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Intel®グローバル教育スペシャリストによる21世紀型スキル育成ワークショップ・レポート[前編]

2017年06月30日 記事

近年、課題解決力や批判的思考、創造性など21世紀型スキルの育成が重要視されている。しかし、このような能力を育成するための授業とは、どのようなものか。頭を抱える教師も少なくないだろう。インテルでは、2001年から21世紀型スキルを育成するための教員研修プログラム「Intel® Teach Program」を提供している。同プログラムはグローバルで展開されており、スキルアップしたい教師らが最新の指導法を学べる場として集まり、これまでに世界70カ国、約1500万人以上が受講した実績を持つ。そのインテルの教員研修プログラムとはどのようなものなのか。2017年6月に東京で実施された特別ワークショップの様子を紹介しよう。

インテルが開発した教員向け研修プログラムとは?

インテルが提供する教員研修プログラム『Intel® Teach Program』(以下、ITP)は、児童・生徒の21世紀型スキルを育成するために必要なプロジェクト型学習の指導法を中心に学ぶ教員向け 研修 だ。

 

2015年からは、ITPをベースにテクノロジーの進化を取り入れた最新の指導法が学べるIntel® Transforming Learning コース「Digital Learning Fundamentals」(以下、DLF)を新設した。これはITPの中身をさらに進化させたもので、多様なデジタルデバイスやソリューションが登場した今の時代により即した内容になっている。また21世紀型スキルの育成についても、近年、特に重要視されている「4C」(①Critical thinking&Problem solving、②Communication、③Collaboration&Team building、④Creativity&Innovation)の育成にフォーカスしているのが、同コースの特徴だ。

特別ワークショップの講師は、グローバル教育スペシャリストShelley Shott氏

見学したのはDLFの特別ワークショップで、この日は米国インテル本社からグローバル教育スペシャリストShelley Shott(シェリー・ショット)氏を招聘して開催された。同氏はインテルの教員研修プログラムの開発チームを指揮した実績を持つが、Shott氏自らが行うワークショップは数少ないとあって、全国から校種を超えた教師が集まった。

 

ワークショップのテーマは「Creativity Thinking(創造的思考スキル)の育成」。どのような授業が子どもの創造性を伸ばすのか、もしくは子どもの創造性を伸ばすためには何が必要か。授業デザインや指導ポイントを学ぶのが目的となる。

 

冒頭でShott氏は参加した受講者に向かって「Creativity(創造性)とは何か?」を問いかけた。受講者からは “課題解決”、“新しいものを創りだす力”、“楽しんで考えること”など、さまざまな答が出たが、Shott氏はそれに対して、「このワークショップのあとには、皆さんが考えもしなかったようなことを創造力と捉えるでしょう」といい、受講者が価値ある学びを手にすることができると約束した。

教員自らアクティブ・ラーニングを体験するのがインテルの研修スタイル

インテルの教員研修コースは、講師から受講者へ、知識を一方通行で学ぶスタイルではない。それぞれの単元は、①Learn(コンセプトを学ぶ)、②Apply(学んだことの応用)、③Share & Reflect(共有と振り返り)という、3つのステップで構成されており、受講者もアクティブに学ぶのが特徴だ。学校現場では今、学習者中心の授業が求められているが、そもそも教師自体にそのような授業を受けた経験者が少ない。インテルの研修では、そうした状況を考慮して教員自らアクティブ・ラーニングが体験できることを重要視している。

 

では、実際にワークショップではどのようなアクティブ・ラーニングが行われているのか。「デジタル世代の創造性」という単元で行われた3つのステップを紹介しよう。

【Part1 :Learn】コンセプトを学ぶ

この部分では、創造性とは何か、どのような観点で創造性を指導すればよいのか、Shott氏がスライドを使って話しながら講義形式で進んでいくが、途中で、簡単な演習やクイズ、ディスカッションの時間も設けられた。例えば「子どもたちの創造性は、教師が育成することができるのか」「創造と想像の違いは何か」など、Shott氏が問いかけた質問について受講者同士で話し合ったりした。

