STEAM Lab 活用事例

STEAM Lab活用の目的、ねらい

本授業のテーマはSTEAM教育です。STEAM(Science、Technology、Engineering、Arts and Humanities、Mathematics)
教育とは、教科横断・文理融合の考え方に基づき、実社会の課題を解決しようとする主体的で創造的な学びです。
本演習では、株式会社アワーズとの連携のもと、学生が動物園x SDGsというテーマで探究/創造に取り組みます。

1.動物園×SDGs 科目:教養ゼミ 学年:大学2年生


活用実績事例(サマリー)授業での活用

科目 学年 プロジェクト名
教養ゼミ 大学2年生 動物園x SDGs

【授業の目標】

動物園x SDGsに関する探究/創造

【展開計画】

区分 学習活動 活用ツール
導入   第1回  ガイダンス、株式会社アワーズによる講義
  第2·3回   アドベンチャーワールドヘのフィールドワーク
  ・デスクトップPC
展開   第4回  フィールドワークで得だ情報の整理
            テーマ設定に向けたディスカッション
  第5回  テーマ設定、コンセプト立案
  第6回  コンセプトについてプレゼン準備
  第7回  オンラインによる中間発表会
  第8回  コンセプトの修正、プロトタイプに向けた構想
  第9·10·11回  プロトタイピング
  ・デスクトップPC
  ・3Dプリンター
まとめ   第12回  最終発表会に向けたプレゼン準備
  第13回  最終発表会
  第14回  活動の振り返り、指導者の立場からの考察
  第15回  掲示用ポスターの制作、まとめ

授業の様子
授業の前半では、まずアドベンチャーワールドの企業理念やSDGsへの取り組みが紹介され、パーク内の施設や課題を学びました。例えば、パンダの飼育で発生する竹の廃棄問題や、LIMEX素材を使用したパンフレットのアップサイクルなどが挙げられます。次に、これまでのフィールドワークから得だ清報をもとに、課題についてディスカッションし、解決策のアイデアを模索しました。その結果、竹の再利用、SDGsの理解を深めるためのデジタル技術の活用、体験型プログラムの開発、中高生や大学生をターゲットにしたプログラム開発が検討され、4つの班に分かれて具体的な内容を構築しました。

活用の様子
1班は、竹を利用した新製品のアイデアを検討しました。竹製の番傘や子ども用レインコートを試作し、プロジェクトの最終プレゼンテーションでは、これらの試作品に防水処理を施し、その実用性をデモンストレーションしました。

2班は、デジタルサイネージ付きゴ三箱を通じてアドベンチャーワールドの訪問者にSDGs(持続可能な開発目標)を啓発するシステムの開発を行いました。開発過程では、GoogleのTeachable Machineを使った画像認識Alと、Scratchプログラ三ングを活用し、その革新性とゴ三箱の改良というアイデアが肯定的に評価されました。

3班は、世界に1つだけの思い出ハンティングというアドベンチャーワールドの訪問者が楽しみながら情報を得る体験型プログラムを検討しました。このプログラムでは、家畜に分類されるアルパカやラクダの毛を使用して筆を作成し、訪問者がその筆で字を書いたり、動物柄の落款印を押したりする体験を考案しました。

3班は、世界に1つだけの思い出ハンティングというアドベンチャーワールドの訪問者が楽しみながら情報を得る体験型プログラムを検討しました。このプログラムでは、家畜に分類されるアルパカやラクダの毛を使用して筆を作成し、訪問者がその筆で字を書いたり、動物柄の落款印を押したりする体験を考案しました。

その他、活用の成果

学生の感想・変容

学生たちの振り返りを整理すると以下のようになります。
STEAMと社会との関連性について深く考える機会を得ました。はじめは不安もあったものの、チームで協力して成功を収めることができました。また、実際に企業と連携してプロジェクトを行う経験を通じて教育現場におけるSTEAMの応用や将来の教育者としてのスキルを磨くことができました。
学生たちは、困難を乗り越えて得られた経験から、今後の教育活動や社会貢献に役立つ知識と自信を深めたと感じています。また、教師としてSTEAM教育を行っていくための意識や視野を身につけたのではないかと考えられます。

