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子どもたちが広げるICT教育の可能性。求められる「21世紀型スキル」とは? 【前編】

2016年01月04日 記事

文部科学省は次期学習指導要領の改訂の中で、“アクティブ・ラーニング”(能動的な学習)を推進している。その根底にあるのは21世紀型スキルの育成だ。これまでの学力観では測ることが難しい21世紀型スキルを身に付けることが、これからの社会を生きる子どもたちには必要とされており、答えのない問題に対して他者と協働しどのように課題解決していくのか、そんな力が求められている。では、学校教育の中で21世紀型スキルを育成していくためにはどうすればいいか?タブレットをはじめとしたICTを21世紀型スキルの育成にいかす3名の小学校教諭に話を聞いた。

ICTは、21世紀型スキルを育成するための手段のひとつ!

加藤悦雄教諭(北広島市立双葉小学校)
加藤悦雄教諭(北広島市立双葉小学校)

ペーパーで測ることができる学力向上を目指すのであれば、知識伝達型の一斉授業を続ければいいのかもしれない。しかし、未来のグローバル社会を生きる子どもたちにとって、コミュニケーション能力、コラボレーション能力、情報活用能力や批判的思考といった数字では測ることが難しい21世紀型スキルを身につけることは重要だ。先の予測が困難な社会だからこそ、さまざまな情報を収集して自己判断し、他者とつながって協力しながら新しいモノや価値を生み出したり、答えのない問題に対して自ら課題を解決したりする。このような力を学校教育で育成することが求められているのだ。
21世紀型スキルを学校教育で育成するためにはどうすればいいか。加藤教諭は「まずは、授業を変えていくことだ」と語る。そのひとつの手段としてICTが有効であるという。ICTを活用した授業は、個人と個人がつながりやすい学習シーンを多く生むことができるため、児童の変容が見えやすいというのだ。例えば、タブレットを持った児童同士が同時に新聞の編集作業をしたり、写真や動画などを使ってより相手に伝わる情報共有や伝達をしたりと、子どもたちが学びに自ら関わる場面が増え、誰かの順番を待つような受け身な姿勢を減らすことができる。教師自身がクリエイティブになって、子どもの表現力や創造性を伸ばすことを重点的に見ることができるか。そんな授業力や授業デザインが21世紀型スキルを育成するためには欠かせない」と加藤教諭は話す。

児童数378名。北広島市は2015年2月に市内の全小中学校に対して、コンピュータ教室のリプレースをきっかけに、Windowsタブレットを児童生徒用40台、教師用1台、教室移動型のルータを2台配備した。同市のICTへの取り組みは早く、2009年には市内の全小中学校の全教室にプロジェクターとスクリーン、電子黒板ユニットも導入した。

山田秀哉教諭(札幌市立稲穂小学校)
山田秀哉教諭(札幌市立稲穂小学校)

「ICTは、21世紀型スキルを育てやすいひとつの道具だと考えている」と語るのは山田教諭だ。わざわざコンピュータ教室に行かなくても、タブレットがあれば普通教室の一斉授業の中で、ICTを活用した場面を多く作ることができる。答えがひとつとは限らないプロジェクト型学習などの新しい授業スタイルを導入し、内容を互いに高めていくためにICTを有効的に活用する。山田教諭は、「これからの子どもたちは、今は存在しない課題と向き合い、他者と協力しながら情報やテクノロジーを使って解決や対処をしていかねばならない。そのためにも、小学生のうちからICTを活用するトレーニングをしておく必要がある」と語る。

児童数520名。2013年にWindowsタブレット20台(東芝dynabook Tab S80)、iPad18台をレンタル機器として導入。

朝倉一民教諭(札幌市立屯田北小学校)
朝倉一民教諭(札幌市立屯田北小学校)

朝倉教諭は、次期学習指導要領において生きる力の「思考判断」と「表現」が着目されていることから、「これまでの一斉授業を改善していくことが必要である」と語る。そのためには教師が授業観を変えていかなければならず、その手段のひとつとして、タブレットやICTを活用していると朝倉教諭は主張する。しかし、そもそも手段のひとつであるICTを、教師がどのように捉えているか。例えば一口にICTといっても、実物投影機はこれまでの一斉授業のスタイルを変えずに活用することができるが、タブレットは多面的な活用が可能で、子ども同士の交流場面をより多く生み出したり、学習者の理解に応じて個別学習を進めることができる。タブレットを学習者主体で学びを広げていくことができるツールであると認識しているかどうかは重要だといえるだろう。朝倉教諭は、「今までの授業観でタブレットを活用していくのではなく、子どもたちにどのような効果をもたらせたいのか、教師が新たな時代認識や授業観を持ちながら進めていくことが大切ではないか」と語る。

児童数577名。2013年に札幌市の「学校の夢づくり支援事業」を受け、iPad20台を配備。その後、パナソニックの研究助成校に認定されiPadを追加。学校予算で購入した分も合わせて合計40台のiPadを配備。AppleTVや教室内無線LANの環境も整備。

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