STEAM Lab 活用事例

STEAM Lab活用の目的、ねらい

探究学習を進めていく中で、3Dプリンターや高機能パソコン、ドロ_ン、360°カメラなどの先進テクノロジーを活用することで、児童の思いやワクワクを形に表現する学習を展開することができます。さらに、先進テクノロジーに触れる機会を増やすことにより、これからの情報社会においても主体的に対応していく力をつけることができます。


活用実績事例(サマリー)授業での活用

教科 学年 単元名
総合 5年 「めざせ!フードマイスター」
総合×家庭科 5年 「お茶会にむけて、マイコースターを作ろう」

活用実績事例(サマリー)授業以外での活用

学年 概要
5年 林間学校でお世話になるペンションの方に気持ちを込めて、お礼のプレゼントを作ろう!

1.「めざせ!フードマイスター」 教科:総合 学年:5年


【単元の本質的な問い】

100年後も人は幸せな食生活を送ることができるのだろうか?

【展開計画】

区分 学習活動 活用ツール
導入・課題設定   【課題設定】
  「食べること」について考える。
  ・生きるために必要。
  ・成長に必要。
  ・好きなものを食べると幸せな気持ちになる。
  ・苦手な物は食べたくない。
  ・生き物から栄養をもらっている。
  ・食事を作るためには食材が必要。
  ・野菜やお肉を作っている人がいる。

  <キーワード>
  ・食べることで生きるための栄養を摂取している。
  ・おいしいものを食べると幸せな気持ちになる。
  ・食材を作っている人がいる。
  ・Google Jamboard
  ・Googleスプレッドシート(ふりかえり)
展開1   【情報収集】
  栄養素について知る。
  ・食べ物には、5大栄養素がある。
  ・学校の給食の献立を見ると栄養バランスがよく考えられているな。
  自分の食生活についてふりかえる。
nbsp; ・自分の普段の食事は偏っている日があったな。
  ・Google Jamboard
  →給食に使われている
      食材Yチャートで整理
  ・Googleスプレッドシート(ふりかえり)
展開2   【情報収集】
  久喜市の給食について調べる。
  ・赤、緑、黄色の食材がバランスよく使われている。
  ・牛乳が毎日出る。
  ・季節に合った食材も使われている。
  ・よく出るメニューもあるよ。
  ・郷土料理やお話メニューなど、メニューの工夫もしている。
  ・Google スライド
  ・Google Jamboard
  →どんな場所の給食の
      どんなことを知りたいか、
      目的を明確化する。
展開2   <もっと知りたいこと>
  ・他県の給食について(メニュー、食材、作り方、味など)
  ・なぜ毎日ニンジンが使われているのか。
  ・なぜ牛乳を毎日出すのか。
展開3   【整理・分析】
  集めた情報を、比較したり分類したり、関連付けたりして、
  久喜市の給食のよさを見つける

  ・栄養バランスや消費エネルギーを考えて作られている。
  ・美味しく食べられるよう、工夫されている。
  ・郷土料理や季節のメニューなど、色々な食文化にふれられる
      ようにしている。
  ・Googleスライド
  ・Google Forms
  ・Canva
  ・STEAM Lab
      高機能パソコン
      →発表資料作成
まとめ   【まとめ・表現】
  他県の小学生と、給食について交流する。
  ・他県も久喜市と同じような給食を食べているのだろうか?
  <場所の選定>
  ・北海道、沖縄、四国など気候や土地の様子がぜんぜん違う
      場所の給食も、久喜市と同じような給食なのか知りたい。
  ・社会で勉強した木曽三川の近くにも繋がれそうな学校はないかな。
  ・ホームページを検索して、ICTを使っていそうな学校を調べてみよう。
  <交流できそうな学校にコンタクトをとる>
  ・メールアドレスを確認し、伝えたい内容が伝わるよう文章を
      書いて送ろう。
  <連絡が取れた学校と交流をする>
  ・久喜市の給食についてまとめた制作物をもとに、他県の
      学校と給食について交流をする。
  ・Googleスライド
  ・Google Meet
    →発表資料提示
      オンライン交流
導入・課題設定
展開1
展開1
展開2
まとめ

授業の様子
・STEAM Lab高機能パソコンを使い、動画作成、動画編集を行うことができました。
・作成した動画やスライドなどを活用し、他県の小学校と給食について交流することができました。

