iPadの長期契約リースで実現できる、コストの平準化と端末管理の負担軽減

多くの自治体がGIGA端末の更新時期を迎えています。それに合わせて、Apple、Google、Microsoftの3社もNEXT GIGAに向けた戦略を準備しており、その内容を紹介します。

今回は、GIGAスクール構想で全国500自治体に約300万台が導入された「iPad」です。直感的な操作や故障率の低さで評価を得ているiPadですが、一方で価格が高いというイメージもあり、NEXT GIGAでは長期契約リースを用いた新しいプランを用意しています。

※本文の内容は、2023年12月21日時点のものです 。それ以降に発表された情報は含んでいません。

iPadの魅力は「活用率の高さ」と「故障率の低さ」

GIGAスクール構想では1人1台端末が整備されたものの、多くの自治体が、“ICT活用が進まない”、“故障端末が多い”といった課題を抱えています。一方で、iPadを導入した自治体においては、そうした課題を抱えているケースは比較的少なく、むしろ、「活用率の高さ」と「故障率の低さ」でiPadは成果を出しています。

たとえば、文部科学省が令和4年に行った、政令指定都市の小学校を対象とした「1人1台端末を授業で活用している学校の割合」の調査によると、活用率の高い政令指定都市トップ3のうち、上位2自治体の新潟市、熊本市はいずれもiPadの導入自治体であり、全国平均を大きく上回る活用率となっています。この要因のひとつとしては、ICTが得意ではない教員にとってもiPadは使いやすい端末であり、全体のICT活用を底上げできたことが現場の活用推進につながったといえます。

1人1台端末を授業で活用している学校の割合(小学校・指定都市別) 
出典:文部科学省「(通知)1人1台端末の利活用促進に向けた取組について(令和4年11月25日) 」

 またiPadの「故障率の低さ」については、すでに教職員でも実感している方が多いでしょう。GIGAスクール構想当初は、iPadは高級品で繊細なイメージがあり、子供たちの乱暴な扱い方に耐えられないのでないかという杞憂がありましたが、現場での活用が進むにつれて、他社端末ほど壊れておらず、「実はiPadは丈夫だった」という印象を与えました。特に、自然故障率が極めて低いため、修理費を削減し、その分を予備機に充てるなど修理コストを抑えられることはiPadのメリットです。

 このようにiPadが持つ「活用率が高い」「故障率が低い」という魅力は、1人1台端末を文房具として活用していくための大切なポイントです。児童生徒の学びを止めることなく、教員にとって安心して使える端末であるといえます。

残存価値の高いiPadだからできる、残価設定型リース「AFS(Apple Financial Services)」

iPadは活用率や故障率などでメリットがある一方で、コスト面に関しては「価格が高い」と言われています。しかし、GIGAスクール構想における端末整備については、端末本体の価格だけでなく、「修理」「管理・運用」、「回収・破棄」を含めたトータルコストで見ていくことが大切です。

特に注意したいのは、今回のような端末更新時期に発生する廃棄や回収にかかる費用です。文部科学省や環境省からは、既存のGIGA端末について適切な処分を行うよう通達 が出され、自治体による再使用や再資源化等が求められていますが、多くの自治体はGIGAスクール構想当初に予算化できていなかったのが現状です。その点、iPadを導入した自治体の場合は、iPadは市場での資産価値があるため、端末の残存価値によっては有償売却や下取りが可能となります。

Appleでは、こうしたiPadの残存価値が高いことを生かし、残価設定型リースの「AFS(Apple Financial Services) 」プログラムをNEXTGIGAでは用意しています。

このAFSとは、端末を導入する際に、予めリース返却時の残価価値を設定し、その分を差し引いた金額で端末を利用できるというサービスです。昨今では個人の新車販売などでも取り入れられているほか、法人のオフィスの環境整備では従来から採用されている一般的な方式です。

