自治体・先生・児童生徒の「三方良し」で実現する、
マイクロソフトのNEXT GIGA施策

多くの自治体がGIGA端末の更新時期を迎えています。
それに合わせて、Apple、Google、Microsoftの3社もNEXT GIGAに向けた戦略を準備しており、その内容を紹介します。

今回は、教育現場と長年関わりが深いMicrosoftを取り上げます。
同社は、GIGAスクール構想で見えた課題を解決すべく、NEXT GIGAでは自治体、先生、児童生徒の「三方良し」を実現できるソリューションを用意しています。日本マイクロソフト株式会社 執行役員 パブリックセクター事業本部 文教営業統括本部 統括本部長 中井陽子氏に話を聞きました。

※本文の内容は、2024年2月19日時点 のものです。それ以降に発表された情報は含んでいません。

「トータルコストの確保」「先生の環境整備」「子供たちの心のケア」が課題となる

GIGAスクール構想では、小中学校におけるICT環境整備が一気に進んだものの、一方でさまざまな課題も見えてきました。
マイクロソフトではなかでも、「トータルコストの確保」「先生の働き方改革」「子供たちの心のケア」の3つを重視しており、NEXT GIGAではこれらの課題解決をめざすICT環境整備が求められるというのです。

トータルコストについては、「長期的な視点で予算を確保していくことが重要だ」と中井氏。
端末導入後も、修繕対応や予備機の追加、ICT支援員の確保やネットワークの強化など、端末以外の予算を確保しなければなりません。また、先生の働き方改革も重要です。「結果的には、児童生徒の活用推進よりも、先生方の環境整備やサポートを先に行う方が、その後の展開がスムーズでした」と中井氏は述べており、先生が毎日余裕を持ってICTを使える環境が重要だというのです。

そして、子供たちが心身共に満足度高く学習できる環境も大切だと指摘。
日本の子供たちは学力が高いものの、「心の幸福度」に関しては低いことが明らかになっており(※)、心身共に幸せな状態で学習できることや、学びを楽しいと感じられることが求められています。マイクロソフトではNEXT GIGAでこれら3点の課題解決を重視し、自治体、先生、児童生徒にとって「三方良し」の環境づくりを進めていくといいます。

※ユニセフ 2020 年 9 月刊行 「こどもたちに影響する世界」
https://www.unicef.or.jp/library/pdf/labo_rc16j.pdf

日本マイクロソフト株式会社 執行役員 パブリックセクター事業本部 文教営業統括本部 統括本部長
中井陽子氏

追加購入なし!
「Microsoft 365 Education」で個別最適な学びからセキュリティ強化までを実現

マイクロソフトでは、Windows端末を選択する最大の利点は標準ツール「Microsoft 365 Education」にあると説明しています。学習や校務で使用できるOfficeシリーズから、「Teams for Education」やAIによる個別最適化ツール「Learning Accelerators」まで、追加購入することなく利用できます。またデバイス管理「Intune for Education」やセキュリティツールも含まれており、これらも追加購入がほぼ必要ありません。

「Microsoft 365 Education」で提供可能なツールや機能

中井氏は、文部科学省が「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」を発表した後、数百の自治体が「Microsoft 365 Education A3」や「Microsoft 365 Education A5」の包括ライセンス契約を購入したと述べています。

「A3」「A5」の包括ライセンスは、強固なセキュリティ対応が可能で、ゼロトラスト・セキュリティ環境の構築が可能。
これまで学習系・校務系と2系統だったネットワーク環境をゼロトラスト・セキュリティ環境に移行することで教員端末の2台持ちも解消できるほか、サイバー攻撃のリスクにも対応できます。また「A3」「A5」は教職員が契約すると、教職員1人あたり最大40人まで児童生徒向け無償ライセンスが付与され、各端末にOfficeアプリケーションをインストールして使用できるなど利点も数多くあります。
中井氏は「Microsoft 365 Educationには教育現場の安全性や公平性を継続するために必要なものがそろっており、先生の働き方改革はもちろん、予算面でも中長期的なコスト削減につながります」と語っています。

包括契約における生徒用特典

NEXT GIGAのWindows端末は
「GIGA Basicパソコン」と「GIGA Advancedパソコン」

マイクロソフトでは、NEXT GIGAのWindows端末について、「GIGA Basicパソコン」と「GIGA Advancedパソコン」の2種類を提供すると発表しています。OSに「Windows 11 Pro Education OS」、標準ツールに「Microsoft 365 Education」を搭載し、よりシンプルに、先生の負荷を抑え、児童生徒の学習を推進することをコンセプトに掲げています。