今後の課題

中間報告会を経て、考案したプロジェクトを改善していくという問題解決型の学習はできていました。しかし、最終報告会で提案された内容は単なるフィードバックで終わってしまっていたので、この改善案を活かしてプロジェクトをより実現性のあるものに改良していく授業展開があってもいいのではないかと考えられます。

2.STEAMの力で地域の活性化 科目:教養ゼミ 学年:大学2年生


活用実績事例(サマリー)授業での活用

科目 学年 プロジェクト名
教養ゼミ 大学2年生 STEAMの力で地域の活性化

【授業の目標】

STEAMの力で地域の活性化

【展開計画】

区分 学習活動 活用ツール
導入   第1回  ガイダンス、加東市についてフリートーク
  第2回  加東市の商工観光業についての講義
  第3回  加東市内フィールドワークの計画
  第4回  加東市内フィールドワークの実施
  ・デスクトップPC
  ・大型モニター
展開   第5回  加東市の問題および課題解決策について検討
  第6回  解決策についてプレゼン準備
  第7回  加東市商工観光課の方ヘプレゼン
  第8回  加東市商工会の方々と相談
  第9回  イベントに向けスキル習得(動画編集など)
  第10回  動画素材収集のためのフィールドワーク
  第11・12回  イベント準備
  第13回  イベント開催
  ・デスクトップPC
  ・大型モニター
まとめ   第14回  アンケート集計、報告書作成
  第15回  活動の振り返り
  ・デスクトップPC
  ・大型モニター

授業の様子
第1回:フリートークで、グループBの受講生全員が市外からの通学生で、加東市についてほとんど認知していないことが判明。
第2回:加東市商工観光課の方による商工観光業の現状と課題についての講義。
第3回:フィールドワークの計画立案。
第4回:商工観光課の方の案内でフィールドワークを実施し、課題と良さに気づく。
第5回:加東市の商工観光業に関する講義やフィールドワークを基にブレイン・スト一三ングを実施。課題を「兵教大学生に加東市・商店街を認知してもらうにはどうしたらいいか」と設定し、解決策として「大学内で加東市商店街の紹介イベントを開催」を決定。
第6回:イベントの具体策を検討し、プレゼンにまとめる。
第7回:アイデアを商工観光課に聞いてもらう。
第8回:商工会や社商店連合会事務局と具体的な実現方法を相談。イベント内容を学生に商品を渡す形式に変更。
第9回:動画編集スキル習得。
第10回:動画の素材集めのためのフィールドワーク。
第11回・12回:イベント告知用のInstagramアカウント開設、動画作成·投稿、ポスター作成・掲示、アンケートフォーム作成など。
第13回:「やしろ商店街One Dayアンテナショップ」イベントを大学内のSTEAM Labで開催。100人超の参加があり、盛況に終わる。
第14回:アンケート結果の集計と報告書作成。
第15回:振り返り。地域の課題解決活動の難しさと楽しさ、ICTの有効性と必要性、多くの人の協力の重要性を認識。

活用の様子
フィールドワークや加東市との打ち合わせ、作成したポスターやSTEAM Labでのイベントの様子は以下の画像のとおりです。

その他、活用の成果

学生の感想・変容

学生の振り返り記述を整理すると、以下の内容が挙げられます。

1. 地域の課題を見つける活動の難しさ
—課題を見つけて解決する過程が容易ではないことを実感しました。
2. 活動の楽しさと大切さ
—課題解決に向けて試行錯誤する楽しさと、その活動の重要性を感じました。
3. 指導者としての視点
ー将来教師になった際に、子ども目線での体験が役立つことを認識しました。
4. ICTの有効性と必要性
ー情報通信技術(ICT)の有効性とその必要性を実感しました。
5. 協力の重要性
—多くの人の協力が必要であることを強く感じました。