2.「お茶かいにむけて、マイコースターを作ろう」 教科:総合×家庭科 学年:5年


【授業の目標】

お茶会に向けて、オリジナル マイコースターを作ろう。

【展開計画】

区分 学習活動 活用ツール
導入   コースターについて知っていることや特徴について話す。
  ・コップの下に引く。
  ・いろいろな形がある。
展開   さまざまなコースターについて調べ、イメージを膨らませる。
  ・形はさまざまだけど、どれもコップより大きい。
  ・厚さも違う。
  ・コップの大きさによってもコースターの大きさは変わるね。

  マイコースターをデザインする。
  ・コップの長さを図って、大きさを決めよう。
  ・自分の名前をいれたいな。
  ・どんなデザイン、形にしようかな。

  3Dプリンターで印刷する。
  ・Tinkercad
  ・3Dプリンター
  ・STEAM Lab
      高機能パソコン
まとめ   ふりかえる。
  ・イメージ通りに作るのは難しい。
  ・考えたものが形になると嬉しい。

授業の様子
·Tinkercad、3Dプリンターの基本操作の習得ができました。
·STEAMの視点→教科横断

3.林間学校でお世話になるペンションの方に気持ちを込めて、お礼のプレゼントを作ろう!!


学年 概要 活用ツール
5年   林間学校でお世話になるペンションのオーナーさんへ、学習したことを
  活かして、お礼のプレゼントを作成する。
  ・Tinkercad
  ・3Dプリンター
  ・STEAM Lab
      高機能パソコン

活用の様子
・ペンションの方へ向けて、グループで話し合いながら、お礼の品を作成し、林間学校当日にプレゼントとともに感謝の気持ちを伝えることができました。
・Tinkercad、3Dプリンターの基本操作の習得ができました。

その他、活用の成果

教員の感想·変容
先進テクノロジ一、STEAM Labを活用することにより、子どもたちの学習プロセスや学習環境の選択肢が増え、学びの広がりを感じることができました。高機能パソコンや、Tinkercadを活用することにより、新たな先端機器に興味ををもち、実体験を通して楽しみながら探究学習を進めることができました。さまざまな授業の中で、児童が先端機器に触れる機会を設けることができてよかったです。

児童·生徒·学生の感想·変容
先進テクノロジーや先端機器においても興味を示し、新しいことにもどんどんチャレンジしようという姿が見られました。先端機器の使い方も少しずつ習得し、活用するものを取捨選択しながら、楽しく活動することができました。

保護者 地域の声
Next GIGAを掲げたSTEAM教育をはじめ、いろいろな教育活動にお金や尽力を惜しまず熱心に取り組まれていてありがたいです。さまざまな先端テクノロジーに触れるなど、学校に通っているからこそできる!ということが多いと感じます。継続してほしいです。(学校評価アンケートより)

今後の課題

先端機器の使い方や活用方法などについて、教職員全体で情報共有をしながら、さまざまな学年、授業で活用していきたいです。

STEAM Lab 実証研究校インタビュー


埼玉県久喜市に位置する久喜市立砂原小学校は、 学区内に関東最古の鷲宮神社がある深い歴史と美しい自然が息づく小学校です。同校では、 コロナ禍においても子どもたちの学びの機会を逃さないために ICT を駆使した教育に力を入れています。これは地域の伝統と最新の技術教育を融合させた独自の教育方針の一環です。さらに、 STEAM 教育を通じた想像力 ・ 問題解決能力の育成にも注力。そんな同校の教諭と同市内全体の学びをサポートする久喜市教育委員会に STEAM 教育への取り組みと同校に設置された STEAM Lab の活用事例についてお話を伺いました。

ICT のない社会は考えられない。それが ICT 推進の原点

久喜市では 31 の小中学校すべてで STEAM 教育を進めていくため、各学校から推進担当教諭を集め、研修会を実施するなどの取り組みが行われています。そんな同市に位置する砂原小学校では一人一台 PC が導入される以前より、「コロナ禍の中においても学びを止めない」を合言葉に、果敢にもオンライン授業に挑戦してきた経緯を持っています。後に導入された一人一台 PC の環境に合わせ、高速通信環境を整備することで快適な学びへとつなげ、ICT を活用した探究学習に対して注力しているのも大きな特色です。そんな同校が STEAM Lab の実証研究に参加したきっかけは、「これからの時代を考えた時、ICT がない社会は考えられない。という思いがあったから」と、同校の白石教諭は語ります。また海外在住経験を持つ久喜市教育委員会の古田氏も外国で行われているテクノロジーを活用した問題解決型学習の体験から、「日本も後れを取らずに率先して取り組むべきと感じました」と STEAM Lab の導入への想いを語ります。

