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Intel®グローバル教育スペシャリストによる21世紀型スキル育成ワークショップ・レポート[後編]

2017年07月21日 記事

21世紀型スキルの育成とテクノロジーの進化を取り入れた最新の指導法が学べるインテルの教員研修プログラムIntel® Transforming Learning コース「Digital Learning Fundamentals」。同コースの開発チームを指揮したのはインテルのグローバル教育スペシャリスト、Shelley Shott氏だ。前編では同氏が来日した特別ワークショップの模様を、中編ではグローバルな観点からみた教育動向について聞いた。

後編となる本稿では、海外の教育現場におけるICT活用やShott氏から見た教育現場の課題について意見を聞く。良いICT活用とは何か? 今の課題は何か? Shott氏の生の声を届けよう。

海外のICT活用、良い例・悪い例とは?

Shott氏はグローバル教育スペシャリストとして世界中の教育機関を訪れ、その国の教育者たちにインテルの教員研修プログラムを届けている。そんな同氏から見て、ICT活用した良い実践事例とはどのようなものを指すのだろうか。また悪い事例とはどのようなものか。

 

「良い事例で共通していることは、テクノロジーが学び方そのものを変えてしまうということです」

 

一例として、コスタリカのスラム街の話を挙げた。その学校はスラム街にあり、インターネットの環境が整備されていなかった。しかし、子どもたちはスマートフォンを持っていて、ウェブサイトで調べたいときはテザリングでインターネットにアクセスして情報を得ていたという。その学校の教師は、こうした環境を利用して子どもたちが自由にテクノロジーを使えるよう学びをリデザインした。

 

Shott氏は、ICTの使い方としては“ネットにアクセスして調べる”というベーシックなレベルであるとはいえ、「学びの場にテクノロジーの効果的活用機会を設け、子どもたちがより興味・関心を持って深く学べるように学びを変えたことが評価できます」と述べた。つまりこうだ。子どもたちが自由にテクノロジーを使えるようにとは、単に紙をデジタルに置き換えたようなデジタル導入とは一線を画す。テクノロジーを使って学びの選択肢を広げるということなのだ。

 

「たとえICTの環境が整備されていなくても、教師さえテクノロジーの使いどころを理解し、イノベイティブになることができれば、子どもたちの学びを変えていけます」

 

一方で、ICT活用の悪い事例はというと、「子どもたちが教室に座ったまま同じ方向を向き、コンピュータの画面をみながらカチャカチャと作業をしていること」。たとえば、ポエム(詩)を書いたり、デジタル化された算数のドリルをひたすら解いたり、もしくはヘッドフォーンをつけて、ひとりの世界にこもりながらeラーニングの教材をやったりする姿だ。

Intel® Transforming Learning Courseより
Intel® Transforming Learning Courseより

課題は、教師の意識改革と研修のあり方

このように、さまざまな教育現場をみてきたShott氏だが、いま一番、課題に感じていることとして、「教師の意識改革」を挙げた。子どもたちに豊かな学びを届けるためには、もっと多くの教師の視点を変えていく必要があり、Shott氏はそんな想いが原動力になって、今の仕事に就いたと打ち明けた。

 

「そもそも、私が中学校の教師を辞めてこの仕事に就いたのは、授業デザインの本質的な内容が学べるインテルの研修に魅力を感じたからです。多くの教師がこの研修を受けるべきだと思ったから、それを広げる立場になろうとこの仕事に就きました」

 

そんな同氏だからこそ、“現場の意識を変えたい”、“もっと指導力を磨きたい”、と考えている教師には、インテルの研修を受けてほしいと話す。

一方でShott氏は、アメリカでも日本でも課題なのは、教員研修のあり方だと指摘した。教育現場にはICT活用が不得手な教師もまだまだ多く、どのようなサポートをもってICTの活用を広げていけばいいか、課題を抱えている教育機関も多い。

 

ではどうすればいいのか。Shott氏は2つの答を示した。1つは、「理想になってしまうが、各学校にテクノロジーと授業デザインの両面からアドバイスできるメンター的存在がいること」。教師が困った時に、すぐに助けてくれる人が近くにいる環境が、一番望ましいという。

 

もう1つは、「研修のあり方を見直すこと」。なぜなら、今の教員研修は、その多くがテクノロジーに得意な教師もそうでない者も画一的なプログラムで学んでいる。そうではなく、教師のICT リテラシーに応じたレベルで学べる研修の選択肢が必要だというのだ。中でもICTの活用がビギナーレベルの教師に対しては、直接面と向き合って教えることが重要だと話す。また、ある程度の知識を持つ教師に対しては、オンライン教材のような形で、自分で学びを進めていける環境が望ましい。

 

「さまざまな方法で研修が受けられる重要性を、日頃から強く感じている」

日本の先生に向けてメッセージを!

今回、特別ワークショップの講師を務めたShelly氏は、4年ぶりの来日になった。以前来日した際のワークショップでは、日本の教師たちがとても受け身でおとなしいと話していたShott氏だが、今回の来日では、どのような印象を持っただろうか。

 

「以前に比べて、今回は受講者たちが積極的に話をしたり、アイデアを共有したりして、教師自身がアクティブに学ぶ姿を見ることができました。日本の教師も変わってきたことを感じました」

 

 

最後に、Shott氏から日本の教師に向けてメッセージをもらった。

 

「ニュースで日本の教師たちは多忙で残業時間も長いと知り、現場の大変さを理解しています。しかし、違う観点からみれば、日本の教師たちはとても責任感が強く、情熱をもった人がこの職に就いているといえます。だからこそ、インテルの研修に一度でも参加して、インパクトを受けてほしい。情熱がある分、他の国よりも教育を変える力を発揮できるかもしれません」

 

どの国の教師たちも、子どもたちのために良い授業をして、将来を豊かに生きてほしいと共通の願いを持っているはずだ。教師たちはそこで想いを共にできるのであれば、新しいことへのチャレンジでNOという人はいない。そんな信念がShott氏を突き動かす。今、教育はどんどん変わっていく面白いタイミングにある。日本の教育現場もその波に乗りながら、子どもたちのために学びを進化させてほしい。

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