これらの感想から、学生たちは実際の活動を通じて多くの学びを得て、地域貢献や指導者としてのスキルを身につける重要性を理解したことが見受けられました。

今後の課題

今後はより多くのSTEAM Labの設備を活用したり、多くの学生で加東市の問題解決に取り組む必要があると考えます。

3.STEAMフェスの企画・運営 科目:教養ゼミ 学年:大学2年生


活用実績事例(サマリー)授業での活用

科目 学年 プロジェクト名
教養ゼミ 大学2年生 STEAMフェスの企画・運営

【授業の目標】

加西STEAMフェスにおける子ども向けワークショップの企画・運営

【展開計画】

区分 学習活動 活用ツール
導入   第1回 オリエンテーション
  ・教科横断的な探究/創造活動に取り組みSTEAM教育を実体験する。
  ・加西STEAMフェスに参加し子どもを対象にSTEAM教育にかかわる指導
     を実体験する。
  ・教員紹介と各班の趣旨説明。
  ・デスクトップPC
展開   第2~7回 班別活動
  ・各機器の基礎的な使い方を学ぶ。
  ・各機器が小学校教育でどのように活用可能か実践的に学ぶ。
  ・ワークショップで行うSTEAM教育にかかわる活動を検討する。
  第8回 模擬ワークショップ
  ・各班で模擬ワークショップを実施する。
  ・子どもたちが実際に活動した様子を学生同士で議論し、内容を
     改善する。
  第9 ~11回 ワークショップ実施
  ・加西STEAMフェスにおける子ども向けワークショップを実施する。
  ・デスクトップPC
  ・3Dプリンター
まとめ   第12~14回 班別の振り返り
  ・ワークショップの振り返りと改善案を検討する。
  第15回最終回
  ・3班合同でワークショップの振り返りと教師としての学びを発表・共有      する。
  ・授業全体の振り返りと事後アンケートを実施する。
  ・デスクトップPC
  ・大型モニター

子ども向けのワークショップを企画・運営するプロジェクトであるPBLを通して、学生が教師のファシリテーションなどについて考えることを意図しています。本来であれば、ワークショップの課題設定から学生が行うべきですが、加西STEAMフェスのプログラム登録上、課題設定が授業開始後では間に合わないため、当初案は大学教員側が設定しました。そして学生は、 STEAM教育を行う際の教師のファシリテーションについて学ぶことを目指しました。

はじめは、CADソフトの扱いに戸惑っている様子がうかがえ、30mm15mm5mmのネームプレ_卜の作成にも時間がかかっていました。しかし、2つ目の作品を作るときには操作にも慣れ、3Dプリンターのセッティングもこなしていました。また、 STEAMフェス後は小学生の作品のチェック作業を行い、修正なども行えるようになっていました。

その他、活用の成果

学生の感想・変容

学生の振り返り記述を整理すると、以下の2点が挙げられます。
1点目は、ワークショップで作品を完成させることが目標ではなく、製作活動を通してSTEAM教育に対する興昧·理解を深めることの重要さです。はじめは機材の使い方を子どもに教えることに注視してしまいがちになりますが、そのたびにSTEAMとのかかわりを意識させるようにしました。
2点目は、子どもの発達段階に応じて適切な指導とフィードバックを行うことの大切さです。当日3Dプリンターのワークショップを受講した子どもの学年はさまざまでした。また、同じ学年であってもICTを活用する力に違いがあり、学生が想定していた展開どおりに進めることができない場面がありました。
これらの点から、教師としてSTEAM教育を行っていくための意識や視野を身につけたのではないかと考えられます。

今後の課題

ワークショップの企画・運営だけでなく、学生自身の問題発見·課題設定を行う場面を設定し、それを解決するための試作品や製品づくりとして3Dプリンターを用いる実践をワークショップ企画とのバランスを調整しながら検討したいです。

4.兵庫教育大学におけるコ三ュニティー・ハブづくり
  科目:家庭科教育法IV 学年:大学4年生

「3Dマイホームデザイナー」を活用して空間をデザインし、プレゼンテーションにまとめて発表する。


活用実績事例(サマリー)授業での活用

科目 学年 単元名
家庭科教育法Ⅳ 大学4年生 兵庫教育大学におけるコミュニティー・ハブづくり

【授業の目標】

「兵庫教育大学におけるコ三ュニティー・ハブづくり」というプロジェクト・ベースの学習活動を通して、高等学校家庭科におけるホーム・プロジェクトおよび学校家庭クラブ活動的な学習活動の内容と指導法を理解する。

