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アクティブ・ラーニングで求められるICT活用と指導力とは? 〜「教員向け研修サービス」レポート(後編)〜

2017年12月14日 記事

ダイワボウ情報システムが提供する「教員向け研修サービス」は、インテルが世界70カ国で展開する教員研修「Intel® Teach Program」をベースに開発した内容である。その研修の模様は前編でも紹介した。本稿では同研修で特別講師を務めたインテルマスターティーチャーで札幌市立屯田北小学校 教諭 朝倉一民氏にインタビューし、アクティブ・ラーニングにおけるICT活用のポイントなどを掘り下げる。

求められる教師像が変わるからこそ、授業観を広げる研修が必要

札幌市立屯田北小学校 教諭 朝倉一民氏は、社会科が専門で現在は教務主任の立場についている。アクティブ・ラーニングやICTの活用など先進的な取り組みを数多く実践しており、その内容は『子ども熱中! 小学社会「アクティブ・ラーニング」授業モデル 』(明治図書出版)という書籍にもまとめられた。Intel® Teachマスターティーチャーの認定資格のほか、NIE(Newspaper in Education)アドバイザーなども務めている。

 

そんな朝倉氏に昨今の子どもたちを取り巻く環境の変化や様子を聞いたところ、「とにかく多様化しています」という返事が返ってきた。詰め込み教育からゆとり教育へとシフトし、個を大事にする価値観は、今まで学校では見られなかった子どもたちの多様性を露わにした。当然、それに合わせて教師も多様な対応が求められるようになり、「ステレオタイプな授業で育ってきた教師は、国が求める教師像に合わせていかなければならない時期にきているのでは」と朝倉教諭は指摘する。

 

求められる教師像が変わりゆくなか、朝倉教諭は2014年にIntel® Teachマスターティーチャー養成研修を受講した。きっかけは「ICT 活用をきちんと学んでみたい」という思いからだったそうだが、インテルならではの国際的な教育観を学んだことで、受講後は授業観が広がり、高度な考えを持つことができるようになったと話す。

 

「Intel® Teachマスターティーチャー養成研修を受講して、意外にも海外の教育現場も同じ価値観でやっていることを知りました。この気づきを持てたことは、自分にとって大きかったですね」

 

なかでも朝倉氏は、インテルの教員研修がコーチングのようなスタイルで学べることがメリットだと強調する。講義と演習をくり返して行い、短時間でグループ内の意見を共有しながら1時間の授業を考えるような研修は、校内で実施するものとはずいぶん違う。インテルの研修教材をベースに組み立てられたダイワボウ情報システムの研修も同様で、「教室に入って即座に授業ができるような瞬発力が磨けます」とその有効性を説く。

アクティブ・ラーニングとICT活用、実現するために必要な能力とは?

一口にICT活用といっても、その使い方はさまざまであるが、ことアクティブ・ラーニングに焦点を当てた場合、どのようなスキルが教師には求められるのだろうか。

 

「ICTの情報を知るために、まずはアンテナを張ることが大切だと思います」

 

学校現場でICTといえば、タブレットの操作方法を覚えたり、デジタル教科書の活用方法を考えることだと思われがちだが、それよりもICT活用の情報に触れて、「自分の授業ではこれができるのではないか」「このツールをつかえば〇〇ができるのではないか」といった発想を持つことが重要だと朝倉氏は話す。そうしたアイデアを創出するためには、日頃からのインプットが欠かせない。

 

もう1つは、「学習指導要領を読んで教材化し授業をつくる、というスキルが必要です」。もちろん、学習指導要領の内容を網羅している教科書を使うことは大切であるが、あまりにも教科書をなぞる授業になってしまっては、誰が教えても同じ授業になってしまう。

 

「教師の仕事は教えることはもちろん、教材をつくっていくことがプロとしての仕事です」

 

学習指導要領を読み込み、それを元に目の前にいる子どもたちに合わせたフィルターで教材化し、授業に落とし込んでいく力が求められるというのだ。

 

「教材化する過程においてもっとも重要な視点になるのが、評価ですね」

 

学習指導要領においても、指導と評価の一体化がいわれているように、テストの結果などゴールを評価するのではなく、学習者の成長や実態を次の学習に活かす評価が求められている。これを実施していくためには、教師側に多様な視点が必要であり、「21世紀型スキルなどはその多様な視点が整理されたものとして有効でしょう」と朝倉氏は話す。

授業ってやっぱり面白い

近年、教師という仕事に対しては世間の風当たりも強く、その存在感も弱まってきているように感じることは多い。高学歴化が進み、昔のように学校の先生のほうが親よりも学歴が高いという時代も終わった。将来的にもAIの登場で、教師という仕事はなくなるとさえいわれている。しかし、こうした状況下ではあるものの、全国でICT活用に懸命になって取り組む教師に向けて朝倉氏はこうエールを送る。

 

「自分自身も勉強している最中なので、偉そうなことはいえませんが、もっと自分の仕事に自信をもって取り組んでほしい。子どもたちを前に授業をできるのは教師しかいません。そこにプロ意識を持ってほしい。未来の社会をつくる子どもたちの教育に関わる教師というのは素晴らしい職業なのだという意識を持って、子どもたちの前に立ってほしい

 

ちなみに、朝倉氏自身が小学校の教師を目指したきっかけは、中学の担任の先生との出会いだったという。

 

「とても良い先生で、自分の人格を作ってくれたような感覚になりました。過去の教え子の話をしている姿とか素敵だと思って、教師という仕事に興味を持ちましたね」

 

その後、大学に入って授業論を多く学ぶなかで、「子ども自身が問いを生む」と学びに面白さを感じて、授業づくりが楽しそうな小学校に決めたそうだ。

 

「有田和正先生や向山洋一先生の本を読んで、授業ってこんなに面白いんだ、子どもが成長していくのって楽しいんだと思いました」

 

毎回の授業は一期一会といわれており、教師の授業づくりの根底にあるのは児童理解である。であるならば、子どもたちが楽しめる授業、面白い授業とは何かを考えたときに、ICTは自然に入っていくのではないか、と朝倉氏は述べる。まずはその一歩を踏み出してほしい

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