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【監修】広瀬一弥(亀岡市立東別院小学校 教諭)

 

 

新米教員わか子がゆく」では、教員3年目だったわか子先生。

そのときは“若いから”という理由でICT担当に任命されましたが、ベテラン教員としお先生のサポートもあり、タブレット導入に向けて知見を広げていきました。

あれから7年が過ぎて、教員10年目を迎えたわか子。としお先生とも離れ、新しい学校に異動しました。

ところが、そこにはなんと、としお先生の双子の兄・はやお先生がいたのです!

 

新しい学校でもICT担当を任されたわか子先生は、はやお先生に相談しながらICT活用を進めていこうと頑張ります。一緒に4年生を受け持つ新米教員のしんじ先生もICT担当として、わか子先生の手伝いをすることになりましたが、ちょっとおとぼけキャラなのが心配なところ。

 

ICT担当は2020年度から全面実施となる新学習指導要領の実施に向けて、やることがたくさん! 

教員10年目を迎え、一段と成長したわか子先生はどのように進めていくのでしょうか? 

英語が話せないから、教えるのは不安…

わか子:しんじ先生〜! 校長先生がお呼びよ。私たち二人に“校長室に来るように”だって。すぐ行きましょう。

 

しんじ:ええーーー!なんだろう? なにを言われるかドキドキだなあ。自分、心当たりがないんですよね〜。

 

わか子:それ本当かしら?(笑) 校長先生、おまたせしました! しんじ先生も一緒ですが…なんのご用で?

 

校長:おお〜! 忙しいところ悪かったね。実は英語教育について相談したくてね。知ってのとおり、本校では「新学習指導要領」を先行実施するが、ついては君たち2人に、英語教育で使える教材を探してほしいんだよ。

 

しんじ:えっ??なんで、自分たちに?
 

校長:君たちは4年生を受け持っているだろう。新しい学習指導要領では3年生から英語教育が始まる。だから、5〜6年生の英語教育を念頭に、3〜4年生も使えるような教材を考えてほしいのだよ。ICTとか活用できれば、なおさらいいねぇ。まっ、私はICTとか英語とか、どちらも苦手だからねぇ。頼んだよ!
 

わか子:…ったく。校長先生っていつもあの調子なんだから!

2020年度から全面実施される小学校の新学習指導要領においては、英語教育の内容が大きく変わります。小学校では現在、5〜6年生で外国語活動が必修化されており、年間35単位時間実施されていますが、2020年度からは3〜4年生が必修化、5〜6年生は教科化されます。授業時間数についても、3〜4年生が年間35単位時間、5〜6年生は年間70単位時間と増加され、授業時間の確保が大きな課題だといわれています。一方で、授業数が増えても何を教えて良いのかわからないという教員もいますし、英語に苦手意識を持っている教員もいます。

 

しんじ:わ、わ、わか子先生!!ちょっと、いいっすか?

 

わか子:どーしたの?!

 

しんじ:じ、じ、自分、まだ小学校の教員になってから英語を教えたことがなくて。それに英語も大の苦手で、恥ずかしながら全然しゃべれないのですよ。どうしたら、いいでしょう?(涙

 

わか子:あら、そんなの、私もそうだったわよ。英語は苦手だったし、英語の発音もネイティブじゃないし、帰国子女の子どもから、「わか子先生の発音が違う〜!」って言われたこともあったわよ。

 

しんじ:あああーーー!それ、それ! 自分も同じこと言われるかもなぁ。ウチのクラスにも帰国子女がいるからなぁ。「しんじ先生の英語、聞き取れません」なんて言われるだろうなぁ。

 

わか子:でも、怖がる必要はないわよ。小学校の英語は、上手く話すことよりも、子どもたちが“楽しめる”ことが大切なの。だから、しんじ先生は子どもたちが楽しく学べることを優先に考えて授業づくりをするといいわよ。

 

しんじ:なるほど、そうですよね!

 

わか子:でも、3〜4年生から英語が必修化されるとなると、私も何をしたらよいかわからないなぁ。よし、ベテランのはやお先生に、英語教育についてアドバイスをもらいにいきましょう!ついて来て!