【教材、使用ツールなど】

・3Dマイホームデザイナー ・Microsoft PowerPoint ・Microsoft Word ・Jamboard

【展開計画】

区分 学習活動 活用ツール
1時間目   居心地が良いと思う空間の具体例を調べてプレゼンし特徴を付箋に
  まとめる。
  ・Microsoft PowerPoint
2時間目   学内を散策し、コ三ュニティー・ハブになりそうな空間を見つけ、
  良し悪しや改善案を考える。
  ・Jamboard
3時間目   個人でコ三ュニティー・ハブの企画書を作成する。
  ・Microsoft Word
4・5時間目   グループごとに、コ三ュニティー・ハブの企画書を作成する。
  ・3Dマイホームデザイナー
6時間目   グループごとに、企画を発表する。
  ・Microsoft PowerPoint
  ・3Dマイホームデザイナー
7時間目   活動を振り返り、指導のあり方を考察する。
  ・Jamboard

「3Dマイホームデザイナー」の活用を中心に報告します。
4·5時間目は、STEAM LabのPCにインストールされている「3Dマイホームデザイナー」を活用して、空間を設計しました。パーツを並べることで間取り図を作成することができるため、PC操作が得意でなくてもマウス操作で比較的容易に間取り図を作成することができました。また、ボタン1つで間取りが立体化されるので、完成をイメージしながら間取り図を作成することができました。

6時間目は、STEAM Labにおいて、建築士で地域活性化アドバイザーであるゲストスピーカーヘ企画案をプレゼンしました。

その他、活用の成果

教員の感想・変容

デザイン思考を働かせて大学内の空間を創造するプロジェクト・ベースの学習活動を行いました。その中で学生は「3Dマイホームデザイナー」で表現し、Microsoft PowerPointで企画をプレゼンするという活動に取り組みました。自分たちが生活している大学という場の解決策を検討するという学習活動に、学生は当事者意識を持って、楽しみながら取り組むことができていました。 STEAM LabのPCにインストールされている「3Dマイホームデザイナー」を活用することで、これまで実現が難しかった空間のデザインを学生にさせることができ、授業の幅が広がりました。

学生の感想・変容

7時間目の授業後の振り返りで、学生からは「3Dマイホームデザイナーを使った設計や、Microsoft PowerPointを使ったプレゼンテーションを通してICTの知識や技術もより身につけることができたように感じます。また私自身、企画することの楽しさを感じることができました」などの感想が得られました。ICT活用については苦手意識を持つ学生も多いですが、ICTの知識や技術が身に付くとともに、ICT活用の有用性などを感じることができたようでした。

今後の課題

はじめての取り組みだったため、授業展開で過不足な部分がありました。時間配分や指導方法などをブラッシュアップして、学生の学びがより深いものになるようにしたいと思います。

5.教材研究 デジタルものづくり・プログラミングなど
  科目:技術科教育法l~IV 学年:大学2~4年生


活用実績事例(サマリー)授業での活用

技術科教育法l ~IVにおいて、中学校技術科の学習内容として取り上げられているデジタルものづくり、プログラ三ングなどの教材研究を学生に行わせるために、STEAM Labを活用しました。

科目 学年 単元名
技術科教育法Ⅰ 大学2·3年生   内容:『Cエネルギー変換の技術』の教材研究
            LEGO Education SPIKEを用いた機構モデル
  内容:『D情報の技術』の教材研究
            Smalrubyを用いたプログラミング
技術科教育法Ⅱ 大学2·3年生   内容:『A材料と加工の技術』の教材研究
            3DCAD、3Dプリンター
  内容:『D情報の技術』の教材研究
            ねそプロを用いたプログラ三ング
技術科教育法Ⅲ 大学3・4年生   内容:『A材料と加工の技術』の教材研究
            レーザー加工
  内容:『D情報の技術』の教材研究
            micro:bitを用いたプログラ三ング
技術科教育法Ⅳ 大学3・4年生   マイクロ・ティーチングの教材研究
  LEGO Education SPIKEを用いたプログラ三ング
  micro:bitを用いたプログラ三ング
  Googleサイトを用いた」avaScriptプログラ三ング