AFSでは、iPadの残価価値の高さを生かすことで端末にかかる支払総額を抑えることが可能なうえ、支払いは利用期間内で分割払いができるため、長期リース契約による支払いの平準化も可能です。また、リース会社が端末の導入から契約満了時の処分といったライフサイクル管理を一手に担うため、教職員やIT担当者の実務を簡素化できるのも大きなメリットでしょう。

iPadにこのAFSを利用する場合、GIGAスクールなら最長5年まで設定可能で、端末はリース期間終了後にAppleに返却となりますが、卒業時に児童生徒が希望すれば購入もできるなど柔軟なサービス内容となっています。またiPadを返却した後は、Appleによって再利用や再資源化が行われ、文部科学省や環境省の通達にもあるような環境に配慮した処分が可能となっています。

GIGAスクール構想当初は、端末の買取を選ぶ自治体が多い傾向にありましたが、NEXT GIGAにおいては、文部科学省が発表した令和6年の概算要求においても補助金をリースに利用できることが明記されているため、安心してAFSを利用することができます。長期契約リースにすることで支払総額の平準化を図りつつ、残存価値の高いiPadの資産性を生かすことで、トータルコストの軽減も期待できます。

他のOSからiPadに変更するのは大変?フェデレーション認証で今までの資産は活用可能

NEXT GIGAでは、iPadの導入に向けてAFSのような新しいプランが用意されているものの、他のOSからiPadに変更するのは悩ましいもの。特に「管理対象Apple ID」と呼ばれる教育機関が所有し管理できる特別なApple IDの管理・運用についてはネックだと頭を抱える現場担当者もいます。

 この点については、「Google Workspace」や「Microsoft Entra ID」と管理対象Apple IDを連携する「フェデレーション認証」を利用することでシンプルな管理・運用を実現することができます。具体的には、「Apple School Manager」と呼ばれるAppleが無料で提供するIT管理者向けのWebベースのポータルサイトが、Google Workspace、またはMicrosoft Entra IDのフェデレーション認証に対応しており、管理対象Apple IDと連携することができます。

 フェデレーション認証を利用することで、児童生徒は今まで通り、GoogleやMicrosoftまたは、様々な教育サービスをひとつのIDでログインできるほか、Appleのサービスを利用することもできます。こうした連携を可能にできることで、より多様なアプリケーションを利用できるのもiPadのメリットだといえます。

「Apple School Managerでのフェデレーション認証に関するページ」https://support.apple.com/ja-jp/guide/apple-school-manager/axmb19317543/web

さらに2023年9月19日にリリースされたiPadOS 17のアップデートでは、年次更新や再キッティングの際に、これまでiPad上で行っていた言語の選択、国または地域の選択、文字/音声入力の言語選択、Wi-Fi設定、リモートマネジメントなどの初期セットアップ項目が簡略化される機能(※) が実装されました。これにより、現場の管理者や学校現場の負担を軽減できるようになり、特に新入生の端末キッティングでは大幅な作業工数・コストの削減が期待できます。
※本機能の実装については各MDMベンダーまでご確認ください。

 Appleでは、これまで他OSを利用していた自治体向けに、体験・実証プログラムも実施しています。60~90分の時間内でiPadの操作体験やディスカッションを行い、授業での活用イメージが持てるような機会を提供しています。ほかにも、実際にiPadを導入している自治体のモデル校を視察する「GIGA School Visit Program」も実施しており、より身近な環境でのiPad活用を視察できます。現在利用しているOSや端末と比較して、iPadを検討したいときに利用してみるのもおすすめです。

 GIGAスクール構想の目的は、個別最適化な学びや協働的な学びの実現、さらに創造性を育むことにあります。デジタルに慣れ親しんだ児童生徒の創造性や思考力・表現力をさらに伸ばすために、iPadの導入を検討されるのはいかがでしょうか。

関連リンク

★参考URL

AppleのGIGAスクール端末の導入や活用方法をまとめた教師向けページ
「GIGAスクール構想をAppleと」(https://www.apple.com/jp/education/giga/

教育委員会や自治体向ページ
「リーダーとIT」(https://www.apple.com/jp/education/giga/leader-it/