学校紹介

学校法人三浦学苑高等学校は、神奈川県横須賀市衣笠栄町に所在し、より良い社会を築くために、 あらゆる社会で活躍できる人材を育成することを目標とした私立の高等学校です。地域に根差した学校として、 「自主独立」 「質実剛健」の精神を大切にし、目指すべき 10 の学習者像や、「個性と自主性を持った国際人の育成」を学校の具体的な教育目標として掲示されています。 ICT の利活用が学校全体で進められる中で、自身も工業技術科の担当教員として ICT や STEAM 教育に臨んでいる伊東亮教諭にお話を伺いました。

STEAM 教育の導入で時間的 ・ 技術的に制限されない実習を実現したい

専門課程において IT 系のカリキュラムを取り入れたコースの導入や、一人一台の端末導入をし、 生徒が 1 日の中で端末を使用して何らかの活用を行うなど学校全体で ICT の利活用を進めてきた同校。 STEAM 教育について情報収集を行う中で、 比較的学力の高い学校がハイレベルな授業を行っている事例が多く出てきてしまい、 本校で STEAM 教育がどこまで実施できるか不安になり、 展開するまでは至らなかったという経緯があると伊東教諭は語りました。そんな中でも STEAM 教育を導入することで、生徒たちが工業技術科の枠を超えて、より幅広い分野での学びに挑戦する機会が持てることに期待した同校では、 まず担当教員に複数の生徒が紐づくといった、大学のゼミのような形式から導入をはじめています。伊東教諭は「さまざまな情報を収集し知見を広げた中で、 他校が実施してきた事例などを本校で実現したかったのはもちろんですが、 PC の性能に左右され、 制限されていた活動の幅を広げたいと考えました」 と STEAM Lab 実証研究に応募した背景を振り返りました。

高性能な PC を活用した実習中の風景
Adobe Creative Cloud を活用し、 生徒が制作したオリジナルロゴの一例

STEAM Lab によって、一方的な授業から生徒主体の授業に

同校には一人一台端末以外にも、PC や 3D プリンター、Adobe Creative Cloud などがすでに設置されていましたが、 マシンの性能やソフトウェアの本数が限られていたため、 学習活動において充分に活用できていたわけではないと伊東教諭は振り返ります。そういった課題のなかでも、 STEAM Lab で導入した機材のおかげで授業という限られた時間の中で動画の編集 ・ 書き出しなどが完結できるようになり、 今までは自習でしか使えなかった Adobe Creative Cloud を座学ベースの授業においても活用できるようになったと、 機材導入による恩恵についても語られました。さらに、 今までは設計図の製図だけで終わっていた機械設計の授業で、 プロトタイプの出力が 3D プリンターの導入により実現。STEAM Lab について伊東教諭からは「一方的な授業ではなく、 生徒たちの手を動かす機会が増え、 学校として推進している生徒主体の授業が実現できるようになりました」と評価をしていただきました。

多岐にわたる活用方法が生徒 ・ 教員に変化を生み出す

STEAM Lab が授業での活用を進める一方で、 授業時間外での活用も進んでいるという同校。放課後に資格取得講座を開催するほか、クラブ活動では STEAM Lab の機材を活用した動画編集やイラストの制作が行われ、 2019 年から活動がはじまりましたeスポーツ部では、 大会への積極的な参加やプロ選手を招いた活動を行うなど、 多岐にわたって STEAM Lab が活用されています。こういった活用に関して 「PC で作ったものをアウトプットできるようになったことや、 実践的な学習機会が増えたことによって、生徒たちが成功体験を多く積めるようになり、生徒たちの学習への意欲が明らかに向上し、 学びに対するアプローチが変化しはじめています」 と STEAM Lab の効果について語りました。さらに STEAM Lab の活用は、 今まで PC の使用に否定的だった教員の意識を、 遊びであっても使いたい時に PC が自由に使えることで、 生徒の気付きが生まれるのであればいい。と、 生徒主体の動きを信じるような意識に変えたと伊東教諭は振り返りました。

STEAM Lab の機材を活用し、 生徒たちがイラストを制作する様子
放課後の資格取得講座を受講した 2 名の生徒が能力試験に合格しました

学内に留まらない学びと外部との連携で、 さらに高品質な教育へ

伊東教諭は今後の展望として 「生徒たちが多様な分野での学びに触れ、 自分たちの興味や将来のキャリアにつながる経験をさらに積むためにも、 工業技術科だけではなく、 一般教科での活用を広げるほか、 学校内で完結せずに外部の専門家や近隣大学との連携を深め、 外部からの学びを取り入れていきたい」 と語ります。 しかし、 その一方で伊東教諭は、 STEAM 教育とは何かを永久に探求しなければならないように、外部からの学びを取り入れて終わりではなく、 教員自らも学び、 研究し、 スキルアップを計る必要があると、教員側に潜む課題も挙げました。 「STEAM Lab の活用だけではなく、 さまざまな学びに活かせる可能性のあるインテル® Skills for Innovation といった外部の教材を活用しながら、 授業を実践したいと考えています」 と伊東教諭は締めくくりました。

STEAM Lab 導入機材


・株式会社ヤマダデンキ(TSUKUMO)
 G-GEAR シリーズ G-GEAR GA7J-H214/ZB 10 台
・27 インチ液晶モニター、 3D プリンター
・Adobe Creative Cloud 小中高校サイトライセンス

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