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【監修】朝倉一民(札幌市立屯田北小学校 教諭)

 

ICT担当のわか子は、新米教師のしんじ先生と一緒に、校内でのICT活用が広がるように毎日がんばっています。

特に、新米教師のしんじ先生は、もともとスマートフォンやタブレットなどのデジタルデバイスが大好きなせいか、わか子以上に授業でも積極的にICTを取り入れています。そんなある日、ベテラン教員のはやお先生は、しんじ先生がどのように授業でタブレットを活用しているのかを見学しました。そして、しんじ先生の授業を見学したあと、わか子にこういったのです。

「しんじ先生は、ICTを使う前に授業デザインをもう少し勉強したほうがいいかもしれないね」。わか子、さてどうする?

効果的なICT活用に向けて授業力を磨く方法は?

 

はやお:わか子先生、ちょっといいかな?

 

わか子:はやお先生。どうされましたか?

 

はやお:いや、あのね。しんじ先生がこのところ、すごくがんばってタブレットを授業で活用しているっていうもんだから、どんな授業かと思って見学させてもらったの。

 

わか子:あー! そういえば、しんじ先生が「はやお先生が授業を見に来られた」と話していましたよ。いかがでしたか?しんじ先生の授業は。

 

はやお:うーん、それがね……はっきりいって、しんじ先生。ICTを使う前に授業デザインをもう少し勉強したほうがいいのかなと。

 

わか子:あー…いわれてみれば確かに。学年全体で授業に差が出ないようにすることも私の務めなので責任感じています。

やれやれ、新米教師のしんじ先生。ICT担当としてタブレットを使った授業を積極的にやらなければ…と張り切っているようですが、ベテラン教師のはやお先生から見ると、どうも授業の内容とICTの活用が上手く絡んでいないようです。今回もしんじ先生は授業支援ツールを用いて授業を行ったようですが、はやお先生からは「タブレットを使うことばかり優先して、授業のねらいと内容に合っていない」といわれてしまいました。ICTはツールである以上、授業でいかに効果的に活用できるかが重要です。このような授業デザイン力を磨くためには、どうすればいいのでしょうか?

はやお:それで、少し考えたんだけどね。しんじ先生を連れて、一度、ICTの教員研修に行ってみてはどうだろうか。

 

わか子:それは、いいアイデアですね! 私も何度か研修に行きましたが、とても勉強になりました。しんじ先生はICT担当になってから行ったことがないと思うので、行ってみる価値がありますね!

 

はやお:今はICTを活用した授業デザインの研修もあるから、2人で行っておいでよ!

 

わか子:わかりました! しんじ先生に話してみます!

研修へ行こう! まずは教師が学ぶことが何より大切!

 

わか子:しんじ先生―!

 

しんじ:あ、わか子先生。どうされましたか?

 

わか子:あのね、突然だけど、私と一緒にICTの教員研修に行ってみない?

 

しんじ:な、な、なんですか。急に。

 

わか子:いやぁ、しんじ先生って、ICT担当になってからそういう研修に行ったことがないでしょ? 一度、行ってみるのもいいかと思って。

 

しんじ:は、はぁ。でも、ICTの教員研修ってあれでしょう。タブレットやアプリの操作を教えてもらうってやつでしょう? はっきりいって、自分、ITは得意なほうなので、そういう研修なら行く必要ないかなと思っているんですよ。

 

わか子:もちろん、そういう研修もあるわよ。でも、私が一緒に行きたいなと思っているのは、授業デザイン力の向上を目的にした研修なのね。

 

しんじ:授業デザイン力の向上?

わか子はしんじに、授業における効果的なICT活用や授業デザインの向上をめざした教員研修があることを伝えました。そうした研修では、タブレットの基本操作や具体的なICT活用について学べることはもちろん、アクティブ・ラーニングや21世紀型スキルを育むための授業デザインについても学べることを話しました。例えば「思考力・表現力などの育成を目的としたアクティブ・ラーニングの指導ポイントと効果的なタブレット活用法」や「プロジェクト型学習手法を用いた授業設計と指導法研修」といった内容を学ぶ研修がそれにあたります。

 

しんじ:なるほど〜! そういう研修なら自分も受けてみたいです。実をいうと少し悩んでいたんですよ。はやお先生に授業を見てもらったきも、「授業のねらいに合わせてICTを活用するように」ってアドバイスをもらったんですが、正直、これってアナログでもできるよな〜って思うことが多くて。

 

わか子:私も研修に参加するまでは同じ悩みをもっていたのよね。授業では効果的にICTを活用することが大切!っていわれたけど、実際、どんな風に使えばいいのかわからないしね。でもね、外部の研修会に行ってみると、意外に面白いわよ。学校では聞けない社会情勢の話や21世紀型スキルの話なんかも聞けてね。なぜICTを取り入れることが大事なのかもよくわかったわ。あと、他校の事例が聞けたり、他の学校の先生ともICTについて話す機会があって勉強になったなぁ。

多くの教師にとって、子どもたちの能力を伸ばすために授業でICTをどう活かすかは課題です。忙しい教師たちは、ICT機器を効果的に活用した授業を見る機会も限られていますし、なぜICTを取り入れることが必要なのか、立ち止まって考えることも少ないです。しかし、新学習指導要領では「主体的・対話的で深い学び」の視点が重要視され、それを実現するためにICTの活用は必須とされています。より充実した学びを子どもたちに届けるためにも、まずは教師が学ぶことが大切になってきます。

授業力向上にむけて。研修は実践的な内容で!

