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【監修】内田 明(佐賀市立若楠小学校 教諭)

 

新学習指導要領では「情報活用能力」の育成が重要視されています。

これまでは、あくまでも“教科のねらいを学ぶ過程で身につくとよい”という位置づけに留まっていましたが、新学習指導要領においては総則の中で、「学習の基盤となる資質・能力」と明記されました。

 

こうした流れに伴い、今後は授業でもタブレットやコンピュータを活用する機会が増えることでしょう。しかし、正直なところ、学校現場においてはICT機器を活用するどころか、触ったことがない教師も多くいます。わか子先生の学校もそうです。タブレットは配備されているものの、使う教師は限られているようなのです。

そんな状況を察してか、校長先生がしんじ先生を呼び出したようで・・・?

「情報活用能力」は学習の基盤となる資質・能力に位置づけ

しんじ:わ、わ、わか子先生〜、た、た、大変です〜!

 

わか子:どうしたの??

 

しんじ:また校長先生から、ICT担当の我々に仕事がきました〜。

 

わか子:えええ〜! 今度はなにかしら。校長先生っていつも突然なのよね。

 

しんじ:校長先生がいうには、タブレットが授業でどのように使えるのか、校内研修会を開いてほしいとのことです。新しい学習指導要領ではICT活用が重要なので、もっと校内全体の利用を高めたいって。

 

わか子:なるほど〜。となると、うちの学校にはまだタブレットを使ったことがない先生もいるから、基礎的な内容から始めたほうがいいわね。

 

しんじ:ど、ど、どうしましょう〜〜?

新学習指導要領では、「情報活用能力」の位置づけが大きく変わり、「言語能力」や「問題発見・解決能力」などと同じく、総則の中で“学習の基盤となる資質・能力”であると明言されました。

 

現学習指導要領では(2018年執筆時)、教科の内容を学習する過程で情報活用能力が身につくとよいという位置づけであったことを考慮すると、新学習指導要領では、さらに一歩踏み込んだ内容になったといえるでしょう。

具体的には各教科の特質に合わせて情報活用能力を育むと示されていますが、例えば、国語ではローマ字を学ぶときにコンピュータを使ってローマ字入力を学ぶ、社会ではコンピュータを活用した調べ学習などが例示されています。

 

こうした授業を行うためには、教科のねらいを達成するための効果的なICT活用を研究する必要があります。

しかし、それ以前に学校現場ではまだまだタブレットやコンピュータに不慣れな教師も多いため、まずはどのように活用ができるのか、“とりあえずやってみよう、触ってみよう”というところからスタートするのが現実ではないでしょうか。

わか子の学校の校長先生も、そうした意図があって校内研修会を開いてほしいというのです。

わか子:最初の校内研修会だから、どんな先生でも、どんな教科でも使えるICT活用がいいわね。

 

しんじ:はやお先生にもアドバイスをもらいましょう!

 

わか子:いいわね! さっそく行きましょう。

ICT活用の第一歩。映写による効率と効果を体感

 

わか子:はやお先生〜!

 

はやお:やあ、わか子先生にしんじ先生。君たち二人が一緒に私のところへ来たってことは、なにかあるんだね?笑

 

しんじ:さすがです!はやお先生!!

わか子先生としんじ先生は、校長先生から頼まれたタブレットの校内研修会について、はやお先生に相談しました。わか子先生の小学校ではタブレットが配備されていますが、使ったことがない教師も多くいるのです。

 

わか子:教師のICTスキルも異なるので、どんな先生でも、どんな教科の授業で使えるICT活用から始めるのが良いかと思っています。それで、プロジェクターや電子黒板とタブレットを活用した映写から始めるのはどうでしょうか? 多くの先生にとって、板書や教材がタブレットで簡単に映写できると授業も広がると思うんですよね。

 

しんじ:さすが!わか子先生。その使い方なら全員の先生が使えますね!

 

はやお:そうだね〜。あとは、タブレットを使ったことがない先生方のために、タブレットで写真や動画を撮影してもらうところから始めるのもいいよ。タブレットはサーバーとつながっているから、デジタルカメラで撮影するより簡単だしね。校外学習、学校行事、いろんなところで撮った写真や動画を黒板に映写して、見せたい部分を拡大して「ここを見て!」と授業でいえると、子どもたちの反応も違うしね。

「タブレットをどのように使えばよいかわからない」と困っている場合は、タブレットと、プロジェクターや電子黒板を活用した教材や資料の映写から始めるのがオススメです。

 

写真や動画など映像教材を大きく写し出すことができれば、子どもたちの興味・関心も惹きやすいですし、いつも板書に書く内容をスライドにまとめて映写すれば、授業の効率化にもつながります。ほかにも、タブレットのカメラで板書を写真に撮っておけば、前時の振り返りとして活用できますし、子どもたちがノートに書いた文章や答えを写真に撮って、その場で前の黒板に写すことができれば、子どもたちが書いた内容をそのまま授業に活かすことが可能です。

 

このように、タブレットとプロジェクターや電子黒板を使って映写することができれば、提示できるものが増え、今までよりも広がりのあるテンポの良い授業ができるといえるでしょう。

 

しんじ:なるほど〜。そういえば以前、わか子先生が理科の授業で見せていた実験の説明動画、あの使い方も良かったですよね。

 

わか子:電池で動くモーターカーのことね! あの単元では、部品を組み立てたり、電池をつないだり、説明書を見ながらモーターカーを組み立てるのだけど、どうしても説明書だと読むのが苦手な子どももいるのよね。だから動画のほうがわかりやすいかなと思ってつくってみたの。今まで私が前で組み立てながら説明していたけど、教師の手元は見づらいしね。

 

しんじ:動画だと、何度も見ることができるから便利ですよね!