【展開計画(各単元共通)】

区分 学習活動 活用ツール
導入   当該教材を使用する学習内容   各単元に記載
展開   当該教材の特徴、活用方法、授業デザイン   当該教材を用いた演習   各単元に記載
まとめ   活動の振り返り   各単元に記載

〇技術科教育法l
技術科内容「Cエネルギー変換の技術」の教材研究として、LEGO Education SPIKEを用いた機構モデルの仕組みについて演習を実施しました。

〇技術科教育法Ⅱ
技術科内容「A材料と加工の技術」の教材研究として、Tinkercadと3Dプリンターを用いた演習を実施しました。

〇技術科教育法Ⅲ
技術科内容「D情報の技術」における「計測・制御システムのプログラ三ング」の教材研究として、micro:bitを用いた演習を実施しました。

〇技術科教育法Ⅳ
技術科内容「D情報の技術」のマイクロ・ティーチングにおいて、LEGO Education SPIKEを用いたプログラ三ング、micro:bitを用いたプログラ三ング、Googleサイトを用いた」avaScriptプログラ三ングを教材とする授業デザインの演習を実施しました。

その他、活用の成果

教員の感想・変容

中学校技術・家庭科技術分野(技術科)の指導方法の指導に際して、STEAM Labに整備されている各教材をフルに活用することができました。技術科の内容「A材料と加工の技術」では、デジタルものづくり系教材(3DCADや3Dプリンター、レーザー加工機など)を活用しました。内容「Cエネルギー変換の技術」では、LEGO Education SPIKEを用いて、計測・制御系のロボット教材を前提に、リンクやギアなどを組み合わせた機構モデルの演習を行いました。内容「D情報の技術」では、micro:bit、LEGO Education SPIKE、Googleサイトを活用して、プログラ三ングの教材研究と授業デザイン(学習指導案作成)、マイクロ·ティーチングを行いました。いずれも効果的であったと捉えています。

学生の感想・変容

受講した学生からは、デジタルものづくり、プログラ三ングなどについて、指導者として持つべきスキルの必要性に言及する感想が得られました。その上で、これらの教材を効果的に活用した授業デザインと、学習活動のデザインが重要であるとの気付きを得ることができました。

今後の課題

次年度も同様に、STEAM Labの機材を活用した授業を展開していきたいです。特に、デジタルものづくりやプログラ三ングは、技術科の重要な学習内容であることを踏まえ、しっかりとした授業を実践していきたいと考えています。

6.STEAM Labにおけるガーメントプリンター、カッティング・マシンの活用
  研修:Society5.0研修会 対象:大学教職員


活用実績事例(サマリー)研修での活用

本研修のテーマは、STEAM Labにあるガーメントプリンターとカッティング・マシンの使い方を習得し、学内の講義・演習で活用することを目指します。

研修 対象 内容
SocietyS.O研修会 大学教職員   STEAM Labにおけるガーメントプリンター、カッティング・マシンの活用

【研修の目標】

STEAM Labのガーメントプリンター、カッティング・マシンの活用

【展開計画】

区分 学習活動 活用ツール
導入   ・STEAM Labの機材についての全体的な紹介
  ・予約方法などについての説明
  ・大型モニター
展開   ・ガーメントプリンターの活用方法の説明
  ・カッティング・マシンの活用方法の説明
  ・デスクトップPC
  ・ガーメントプリンター
  ・カッティング・マシン
まとめ   ・鑑賞会

はじめは慣れない機器操作に戸惑っている様子でしたが、1度体験し見通しが立つと次々に製作していました。

その他、活用の成果

参加者の感想·変容

普段何気なく使用していた小物に、自分でデザインしたものが印刷されるので、とても充実した活動になりました。

今後の課題

継続的な研修を実施し、より多くの先生方に使用してもらえるようにしたいと思います。

7.STEAM Labにおけるレーザー加工機・彫刻機の活用
  研修:SocietyS.O研修会 対象:大学教職員


活用実績事例(サマリー)授業での活用

本研修のテーマはSTEAM Labにおけるレーザー加工機·彫刻機の活用方法を学び、学内の講義·演習で活用できることを目指します。

研修 対象 内容
SocietyS.O研修会 大学教職員   STEAM Labにおけるレーザー加工機·彫刻機の活用

【研修の目標】

STEAM Labにおけるレーザー加工機·彫刻機の活用

【展開計画】

区分 学習活動 活用ツール
導入   レーザー加工機·彫刻機の機能や使用上の留意点の解説   ・大型モニター
展開   レーザー加工機・彫刻機の活用演習   ・デスクトップPC
  ・iPad
  ・レーザー加工機(Beambox Pro)
  ・彫刻機(LaserPecker)
まとめ   鑑賞会