保護者からの不安の声に対して真摯に取り組み、 保護者の理解を得て、ICT を推進したという同校
家庭科の授業と 3D プリンターを組み合わせ、 コースターを作成する様子

“できない” が “できる” に変わったことで、意識が大きく変わる

同校の STEAM Lab に設置されたのは、27 インチの大型液晶、そして高性能 PC と 3D プリンター。Adobe Creative Cloud も導入され、プロと同じ環境で動画編集を行えるのも特徴です。そんな STEAM Labの設置によって、従来の一人一台 PC では動かなかったソフトウェアもスムーズに扱えるようになっただけではなく、視覚的にモデリングができる 3D プリンターにより学びの意識が変わったと同校の斎藤教諭は語ります。とくに 3D プリンターは、ネームプレートやコースターの作成といったアイデアをカタチにする授業のほか、社会科の授業で埼玉県の地形図を立体的に作成することで起伏についての学びを深めるのにも役立ったと振り返ります。従来ではできなかったことができる。もしくは、できるかもしれない。それだけで、やってみようという意識が芽生える。導入当初は、試しに触ってみることから始めた取り組みも、試行錯誤を繰り返しカリキュラムを醸成し、学年を問わずさまざまな単元やシーンで活用されています。

選択肢が増えることで目的意識や学習の価値が高まる

STEAM Lab 設置後では、従来の ICT を活用した授業と比べ表現活動における選択肢が増えたと白石教諭は語ります。それまでは、新聞やスライドを用いた発表に留まっていたものが、STEAM Lab の設置によって3D プリンターで作ったモデルを用いたり、動画でまとめて伝えたりするといった表現活動も選択肢に加わったとのこと。それは子どもたちだけでなく教職員も同様で、伝える相手に合わせて表現方法を変える “目的意識”と “相手意識” が高まったのではないかと評価しています。また、選択肢が増えたなかでの表現活動によって、自分の考えをしっかりと持ち、それを表現するという部分や疑問に対して何かを答えられるようになってきている。そんな意識の高まりも実感できると久喜市教育委員会の古田氏は付け加えます。それによって、従来と比べてテストにおける無回答率が減ってきたり、記述の問題において回答率が上がるといった傾向もみられるなど、STEAM Lab 導入の効果について評価いただきました。

STEAM Lab の機材によって、 お祭りで流す動画を作成するといった表現活動ができるように
STEAM Lab の機材によって、 お祭りで流す動画を作成するといった表現活動ができるように

子どもたちの夢や想いをカタチにできる場所にしたい

一人一台 PC によって小学 1 年生の段階から ICT に慣れ親しみ、さらには 3D プリンターで出力できる環境が整っている同校。研究主任の白石教諭は「学年に関係なく、やりたいことがあったら STEAM Lab に行ってやってみる。動画を作ってみたくなったら、大きな画面をいっぱいに使って編集をしてみる。そんな子どもたちが描いた夢や想いをカタチにする。そんな場所になってくれたらいいですね」と語ります。また、久喜市教育委員会の古田氏は「市内には、砂原小や同じSTEAM Lab を設置した久喜中学校の取り組みを見て、学校独自で 3D プリンターを導入した学校もあります。子どもたちの成長のために何かをしなければならない。できるところから始めてみようといった具合に学校全体の意識が変わったように思います」と語ります。さらに、古田氏は「市内にある 10 の中学校に 3D プリンターの導入を検討しています」と児童生徒の想像力をカタチに残し、次世代人材の育成、そして課題解決につなげるための具体的な取り組みにも触れ、インタビューを締めくくりました。

STEAM Lab 導入機材

• レノボ・ジャパン合同会社
  ThinkStation P2 Tower
  ThinkStation P3 Tiny
• 28 インチ液晶 4K モニター、 3D プリンター
• Adobe Creative Cloud 小中高校サイトライセンス
• みんなでプログラミング