 

しんじ:でも、わか子先生。その授業力向上をめざした教員研修っていうのは、具体的にどんなことをやるのですか?

 

わか子:そうねぇ。一番の特徴は、ワークショップみたいな感じで参加者同士がタブレットをはじめとするICT機器を触りながらどんなことができそうかアイデアをだしあったり、授業デザインを考えたりと、実践的な内容が多いってことかしら。私も最初は講義式のスタイルで、話を聞くばかりだと思っていたけど、意外とそうじゃないのよね。

 

しんじ:ワークショップですか。それは面白そうですね。

授業の中で効果的にICTを活用するためには、教師がデジタルとアナログの特性を知っていることが大事です。例えば、デジタルのメリットには、"トライ&エラーが何度もできる"、"リアルタイムで意見共有がしやすい"、"写真や動画が扱いやすい"、"学んだ内容を蓄積しやすい"といったことが挙げられますが、こうした特性を知っておくことで、どのような学習場面にICTを活用すればいいのかが見えてきます。そのためにも、研修では、教師自身がICT機器の可能性を実際に体感し、デジタルのメリット・デメリットを体感できる場が設けられているかどうかが大切になってきます。

 

しんじ:ちなみに、授業デザインは研修の中でどうやって学ぶのですか?

 

わか子:それ、それ。そこが一番大事よね。私が参加した研修では、授業シナリオを分析したり、多くの授業実践の事例を見ながら学んだわよ。講師の先生からICTの効果的な活用をたくさん教えてもらって、それが子どもたちのどんな力を伸ばすことにつながるのか、わかりやすく説明してもらったなぁ。例えば、チームでの新聞作成も同時編集できたり、プレゼンテーションでは動画を挿入したり…今までの授業ではできなかったことが、簡単にできちゃうから、子どもたちにいろいろな学習に挑戦させることができるなって思ったわ。やっぱりICTは目的を持って使うことが大切だけど、そのためには授業デザインとして押さえるべきポイントがあるってことよ、しんじ先生。

 

しんじ:それを研修で学ぶ、ということですね?

 

わか子:その通り! 本当はウチの学校の先生たちにも受けてもらいたいけど、難しいかもしれないわね。

 

しんじ:そうですよね。だって、みんな忙しいですもん。

 

わか子:だからこそ、私たちICT担当が研修を受けて、他の先生に教えられるようにならないとね。とにかく研修に参加しましょう、いいわね!

 

しんじ:わかりましたよぉ。ちなみに、研修はどこで行われていたりするんですかね?

 

わか子:教育委員会主催の研修はもとより、とくに最近はICTに関連した民間の教員向け研修会もさまざま開かれているみたいよ。

 

しんじ:例示がたくさんあって実践的で、普段聞けない社会動向や他の地域の先生とのつながりもできれば欲しいなあ。

 

わか子:注文の多い客ね(笑)。はいはい、しんじ先生にピッタリの研修を探してきますよ。その代わり首に縄をつけてでも引っ張っていくから覚悟しておいてね!

 

しんじ:わかりました!

こうして、しんじ先生はわか子と一緒に、授業力向上をめざした教員研修を受けてみることにしました。今まで、ICTを使うことに一生懸命だった新米教師のしんじ先生ですが、授業デザインを重視して活用することが大切だと改めて認識したようです。

 

ICT活用と授業デザイン力

 

現在、教室には数多くのICT機器が入ってきています。実物投影機、教室用PC、デジタル教科書、タブレット端末、そしてさまざまなアプリ。ほんの10年前までは黒板にチョーク、教科書、ノート、プリントで授業をしていた先生たちにとっては、「教えやすくなった」というよりは、「どうやって活用すればよいかわからない」というのが本音でしょう。それは、ICT活用には子どもたちの「問題解決力」、「ファシリテーション力」、「プレゼンテーション力」といった21世紀型スキルの向上を見計らった授業力が求められるからです。自分たちが学校で学んできた❝授業イメージ=一斉学習❞に強く縛られる教員は、授業観を変えることが難しいといえます。

 

しかし、「アクティブ・ラーニング」時代の今、ICTを活用した授業デザイン力を身につけ、授業観を広げることは急務といえます。そして、それは自ら積極的に学ぶしかありません。

 

現在、さまざまなICT系企業の教員向けの研修サービスが開かれています。研修では多様なICT機器をどのように活用できるかを考えたり、先進地域の教員が実践事例を提示してくれたりもします。多忙な日常ではありますが、長期休業の期間などに積極的に研修を探し、多くの授業事例を見ることが「授業デザイン力」の向上につながります。

 

札幌市立屯田北小学校 教諭 朝倉一民)

 

プロフィール

 

わか子:小学校教員10年目。新しい学校でもICT担当となり、子どもたちのために日々奮闘中。

    研修当日、会場までの道のり40kmをジャスト2時間で走り切った。

  

はやお:小学校教員30年のベテラン。趣味はコンピュータ製作で、ICTにも詳しく、各地に専門家の知り合いがいる。

    ワークショップに参加した際、空気椅子で一日耐えきった過去がある。(挿絵参照)

    

しんじ:小学校教員3年目。学生時代、野犬に襲われているところをわか子先生に助けられた事から教師を目指すようになった。

    わか子先生の「首に縄をつけてでも~」に対する返事が非常によかった。

    

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