はじめは慣れない機器操作に戸惑っている様子でした。タブレット端末と彫刻機の接続に戸惑ったり、途中回線が途切れてしまったりすることに苦労していましたが、1つうまく作品ができると、とても満足そうでした。

その他、活用の成果

参加者の感想・変容

自分でデザインしたものが彫刻されていく様子に、参加者全員が興味津々でした。また、完成品にとても満足している様子でした。

今後の課題

レーザー加工機Beambox Proと彫刻機LaserPeckerそれぞれの演習に時間がかかり、いずれか一方の機材しか使用することができませんでした。今後は時間配分の調整や、機材ごとに研修を設定することも必要と考えられます。

8.STEAM教育の実践に向けたTechnology & Engineeringの学び
  研修:加西市STEAM担当者研修会 対象:STEAM教育担当者


活用実績事例(サマリー)研修での活用

本研修では、加西市の小学校のSTEAM教育担当者にSTEAM教育について体験的に学習してもらうことをねらいとしています。

研修 対象 内容
加西市
STEAM担当者研修会
STEAM教育担当者   STEAM教育の実践に向けたTechnology&Engineeringの学び

【研修の目標】

加西市のSTEAM教育担当に、STEAM教育を推進できるようなスキルを身につけてもらう。

【展開計画】

区分 学習活動 活用ツール
導入   3DCAD·3Dプリンターの演習   ・デスクトップPC
  ・3Dプリンター
展開   レーザー彫刻の演習   ・デスクトップPC
  ・彫刻機(LaserPecker)
まとめ   ペーパー・プロトタイピングやプログラ三ング・ロボットの紹介   ・大型モニター

はじめはTinkercadの操作に慣れておらず、3Dモデルの作成に苦戦していましたが、何とかデザインを完成させ、実際に3Dプリンターで印刷される様子を興味深そうに観察していました。また、レーザー彫刻機は接続に少し戸惑っていましたが、レーザーで焼き付けながら刻印されていく様子を楽しみながら観察していました。

その他、活用の成果

参加者の感想·変容

新しい機材に触れる時は、緊張している様子でしたが、実際に活動していく中で、自分のデザインが形になるさまを見ると、はじめのころの不安が薄れているようでした。1日の研修を通して、さまざまなコンテンツに触れる機会になり、充実した研修になっていたようです。また、ここで学んだことを学校現場でどのように活かしていくのか考えている様子も見られました。

今後の課題

内容が盛りだくさんで、研修の終盤では説明が早足になり、演習にも時間が取れなくなったので、時間配分を検討する必要があります。

STEAM Lab 実証研究校インタビュー

兵庫教育大学は、2022 年度より文部科学省から「教員養成フラッグシップ大学」に指定された “令和の日本型教育” の中核を担う次世代の教員養成を先導する大学です。豊かな人間性と深い専門性、優れた実践的な指導力を備えた教員養成に取り組んでいます。育成すべき教員像を具体化した教員養成スタンダードを開発し、必要とされる資質能力を確実に身に付ける全学的な指導体制を構築し、生涯にわたって学び続ける教師の育成を図っています。そんな同大学の STEAM Lab 活用事例について、森山潤教授と永田智子教授にお話を伺いました。

STEAM 教育の担い手を育成する使命の一端を STEAM Lab に担ってほしい

2022 年度より「教員養成フラッグシップ大学」に指定された同大学。“教員養成の在り方自体を変革していくための牽引役” として、文部科学大臣に指定され、そのひとつの取り組みとして「STEAM 教育概論」という授業科目と 「STEAM 教育演習」という授業科目の 2 つを設置する予定となっています。後者の STEAM 教育演習は、学生が実際に教育を受ける子どもの立場として STEAM 教育を体験。その経験をもとに、次は指導者の立場として、どのようなポイントが大切なのかを学ぶといったユニークな科目を想定していると森山教授は語ります。また、同大学では学生個人の BYOD 端末である iPad に加え、大学全体のシステムは Windows PC、そして授業の中では Chromebook を使用するなど、学生が着任した先々で出会う環境に慣れ親しむための環境が整備されているのも特徴です。 STEAM Lab は教育の変革に関する研究や授業実践だけでなく、学生がシステムに慣れ親しむ場としても活用されています。