 

わか子:そうなのよ。しかも動画を作るのも簡単よ。一つひとつの工程を写真に撮って、それをつないで動画にしただけ。今はいろいろなアプリが充実しているから簡単にできるのよね。

 

はやお:タブレットの使い方に関していうと、もっと簡単な方法からスタートすることもできるよ。例えば、タイマーを黒板に表示させるとか。話し合いのときや、問題を解くときなど、タイマーを大きく黒板に表示させるだけでも子どもたちはわかりやすいよ。あとは理科で観察をするときに写真に記録して、授業で見せてあげたりとか、歌の練習をする時に動画で撮影して聞かせてあげたりとか。映像を写すことは、いろんな場面で使えるよね。

 

わか子:そうですね! では校内研修では、タブレットとプロジェクターを使った映写の方法や、簡単な活用方法を紹介するところから始めてみましょう。

授業力アップをめざす、職員研修や校内研究でタブレットを活用

しんじ:でも、ぶっちゃけ、それで校内のタブレット利用って高まりますかねぇ。

 

わか子:な、な、なに?しんじ先生。

 

しんじ:だってそうでしょう。うちの学校はタブレットが導入されていたにもかかわらず、今まで使わない先生が多くいたわけで。校長先生はそうした状況がわかったうえで、さらに利用率を高めたいっていってるんですよ。

 

わか子:それも、そうねぇ。じゃあ、どうしたらいいかしら。はやお先生、助けて!

 

はやお:先生全員が使える場面をつくることが大切だよね。そうだ!「職員研修や校内研究での活用」を勧めてみたらどうだろう?

 

わか子しんじ:どういうことですか?

 

はやお:ほら、学校って過去の資料を見る機会が多いだろう? 特に研究授業をするときや職員研修のときは、“前はどうだった?”ってなることが多いよね。そんなときに、サッと過去の資料が提示できると便利だと思うんだ。

先生全員の利用率向上をめざして、職員研修や校内研究での活用を勧めてみるのはどうでしょう。

過去の資料はその場ですぐに確認することができますし、わからない言葉があってもネットで検索したり、PDF版の学習指導要領で検索することができます。

これまで以上に、先生同士の情報共有や話し合いを効率的に進められるでしょう。

 

また、研究授業の様子を撮影し、具体的な学習場面を見せ合いながら意見をいうことができれば、よりわかりやすく意図が伝わります。

ほかにも、ブレーンストーミング形式で話し合った内容を広用紙やホワイトボードにまとめて発表するスタイルは多くの学校で行われていますが、それを撮影して、それぞれのタブレットに保存したり、サーバーに保存しておけば、次回の研修時や、指導案作成時、教材研究時など、いつでもどこでも見ることができます。

 

合理的かつ効率的に研鑽を深める手段として、タブレットの活用を広げていきたいものです。

 

わか子:なるほど〜。確かに。私も未だに言葉がわからなくて、調べたりすること多いんだよね、実は。

 

しんじ:自分なんか、しょっちゅうですよ! 職員研修のときに、“あれ?前にそんなのあったっけ?”ってなること多いです。わか子先生にいうと、怒られそうですが…。

 

わか子:しんじ先生、そんなんじゃ困るよ! しっかりしてね。ったく。

こうしてわか子先生としんじ先生は校内研修会を開催することになりました。実際はうまくいったのでしょうか?気になるところですね。

 

次回は、そんなわか子先生としんじ先生が児童用タブレットの活用法に迫ります!

 

自然な流れで児童の活用につなげる

 

教師がタブレット端末を活用することで、何に便利に使えるかを理解することが、そのまま児童がどう使えば便利で有効なのかを知ることとなり、実践レベルにより早く落とし込むことができると考えます。

 

自分の授業を撮影して振り返り、授業技術を向上させるのに活用している例もあり、そのまま児童の表現活動を撮影して改善点を見出させるという指導に直結します。

また、教師用タブレット端末を校外学習に持っていき、デジタルカメラ代わりに利用することで、その後の振り返り学習の際に画像や動画をサーバーに保存してすぐに教材化したり、児童の学習材料として提供しプレゼンテーション作成等の発表用に加工して活用しているという事例もあります。

 

このように、「教師のタブレット端末活用」をそのまま自然な流れで児童の活用につなげるのが理想的な導入方法でしょう。

 

(佐賀市立若楠小学校 教諭 内田 明)

 

プロフィール

 

わか子:小学校教員10年目。新しい学校でもICT担当となり、子どもたちのために日々奮闘中。

    研修担当デビューであるしんじ先生の緊張をほぐすため、練習相手としての意味でパペット人形をプレゼントした。

 

はやお:小学校教員30年のベテラン。趣味はコンピュータ製作で、ICTにも詳しく、各地に専門家の知り合いがいる。

    校内研修には少し遅れて参加。妙な空気が流れていたため、自分のアドバイスが悪かったのかと心配していた。

 

しんじ:小学校教員3年目。学生時代、野犬に襲われているところをわか子先生に助けられた事から教師を目指すようになった。

    わか子先生に何故か渡されたパペット人形と研修へ臨んだが、誰にも触れられず、タブレット操作もできなかった為すぐに外した。(イラスト参照)

    ※研修は無事、成功しました。

 

 

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