 

しんじ:は、は、ハイ!

インプットからアウトプット重視の英語教育へ移行

はやお:やあ、わか子先生、しんじ先生、2人揃ってどうしたんだい?

 

わか子:はやお先生〜〜!教えてくださ〜〜い。

 

わか子先生は、はやお先生に校長先生から頼まれた英語教材探しについて相談しました。新学習指導要領に合った教材をどのように選べばいいのかアドバイスが欲しいと。一方、しんじ先生も、はやお先生に英語の授業について、どのように教えればいいか自信がないと打ち明けました。

 

はやお:なるほど。確かに、英語教育は新学習指導要領で大きく変わったからね。いろいろ課題はあるにはある。ただ、最初から教材はどうすればいいか、授業はどうすればいいかと、限定的に考えるのではなく、これまでの英語教育の実情や全体の方向性を知っておこう。

 

2020年度から全面実施される新学習指導要領では、小学校、中学校、高校、大学入試と英語教育における全体の方向性が変わるのが特徴です。

これまでは、「聞く・読む」といったインプット中心の学習でしたが、新学習指導要領では「話す・書く」のアウトプットが重要視されるようになり、英語4技能の育成が求められるようになりました。

 

一方、それに対して、小学校の英語教育の現状はというと、現学習指導要領(2017年12月執筆現在)では、「聞く・話す」が中心の音声活動が重視されています。現在、英語が必修化されているのは5〜6年生ですが、授業では、文科省から配布された英語の教材『 Hi, friends! 』を使ったり、ネイティブのALT(外国語指導助手)を設けたりする事例が多いのです。

 

ところが、子どもたちが中学校に進むと、今度は音声中心から文字中心の英語に変わり、「読む・書く」が重視される傾向にあります。これは、文字中心の英語学習も大切ではありますが、小学校とのつながりを考えるとスムーズとはいえず、課題となっていました。現実的な課題として、小学校では英語が楽しく好きだったけど、中学校に入ってから英語を嫌いになってしまう子どもも多いからです。

 

そこで新学習指導要領では、小学3〜4年生で音声活動中心の英語教育を実施し、5〜6年生は中学校の英語を意識して、「読む・書く」といった文字を扱う学習や、習ったことを定着させる活動を授業で行うことになります。

 

わか子:なるほど〜! 英語教育の全体の方向性を知ると、小学校の時に求められる英語教育も理解しやすいわね。

 

しんじ:あぁ〜〜ん! 方向性はわかったけど、アウトプット重視の英語教育とか、そんなの自分、無理っすよぉ! やっぱり英語が喋れないと授業が成り立たないかも〜〜!!

 

授業準備の負担が少なく、ネイティブの音声が収録された教材

はやお:しんじ先生、心配することはないよ。小学校教員のほとんどは、おそらくネイティブが話すような英語は喋られないと思うよ。でも、大切なのは、先生がきれいな発音で話すことではなく、発音がネイティブでなくても、英語のコミュニケーションを楽しむ姿を子どもたちに見せることが大切なのじゃないかな。

 

しんじ:そ、そ、そういうことでいいんですか!?

 

はやお:私もそうだったけど、人前で下手な英語を話すのは恥ずかしい。でも、大きな声で英語を話していると、いつの間にか英語に対する怖さもなくなってくるよ。教室では、子どもたちにも失敗を恐れずに発言することを大事にしていたよ。

 

しんじ:なるほど〜、恥ずかしいことはないんだって姿勢が大切ですね。

 

わか子:はやお先生、でも新学指導要領では3〜4年生でも英語が始まりますし、5〜6年生は内容が増えます。校長先生から頼まれた教材選びはどうすればいいですか?