 

もちろん、子どもの創造性を授業で育成するための具体的な方法も学んだ。中でもShott氏は次の4つのスキルを授業の中で発揮させること重要だと話す。

 

〜子どもの創造性を育成するために必要なスキル〜

①Critical Thinking(批判的思考)

②Imagination(想像)

③Idea Generation(アイデアの創出)

④Reflective Judgement(振り返り・判断)

 

Shott氏は、何よりも子どもたちが安心して発言できる場が創造性の育成には重要だという。なぜなら、最初は高度なアイデアでなかったとしても、みんなの力で高めていくことができるからだ。その過程こそがクリエイティブであり、「創造性は学びのプロセスであって、子どもが辿り着いた結果でも、一瞬のひらめきでもない」と強調する。

【Part2 :Apply】学んだことの応用

受講者はコンセプトを学んだあと、その内容を活かしてデジタル作品の制作に取り組んだ。与えられた課題は、 提案されたICTツールを使って自分の授業で実現できる創造的な活動を考えるというもの。ブログやデジタルストーリー、インフォグラフィックス、漫画やアニメ作成などの最新アプリケーションの中から好きなツールを選んで作品づくりに取り組んだ。

 

ある小学校教師は、漫画が作成できるアプリを用いて歴史のまとめを行う活動を考えた。今までは新聞形式にまとめていたが、それだと教科書を写して終わりになってしまうことが課題だったという。しかし、漫画のアプリを用いればストーリーでまとめることができ、登場人物の表情も表現できる。歴史に対して「こうなればいいな」と子どもが感情を持ちやすく、より主体的になれるのではないかと説明した。ほかにも情報の時間で活用できるインフォグラフィックスを用いたスライドや、どの授業のまとめにも使えるブログツールなど、受講者らはそれぞれの授業で活用できる活動を考えた。

【Part3:Share&Reflect】共有と振り返り

続いて、出来上がった作品やアイデアをグループ内で発表し、互いに意見交換をしながら振り返った。受講者たちは良い部分を褒め合ったり、改善点を話し合ったりしながら新たな気づきが得られる交流を行った。Shott氏はその様子を見ながら「自分は“グループで共有し合おう”としか指示をしていませんが、作品を共有するなかで、よりよくするためのヒントをお互い自然にいい合うことができたのではないでしょうか?」と投げかけた。これこそ、子どもたちが創造性を発揮するために必要な過程だとShott氏は述べた。

 

Shott氏は1つの問いに対して、子どもたちがブレインストーミングを始め、そこで考えたアイデアを実際に試したり共有したりしながら、より良いものへと発展させていく、このようなプロセスが生まれる授業デザインが大切だと説明した。そして、そうした授業デザインを実現するためには、子どもたちからさまざまな答えが出る、教員からの“問いかけ”がもっとも重要だと述べた。

 

「子どもたちには答えが1つではない問いを与え、そして導いてほしい」

 

Shott氏は自身の想いを最後に伝え、ワークショップを締めくくった。

ワークショップに参加した教師の声は?

ワークショップ終了後、参加した教師にインタビューをした。受講者たちはどのような感想を持ったのだろうか。

 

「ここまで内容が充実した授業デザインを学べる研修は他にない。実践的な内容で明日の授業からでも活かせるし、他の先生と交流しながら意見交換ができたのがよかった。今日のワークショップを受けて、自分の目指す方向性は間違っていないと確認できた」(同志社中学校・高等学校 反田任教諭)

「授業デザインについて、これほど真剣に考えることができるのはインテルの研修ならではです。ことに今日はオンライン教材でも登場しているShott先生から直接レクチャーを頂けるまたとない機会になりました。多くのインスピレーションを得ることができ、生徒たちの創造性を育む授業を実践していきたいと思います」(茨城県立竜ヶ崎第二高等学校 商業科 髙山雅子教諭)

中編では、ワークショップの講師を務めたShott氏にインタビューし、グローバル教育の方向性や取り組みを紐解く。

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