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小学校の英語教育はプレキソ英語で、意味と音がつながる言語活動を

2017年08月21日 記事

グローバル化が進んだ今、低年齢からの英語教育を重視する向きが強い。アジアでも小学校から英語教育を実施する国が多く、日本も2020年に完全実施される新学習指導要領では、小学校3・4年生で外国語活動が、5・6年生で教科として外国語が導入される。小学校の英語教育では、何を大切にしながら学びを進めていくことが重要なのか。英語教育のスペシャリストで、NHK Eテレ「プレキソ英語」および英語教材『プレキソ英語 そのまま使える小学校英語教材』の監修を務めた東京学芸大学教育学部教授 粕谷恭子氏に話を聞いた。

小学校における英語教育の現状と、今の課題は?

2020年度から実施される新学習指導要領では、小学校の英語は5・6年生で教科、3・4年生で外国語活動として導入されることが決まっている。その背景にはどのようなことがあるのだろうか。東京学芸大学の粕谷恭子氏によるとさまざまな理由がありますが、大別すれば現行の学習指導要領で外国語活動が5・6年生に導入されたことの成果が認められたことと、小学校と中学校の連携をさらに強めることが挙げられますと述べている。

 

現学習指導要領(2017年6月執筆現在)では、小学校5・6年生で英語が必修化されている。授業形態は、文科省から配布された英語の教材『 Hi, friends! 』を用いて行ったり、ネイティブのALT(外国語指導助手)を設けたりするなど、自治体によって異なる。しかし、基本的には小学校の英語教育は、話す・聞くが中心となる音声活動が重視されているのが特徴だ。

 

一方、それに対して中学校はというと、文字ベースの読む・書くが重視されている。もちろん、これらも英語力の大事なスキルではあるが、コミュニケーションを楽しんだ小学校の音声活動を活かしきれないまま、文字中心の中学英語が始まってしまうことが課題であった。また逆も然りで、小学校においても、いずれ中学で教科化されるとわかっていながら、そこを見据えた授業になっていないことが課題だった。

 

「小学校も中学校もそれぞれに課題があり、必ずしも学習者にとって英語経験が上手くつながっていなかった。今度の学習指導要領では、その移行をよりスムーズに行えると期待できます」

 

具体的には、これまで小学校5・6年生で行われていた音声中心の言語活動が小学3・4年生へ移行し、5・6年生に対しては、3・4年生で学んだ内容をさらに発展させつつ、新たに文字を扱う学習が導入されることになっている。

Eテレ番組「プレキソ英語」、“音”だけの英語表現にこだわった理由

粕谷氏は、次期学習指導要領における英語教育の方針にもあるように、「音声言語から文字言語へ、子どもが本来、言語を習得するのと同じステップで英語を学ぶことが重要」と述べている。ゆえに、監修者として携わった番組「プレキソ英語」も、英語と日本語を置き換えることなく、英語オンリーで英語の意味と音がつながることを重視したというのだ。

 

例えば、番組では「 What is this ? 」といったよく使う英語表現を毎回取り上げているが、それがどういう意味であるのかを日本語で説明したり、英語のセンテンスを表示したりもしない。実際に会話で使われている場面をいくつもの切り口で見せ、子どもたちはひたすら英語を聞きながら、そこから「わからないことを聞くときは What is this ? と言えばいい」ことを自然に気づけるよう構成されている。また、番組中のアニメコーナも英語だけのショートストーリーだが、見ているだけで話の内容がわかるようになっているのが特徴だ。

 

粕谷氏は「こうした構成で番組を作り上げた根底にあるのは、子どもの学びに対する信頼です」と話す。子どもにはもともと、言語を習得する過程において、意味と音を結びつける力があり、そこから、何が起こっているのかを把握することができる。番組では、子どもたちのそうした能力をリスペクトしながら、聞くことに重きを置いた英語の学びを提供しているというのだ。

 

「子どもたちは、たっぷり聞く経験が足りないのに英語を言わされることが多い。文章を覚えたから言えるはず、という大人の思い込みの下、覚えた英語がちゃんと言えるかどうか緊張に晒されています」

 

そうではなく、いかに良い音を聞かせるかということが大切であり、「文字に頼らないと英語が理解できない人にはしたくない」と粕谷氏は話している。「プレキソ英語」では、健全な言葉の成長にもとづいた、子ども本来の力と英語が向き合う時間を生み出しているのがメリットだ。

東京学芸大学教育学部教授 粕谷恭子氏

授業の負担軽減がメリット。良質のインプットが言葉の種になってほしい

「プレキソ英語」の番組が全48話収録された小学校向けの英語教材『プレキソ英語 そのまま使える小学校英語教材』(以下、『プレキソ英語教材』)は、授業でどのように使えばよいか。

 

粕谷氏は「授業の初めにいきなり番組を見るのではなく、和気あいあいとあいさつをしたり、歌を歌ったりするなどの導入を経て、その後に視聴してほしい」と話している。その後は、番組で扱われた英語表現を子どもたちの世界へ持ってくるためにも、教室で実際に使ってみることが大事だという。

 

「教科書やテキストの中に子どもが入っていくのではなく、教科書の内容が教室に出て広がるようなイメージで英語を話してほしい。間違っても、『〇〇ができたら座っていい』『ポイントが多い方がいい』といったノルマや課題を “こなしたり”、言葉をゲームの道具にするような言語経験をさせてほしくないです」

 

では、小学校における英語の授業でもっとも大切なことは何か。

 

「自分が話した英語を受け止めてもらった、という実感を与えること」

 

正しく言えたか言えないかばかりに目を向けるのではなく、教師には、子どもたちが英語を使って伝えようとしている中身にこそ、目を配ってほしいというわけだ。

 

また粕谷氏は『プレキソ英語教材』を利用するメリットについて、授業の準備負担が少ないことを挙げた。45分の授業の中で、10分間の英語によるインプットの時間を作ることができて、その間は、教師は子どもの様子を見ておけばいい。しかも、意味と音が結びつく豊かな言語経験と、それを支える質の高いインプットを与えることができる。担任が一人でその責任を負うのではなく、活用できるものはどんどん活用して、子どもたちに豊かな言語経験を与えることが重要だというのだ。

 

「子どもたちの豊かな土壌に英語の花が咲くように、プレキソ英語はその種になってほしいです」と話す粕谷氏。今後はさらに多くの教師や学校で使われることを望んでいる。

 

前編はこちら

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