評価の本質を見つめ直し、教育の質向上を目指す講座を実施
文部科学省が推進する「ルーブリック」は、従来のペーパーテストによる「偏った評価」とは異なり、事前に設定した規準を基に学習者の達成度を評価する新しい手法のひとつ。この手法は、高い透明性と公平性を確保できるだけでなく、ペーパーテストでは測定できない個々の能力や努力を評価したり、評価を通じて学習者の学びをガイドすることができる点で注目されています。
しかし、教育現場ではこのルーブリックを効果的に導入するための課題が残っています。特に、評価規準の策定や実践例の不足が大きな壁となっているのが現状です。このような課題を解決するため、三重県教育委員会とダイワボウ情報システム(株)は、エデュテクノロジーの教員研修サービスより髙木氏を講師に招き、「評価理論の基礎から実践まで」を学ぶ講座を開催しました。
県内から集まった参加者の多くは高校教諭で、特に教務主任が中心となりました。本講座では、教育評価の基礎理論からルーブリックの作成と実践的な活用方法までを学び、生徒のモチベーション向上や学びの質を高めるための新たなアイデアを得る場となりました。


明確な学習目標を示すルーブリックが生徒の道しるべとなり、
意欲と学力を高める
エデュテクノロジーの髙木氏による「評価を使って学びを支援!ゼロから学ぶ評価理論と実践」講座では、「評価とは何か」といった基礎理論、評価手法、さらに文部科学省が推進するルーブリックの概要や作成のポイントについて詳しく解説が行われました。
また、座学だけでなく、参加者同士のディスカッションやグループワークを多く取り入れることで、受講した教諭たちが主体性を持って学べる環境が整えられているのも大きな特長です。教育現場で活躍する教諭ならではの視点から、これまでの評価に対する考え方や現場での実践例、今後の評価について熱い議論が交わされました。また、ルーブリックの評価規準作成に取り組んだり、例題を用いて実際に評価を行ったりと、実践的なトレーニングも実施されるなど、充実した内容で参加者の学びをより深めました。
本講座の参加者からは、「従来の評価方法の長所と課題を理解する良い機会になった」、「具体的な事例やエビデンスに基づいた説明が分かりやすかった」などの声が寄せられ、講座は盛況のうちに終了しました。

教育現場におけるDX推進と評価基準の革新が生徒の学びを変革する
三重県教育委員会指導主事の齋藤直樹氏は、県立高校教諭を対象とした本講座の狙いについて次のように語ります。「評価を単なる数値化にとどめるのではなく、評価を通じて学習者である生徒の学びそのものを変革したいという想いが込められています。」
情報の教科担当として教鞭をとっていた齋藤氏が本講座と出会ったのは、約2年前。経済産業省への出向で東京に赴任していた際、隣県で開催されていた同講座を受講したのが始まりでした。「従来は1から5といった単純な数値で評価を行っていました。しかし、評価を通じて先生方の指導を変革し、改善することで、生徒たちの学びをより深いものにしていきたいと考えていた折に、この講座に出会いました。
評価の理論やルーブリックの概要とポイントを学び、さらに実践を交えた講義がとても印象的でした。デジタルとアナログ、教育現場で使われている双方を巧みに織り交ぜて行われる髙木氏の講座の進め方も素晴らしかったですね」と齋藤氏は当時を振り返ります。自身が感銘を受けた体験を三重県の教諭たちと共有し、それを通じて生徒の学びに結びつけたい。その強い想いが、本講座の開講へと繋がっています。

外部の知見を取り込むことで現場が抱える課題の克服や改善を図る
齋藤氏は、教育現場で「評価の変革」が重要視される一方で、依然として多くの課題が存在していると指摘します。例えば、学習指導要領で採用されている三観点評価の中でも、「主体的に学習に取り組む態度」の評価規準が曖昧で、具体的な指標を設定するのに苦労するケースが少なくないといいます。
また、県教育委員会としてこれまで研修を実施してきたものの、理論の説明や学習指導要領の解説に終始することが多く、十分に現場に伝わらなかった部分があったのではないかと振り返ります。「一方で、髙木先生の講座は、理論をエビデンスに基づいて丁寧に説明するだけでなく、受講者が実際に手を動かしてルーブリックを作成するなど、理論と実践の両面をバランスよく取り入れている点が非常に優れています」と齋藤氏は語ります。
また、本講座の受講者には、教育課程や評価について日々考えている教務主任も多く含まれています。彼らが学んだ内容を学校に持ち帰り、現場で実践してくれることは非常にありがたく、それが講座を開いた狙いのひとつでもあるといいます。「受講者が講座で学んだ内容を学校に広め、そこからさらなる波及効果が生まれることを期待しています」と、齋藤氏は講座を通じて得られる効果ついても語りました。
評価方法の策定について齋藤氏はこう述べます。「多くの学校で自前主義的に行われることが一般的です。しかし、エデュテクノロジーのような専門的な知見を持つ企業や専門家、さらには大学と連携することで、学びをより革新的に変えていくことが可能だと考えます。教育現場で働く先生方は日々多忙を極めています。だからこそ、外部の専門家の力を借りて、共に教育を変革していきたいと思っています」と、外部との連携を通じた教育の未来への期待を込め締めくくりました。


ダイワボウ情報システムの教育に対する取り組み
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ICT × 学びアンケート - 教育ICT総合サイト
【三重県教育委員会】ルーブリック研修で教員の評価力向上! 三重県教育委員会が取り組む教育改革|株式会社エデュテクノロジー【公式】
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