミング、という3つです。

一つひとつを詳しくみていきましょう。

 

 

①コンピュータを使わないプログラミング(アンプラグド)

コンピュータやタブレットでプログラミングを使わず、代わりにカードなどを用いてコンピュータの基本的な仕組みや特徴を考える方法です。

小学校の低学年など、初めてプログラミングに触るときに、アンプラグドの実践事例が多いでしょう。

 

②ソフトを使うプログラミング

ソフトを使うプログラミングとは、タブレットやコンピュータなどで、専用のアプリケーションを使うプログラミングです。

具体的には、「Scratch」などブロックをつなぎ合わせるだけでプログラミングができるビジュアルプログラミングと、本格的にテキストを入力するものがあります。

無料で使えるから有料のものまでさまざまです。

 

③ハードを使うプログラミング

ハードを使うプログラミングとは、ロボットなどのハードをタブレットやコンピュータ上で制御し動かすプログラミングのことです。

例えば、レゴエデュケーションの「レゴ®マインドストーム®EV3」や株式会社アーテック社の「アーテックロボ」などは見たことある方も多いでしょう。

さまざまなセンサを使えることも特徴です。

 

わか子:一口にプログラミング教材っていっても、いろいろな種類があるのね。よくわかったわ。私、アンプラグドなら教えられそう。

 

はやお:わか子先生、確かにアンプラグドはコンピュータを使わないプログラミングだから、自分もできると思ったかもしれないけど大きな間違いだよ。アンプラグドは、コンピュータの特性をわかっていないと教えられないよ。だから、アンプラグドを選ぶにしても、教師はコンピュータでプログラミングを経験しておくことが大切だ。

 

それに、アンプラグドはあくまでも、コンピュータを使うことを前提したプログラミングなんだ。だから、アンプラグドをやって、もうプログラミングやった!おしまい!ってことにならないようにね。子どもたちには、ちゃんとアンプラグドで学ぶだけでなく、コンピュータのプログラミングを体験させてあげることが大切なんだよ。

 

わか子:は〜い。わかりました。

普通教室でプログラミングの授業を行いたい

はやお先生から大まかにプログラミング教材について教えてもらったわか子先生。

試しに、無料で使えるビジュアルプログラミングツールを使って授業をしてみることにしました。ところが…。

 

わか子:はぁ〜〜〜、疲れた〜〜〜〜

 

しんじ:わか子先生、どうしたんすか?

 

わか子:今日、試しにコンピュータ教室で無料のプログラミングツールでやってみたのだけど、うちのクラスのAくんが「ぼく、プログラミングできるよ!」って言って、どんどん先に進めていくの。参ったわ〜。私よりもできるのよ〜〜。

 

しんじ:なんだ、そんなことですか〜。そんなの、今なんてプログラミングスクールも増えてきたから、習い事でやっている子どもも増えてきたと思いますよ。

 

わか子:それは、わかっているけどさぁ。私よりもすごいことをされてしまうと、やっぱり少し不安よ。呑気なしんじ先生にはわからないだろうけど!

 

しんじ:いいですか、わか子先生。プログラミングっていうのは、トライ&エラーが大事なんですよ。試行錯誤ですよ!コードをたくさん書けることも小学生にとってはすごいことですが、それよりも試行錯誤をくり返しながら、自分の考えたことをカタチにするほうが大切なんですよ!

 

わか子:しんじ先生、たまにはいい事言うわね。

しんじ先生の言う通り。小学校のプログラミング教育ではプログラマーの育成が目的ではありません。

そのため、コードを覚えるような活動もありませんし、コードを書けるようになることを目指してもいません。

子どもたちは、自分の意図したことや、考えたことをコンピュータに指示して、試行錯誤を繰り返しながら目的を達成する、そんな体験をすることが求められています。

 

しんじ:わか子先生、ひとついいですか? 自分、プログラミングの授業をするときに、いちいちコンピュータ教室に行くのは嫌なんですよ。できれば自分の教室でできるように教材を選びたいです。

 

わか子:なるほど、それもそうね。全学年でプログラミングをやるとなると、コンピュータ教室では難しくなるわね。うちの学校はタブレットがあるから、普通教室でタブレットを使ってできるようにしたいわね。

 

しんじ:あと、やっぱり、他の学校でも使われている教材が良いと思うんですよ。教材もピンからキリまで、いろいろですからね。わか子先生も、他の学校で使われている教材の方が安心でしょ?

 

わか子: 痛いところを突いてくるわね。でも、悔しいけど本当のことだからなぁ。他の学校で使われているってことは、それだけ実践事例がたくさんあるってことだもんね。どの教材がいいかなぁ。

 

しんじ:そう思って、自分、調べてみたんですよ!『教育版レゴ®マインドストーム®EV3』はどうですか?この教材は以前からあって長く使われているし、なにより、子供たちに親しみのあるレゴっていうのが良いじゃないですか!きっと楽しめると思うなぁ。

 

わか子:しんじ先生、プログラミングになると張り切るわね。子供たちよりも、自分が楽しみたいのね。

 

こうして、わか子はプログラミングの教材として『教育版レゴ®マインドストーム®EV3』を調べてみることにしました。

すると、多くの学校で導入されていることが分かったのです。やはり、しんじ先生が話していたように、長く教育現場で使われてきた教材なら、実践事例も多く安心です。子どもたちが楽しみしているであろうプログラミングの授業。一緒に楽しめたらいいな、わか子はそう思えるようになってきました。

 

さて次回は、授業中のICTの活用でわか子は新たな問題にぶつかります。乞うご期待。

 

プログラミング教育の事例

 

小学校におけるプログラミング教育は新学習指導要領に位置づけられるということで、 NHKが教育放送で「Why!?プログラミング」そしてその関連サイト「ワイワイプログラミング」を作成しています。学校では、Scratch(スクラッチ)の基本的な操作を学ぶための教材や、新学習指導要領で記述された算数・理科での学習の内容の教科の学習で使われています。

特に、理科で取り上げられた教材はUSBポートが利用できない学校でも活用できるように工夫されています。

 

また、クラブ活動など発展的な学習では、活動の課題として番組が活用されています。

さらに家庭など学校以外での活動をみんなのプログラムに投稿する子も多くなってきています。

 

柏市教育委員会 教育専門アドバイザー 西田光昭)

 

プロフィール

わか子:小学校教員10年目。新しい学校でもICT担当となり、子どもたちのために日々奮闘中。5年程前に野良犬に懐かれ、そのまま飼う事にした。

 

はやお:小学校教員30年のベテラン。趣味はコンピュータ製作で、ICTにも詳しく、各地に専門家の知り合いがいる。双子のとしお先生とは一緒に住んでいる。

 

しんじ:小学校教員3年目。学生時代、野犬に襲われているところをわか子先生に助けられた事から教師を目指すようになった。わか子先生が助けた事に気付いていない事に気付いていない。

 

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