 

はやお:そうだねぇ、例えば、授業準備に時間がかからないこと。どんな良い教材であっても、授業の準備に時間がかかりすぎるようでは、結果として使われない教材になってしまう。2020年からの全面実施となる新学習指導要領では、道徳の教科化やプログラミング教育も加わるので、できるだけ準備の負担が少ないほうがいいね。

 

わか子:そうだった〜! 道徳やプログラミング教育も始まるんだった。おまけにアクティブ・ラーニングも取り入れないといけないし、やることは多いわね。よし!
できるだけ、授業準備に負担が少ない教材にしよう。

 

はやお:あともう1点。やはり、通年で使える音声教材は必要だと思うよ。いくらALTの先生がいるといっても、3〜4年生も英語を学ぶとなると、ALTの先生がいつでもいるとは限らない。子どもたちには英語の教材を使って、ネイティブの発音を聞かせられるといいよね。例えば、『NHK プレキソ英語 そのまま使える小学校英語教材』の教材なんかどうだろう。子どもたちに親しみのあるEテレ番組が教材になったものだから良いと思うよ。

 

わか子:NHK プレキソ英語 そのまま使える小学校英語教材ですね!調べてみます!

 

はやお先生がいうように、授業準備に時間がかからない英語教材を選ぶことは重要です。

新学習指導要領では、英語以外にも学習内容が加わり、教師の負担はますます増えるばかりです。そのため、事前の準備が少なく、かつ、授業ですぐに使える教材が求められるでしょう。

 

また、英語の発音に苦手意識を持つ教員も多いので、ネイティブの発音が収録された音声教材も望まれます。さらには、教科書や文科省が配布する教材『Hi, Friends!』(※)に対応していると使いやすくなります。こうした点を踏まえて、はやお先生は現時点で『Hi, Friends!』に対応した『NHK プレキソ英語 そのまま使える小学校英語教材』をわか子先生に勧めたようです。

 

(※)平成30年度から移行措置内での先行実施に使われる文部科学省の教材には『Let’s Try』『We Can』が追加される見込みです。

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/123/houkoku/1382162.htm

 

わか子:わかりました! はやお先生、ありがとうございます。

 

 

わか子先生としんじ先生は、はやお先生にアドバイスをもらって、新学習指導要領ではどのような英語教育を実践すべきか、イメージを持つことができました。

ここから良い授業を行うために、二人は頑張ってくれるでしょう。

 

次回は、そんな二人がプログラミング教育に挑戦します。

以前、「プログラミングってなに?」と話していたわか子ですが、大丈夫なのでしょうか…。

 

 

英語教育におけるICT活用の有効性

 

英語教育へのICT活用はさまざまな場面で考えられます。

 

学校現場に普及してきているタブレット端末のカメラ機能を使えば、発音の記録や確認に使うことができます。

また、近年、音声認識技術が向上してきており、PCやスマートフォンなどに音声入力し、どのように認識しているかを確認して

正しい発音ができているか調べる方法もあります。

 

ICTを使った遠隔地との交流ではSkype等を使って海外等と英語で「話す」「聞く」ことができます。

学習用SNSを通して、他校種との学校と交流をしている事例もあります。中学生が書いた英文を高校生が添削して返信するなど

「書く」「読む」ことに取り入れることもできます。

 

このように4技能すべての能力の向上にICTを活用することができます。また、それらを適切に記録することによって、指導者から評価や学習者自身の自己評価につなげることができます。

こういった「評価ツール」としての活用もとても有効です。

 

(亀岡市立東別院小学校 教諭 広瀬一弥)

 

 

<プロフィール>

わか子:小学校教員10年目。新しい学校でもICT担当となり、子どもたちのために日々奮闘中。この7年間で身長が6cm伸びた。

 

はやお:小学校教員30年のベテラン。趣味はコンピュータ製作で、ICTにも詳しく、各地に専門家の知り合いがいる。メガネは伊達である。

 

しんじ:小学校教員3年目。学生時代、野犬に襲われているところをわか子先生に助けられた事から教師を目指すようになった。

 

校長先生:わか子、はやお、しんじが勤める学校の校長先生。ICT環境をどう活用すればよいか、ベテラン、若手問わず、教員たちの意見を集め参考にしている。前作にもいた気がする。

 

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