同大学ではデザイン思考の 5 ステップを取り入れた STEAM 教育が展開されています
授業の中で 3D プリンターを活用した設計 ・ 試作を体験する学生

STEAM Lab を独自に拡充することで、より深く実践的な学びの場を提供

STEAM Lab を設置した同大学ですが、 20 名想定のカリキュラムをスムーズに行っていくために、 当初 1 台だった 3D プリンター を 5 台まで拡充。さらに、 ロボット教材やカッティング ・ マシン、 レーザー加工機、ガーメントプリンター、真空成型機、360 度カメラ、VR ゴーグル、3D スキャナーなど、STEAM 教育を行っていくうえで必要な機器を続々と導入。中学の技術科の教職課程で習得が必要な 3D プリンターをはじめとする機器に対応するチカラを身に着けるために活用していると森山教授は語ります。また、 永田教授が担当される STEAM 教育演習のカリキュラムでは “子どもたちに 3D プリンターの使い方を教える” などのイベントを企画。3D プリンターの技術習得やイベント告知のポスター制作で STEAM Lab を活用。また、 学生が持つ BYOD のタブレット端末では難しい 3D モデリングやスライスといった作業でも STEAM Lab を活用いただいています。

ICT 利活用の気付きも与える STEAM Lab は教育活動、地域貢献の拠点

兵庫県の加東市に位置する同大学ですが 「加西 STEAM 宣言」 を行った隣の加西市と連携し共同研究を実施。そのひとつの取り組みとして、 各学校の教職員を STEAM Lab に招いて研修会を開催するといったことが行われています。また、 和歌山県にあるアドベンチャーワールドと連携したプロジェクトでは STEAM Lab を活用し、 デジタルサイネージ付きゴミ箱の制作をはじめ、 動物の毛を活用した毛筆体験ができる新しい観光プログラムを開発。さらに加西 STEAM フェスにおいて子どもたちを対象としたデジタルモノづくり体験を実施するなど、 STEAM Lab は、 学内の教育という枠組みを超え、 地域と連携した共同研究や社会貢献活動の拠点としての役割も担っています。こうした活動や STEAM 教育に関するカリキュラムを通じ、森山教授は「学生たちの STEAM 教育に関する意識が高まり、 将来的な指導に向けた自分の課題把握などにも役立っています」と評価。永田教授も 「苦手意識を持つ学生のなかにも ICT 活用に関する必要性が高まりました」と評価いただきました。

引き出しのひとつとして、 テクノロジーの知識を

地域との連携、 新たなカリキュラムの創生など、 さまざまな取り組みを行う同大学での学生たちについて、森山教授は「従来の総合的な学習の時間と STEAM 教育の違い、 そして必要性を理解したうえで、 指導できる教員にならなければいけないという意識の高まりを感じています。また、 そういった指導をするためには多くの引き出しが必要だと痛感した学生からは、テクノロジーに関する知識を学びたいという声もあがっています」と語ります。また、 2024 年度から STEAM 教育演習に関する科目の必修化が行われる同大学ですが、 永田教授は「現状の教室サイズでは、 1 学年全員という規模で授業を行うのは難しいので、 全員に STEAM 教育を体験させるための工夫、 仕組みづくりをしていきたいです」と必修化にともなう今後の課題についても触れ、インタビューを締めくくりました。

STEAM Lab 導入機材

• エプソンダイレクト株式会社
 Endeavor ST50 スタンダード ・ モデル 20 台
• 27 インチ液晶モニター、 3D プリンター
• Adobe Creative Cloud
• 作ってみよう! Windows 版インストール ・ ライセンス(デバイスライセンス)
• mBot2.0_JP(Dongle 付き)(教育版、 ブルーカラー)