DISの教育ICT総合サイト

Intel®グローバル教育スペシャリストによる21世紀型スキル育成ワークショップ・レポート[中編]

2017年07月11日 記事

世界中の教師がスキルアップを求めて集まるインテルの教員研修プログラム。最新の指導法が学べるIntel® Transforming Learning コース「Digital Learning Fundamentals」(以下、DLF)では、デジタル世代が将来必要とされる21世紀型スキルの育成とICT活用をテーマに、教師自身がアクティブ・ラーニングで学べるのが特徴だ。インテルの教員研修プログラムを開発・指揮したのは、グローバル教育スペシャリストであるShelley Shott(シェリー・ショット)氏だ。同氏は世界各国の教育現場を訪れ、グローバルな視点で近年の教育動向を見つめてきた。そんなShott氏は、今の教育をどのように見ているのか。グローバルにおける教育動向や課題についてインタビューした。

教師主導から学習者中心へ、グローバルで広がる学びの変化

近年はタブレットやコンピュータなどのICT機器が教育機関に導入されているが、その動きはグローバルな傾向でもあるといえよう。さまざまなICT活用の事例も国内外で見られるようになり、これまでの学びのスタイルに変化を与えている。では、グローバルな視点でみると、教育現場はどのように変わってきているのだろうか。

 

「教師主導から学習者中心の学びに変わってきたと感じています」

 

以前は、教師が前に立って話をし、子どもたちは黙ってそれを聞くという光景が当たり前だったが、今は教師が子どもたちに必要な情報を与え、彼らの学びをサポートするようなファシリテーターの役目に変わってきているという。

 

確かに、これまでの学びは、教師が教えた知識をいかに正確に覚え、再生できるかどうかが評価された。しかし、テクノロジーの進化によって誰でも情報にアクセスできる今は、何を知っているかよりも、学んだことを再構成し、アウトプットするような活動に重きが置かれている。もちろん、すべての子どもたちがこのような学びを受けているわけではないが、「テクノロジーがあることで、子どもたちに何か課題を与えても、自分たちで考えて課題を解決できるようになった。学びの選択肢を広げたことは、大きな変化だといえます」とShott氏は話す。

なぜ、教育現場は変わるスピードが遅いのか

一方で、テクノロジーが教育現場に導入され、学び方が変わってきたといっても、他の産業に比べればまだまだスピード感に欠ける。日本の場合は特に、公教育におけるテクノロジーの導入が進んでおらず課題だ。では、諸外国では公教育のテクノロジー導入をどのように進めているのだろうか。

 

「1ついえることは、どの国でもテクノロジーを導入したからといって、学び方が急激に変わるところまでは一足飛びには進みません」

 

ひとくちに公教育といっても、国や自治体、教育機関によってICT環境や方針が異なるため、比較して評価することは難しい。しかし、公教育を変えていくことは、日本だけでなくどの国であっても時間のかかることなのだ。

 

その理由としてShott氏は、教育現場ならではの事情を指摘した。たとえば、テクノロジーの活用が得意な若い教師が現場に入ったとしても、最初の何年間かは、いかにクラスを運営していくかという課題が最優先されるので、テクノロジーを活用した授業デザインの研究に時間を割くことができない。これはすべての教師が直面する問題でもあり、結果として急な変化が起こりづらい土壌であるというのだ。

 

もうひとつの理由はこれだ。

 

「教師自身が学習者中心の学びを受けてこなかったことも、変化が遅い理由です」

 

もし教師たちが養成段階の時期に学習者中心の学びを経験していれば、もっと早くに新しい学びを学習者と共有することができたかもしれない。このように、教育現場を取り巻く環境は独特であり、テクノロジー・ファーストで進められない事情がある。そんな中でも、教師はテクノロジーの効果的な活用が求められ、自らスキルを高めていく必要があるとShott氏は語る。

21世紀スキルの育成を担う教師たちに求められているものとは?

今の子どもたちは、将来を生きる力として21世紀型スキルが求められている。この21世紀型スキルを子どもたちが身につけるために、教師は何が求められているのだろうか。

 

「一番重要なのは、教師自身が生涯学習者として学び方のモデルになり、“学び続ける姿勢”を見せることです」

 

今の子どもたちは一生のうちに15のキャリアを経験するといわれており、こうした時代を生きていくためには、学校で「どのように学ぶのか」を教えることが重要だというのだ。どんなキャリアに進もうと、子どもたちは自立して人生を切り開いていかねばならない。Shott氏は「そのためにインテルの研修でも21世紀型スキルを重要視し、なおかつ先生自身がアクティブに学べる場を大事にしています」と語った。

インテルの教員研修の魅力は、実践的な中身と教師同士の共有

インテルの研修は、今や世界中で開催され多くの教師が参加している。なぜ、教師からの評価が高いのか。また参加した教師からはどのようなフィードバックが得られているのか。

 

高評価を得ている理由は2つある。1つは、研修内容が実践的であるということだ。インテルの研修はハウツーを教えるのではなく、授業や受け持ちの子供たちを想定して考えるワークショップであるため、次の日から授業に活かせる。これは他の研修と大きく違うところだと同氏は強調した。

 

もう1つの理由は、教師同士でアイデアを共有できること。意外にも教師は普段、自分の授業について他の教師とアイデアを共有する時間が少なく、「ワークショップを受けてはじめて、教科を越えたアイデアを共有することの価値に気づいたという声が多い」と同氏は語る。

 

教師主導から学習者中心の学びへと移行している今、教師たちはテクノロジーの価値に気づき、これまでの指導法を見直す時期にきているといえる。後編ではShott氏に海外のICT活用や事例について詳しく聞きながら、日本の教育現場が抱える課題にも踏み込んでいく。

ページトップに戻る