OSの「Windows 11 Pro Education OS」は、再開が87%速く、ブラウザーのEdgeの起動も80%高速化。バッテリー寿命も40%向上するなどより高速に起動し、より長時間の動作が可能に。Microsoft Teamsもスクロールやチャットの切り替えが2倍速く、メモリの消費も50%少なく稼働するなどパフォーマンスが改善しています。さらに検索機能などでAI活用が進み、アクセシビリティ機能も向上。フィッシング被害を予防する機能が搭載されています。

生徒向け端末として提供される「GIGA Basicパソコン」は、クラウドベースで学習を進めたい教育機関向けです。
一方、「GIGA Advancedパソコン」はアプリケーションをインストールして、インターネット接続の有無に関係なく利用できるような様々な用途に適した端末で、STEAM教育やプログラミング教育、画像編集などマルチタスクに対応できるスペックとなっています。
中井氏によると、基本的には「GIGA Basicパソコン」の採用が多い見込みですが、先進的な使い方を行っている自治体では「GIGA Advancedパソコン」の要望があるとのこと。ニーズに合わせた選択が可能になると語りました。

マイクロソフトが推奨するNEXT GIGA向け児童生徒用パソコン

さらに、マイクロソフトではNEXT GIGAの対応を強化するため、全国の販売パートナー向けに 認定制度を開始。
クラウド経由の展開や運用に関する「Microsoft Intune」や「Windows Autopilot」のトレーニングを実施して認定する「ゼロタッチデバイス管理パートナー制度」と、その認定を受けたパートナーにさらに「Learning Accelerators」をはじめとしたAIを含むマイクロソフトの教育ソリューションのトレーニングを追加した「GIGAソリューションパートナー制度」の2つを用意しています。これらの認定を行うことで、よりスムーズな展開をサポート。各販売パートナーをバックアップする体制も整備されています。

AI活用と教育データ利活用で、先生の働き方改革に貢献

マイクロソフトがNEXT GIGAに向けて提供しているツールの中で注目したいのが、先生の働き方改革や児童生徒の学習意欲の向上に活用できる「Learning Accelerators」と、無償ツールの「School Data Sync(SDS)」です。

Learning Acceleratorsは、バックグラウンドでAIが動き、児童生徒一人ひとりが個別最適化された学びが行えるよう補助するツール群で「Microsoft 365 Education」にも追加され、Teams上に続々と公開されています。
具体的には、音読の発話の正確性を採点するツール「Reading Progress & Reading Coach」や、プレゼンテーションスキルを高めるコーチングツール「Speaker Progress & Speaker Coach」や、心の健康を支援するツール「Microsoft Reflect」などが含まれます。あくまでも先生が主体となって児童生徒の学習内容を確認しますが、どのような間違いをしているかをAIが “副操縦士”としてサポートすることで、先生の負担を軽減します。

Learning Acceleratorsの全体構成

「School Data Sync(SDS)」は、名簿を簡単に登録したり、クラウドIDを簡単に作成できたりするツールです。
これにより年次更新が簡略化され、学校現場の負担を軽減することができます。しかも、School Data Syncはデジタル庁が推奨している国際技術標準の「OneRoster 1.2」に対応済み。現在はさまざまな校務支援システムも「OneRoster 1.2」への対応が進んでいるため、School Data Sync経由で校務支援システムとのデータ連携も今後はよりスムーズに行えるようになります。

さらにSchool Data Syncを利用すれば、Teams内で「Education Insights Premium」の使用も可能になり、全校や全学区など全体的なデータの把握や分析も可能になります。これからは、教育データに基づいた教育施策(EMBP)が求められることから、教育データ利活用をどのように進めていくかを考慮することもNEXT GIGAでは重要なポイントだといえます。

Microsoft 365 Educationの標準データ可視化機能の強化

GIGAスクール前から、多くの先生や児童生徒に親しまれてきたWindows端末。
端末導入だけでなく、安全性・公平性など教育現場が重視するポイントをNEXT GIGAでも抑えつつ、AI活用や教育データ利活用など教育の質を高める新しいソリューションもそろえています。長年、教育現場に関わってきたマイクロソフトが自治体・教職員・児童生徒の3方良しの支援を強みとしてNEXT GIGAで貢献できるポイントだといえるでしょう。