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DIS School Innovation Project

教育長インタビュー 大熊町編

教育長インタビュー 大熊町編

子どもたちの表現力・思考力を育成する 授業デザインとICT活用  ~学び合い、育ち合う教育の実現をめざして~

震災以降、逆境をチャレンジの機会に変えて、ICTの導入も含めた「教育再生」に積極的に取り組んできた福島県大熊町の武内教育長にうかがいました。

 

福島県大熊町 武内 敏英 教育長

1944年生まれ、福島県大熊町出身。福島大学卒業後、福島県内の中学校教諭、校長、福島県教育センター教育相談部長などを経て、1997年4月大熊町立大熊中学校校長に着任。2002年10月より現職。

大熊町DATA
【都道府県】福島県
【郡】双葉郡(隣接する自治体:浪江町、双葉町、富岡町、川内村)
【人口/世帯数】10,949名/3,985世帯(2014年1月31日)
【小中学校数】小学校2、中学校1
【児童・生徒数】児童170名、生徒117名
【備考】2011年3月11日の東日本大震災に起因する福島第一原子力発電所事故による全町避難のため、町役場の主要機能は約100km西に位置する会津若松市に移転。町民約11,000人も、会津若松市やいわき市をはじめ、全国各地に避難している状況。


震災後の子どもたちのための、教育再生の取組み


 

―東日本大震災及び福島第一原子力発電所の事故による全町避難以降、『大熊町教育再生への挑戦』に取り組んでおられますが、その核となる教育基本方針についてお聞かせ下さい。

 

大熊町は“教育を大切にする町”として、歴代の町長が掲げている“町づくりは、人づくり”を基本姿勢に、教育重視で町政の舵取りをしてきました。
教育委員会では“人もはつらつ 町もはつらつ 「学び舎の町 おおくま」づくり”を教育目標とし、「子どものよさを引き出す」「子どもの心を診る」「読書の大切さ」の3つを学校現場で実践してきました。
基本的な考えは震災前と変わりませんが、震災以降、子どもたちが置かれている環境に鑑み、「互いに信頼しあえる人間関係」を土台に加え、4つの基本方針を掲げて、学校・家庭・社会で取り組んでいます。中でも “心の安定”は、子どもだけでなく、大人にとっても前に一歩を踏み出すための必須条件だと考えています。そのために、新たな方針として“教育の原点としての対面と対話”、“国語、算数より心のケアを重視”という2点を明確に組み込み、従来からの“読書や体験学習”を中心に、“学び合い、育ち合う教育”の展開を目指しています。

 


ICT活用を通し、教員の授業力向上と子どもたちのスキル育成を同時に推進


 

―今回のDIS School Innovation Projectに参画された理由は何ですか。

 

School Innovation Projectでは、表現力・思考力を育てる授業づくりというねらいにあったICT機器やシステムを導入し、教育の質を高めることを目指しています。
プロジェクトにおける実践を通して期待する“ICT活用”における可能性は、主に以下の2点です。
一つ目は、「教員の指導方法の幅が広がること」。本町が掲げる“学び合い、育ち合う教育”の実現にむけて、教員自身が新たな方法にチャレンジすることも重要です。今回の研究授業では、2名でチームを組み、ICTのハード面は若手教員が、授業進行などのソフト面はベテラン教員が担当しています。お互いの経験を活かし、協働で授業デザインをすることで、授業目標の設定から、子どもの実態や反応の共有、“目標分析”まで、年代や経験をこえた活発な意見交換に発展しています。
二つ目は、「ICTをコミュニケーション・思考の道具として活用できる可能性を探ること」。今回の本町での実践は、「ICTを使う授業」を設計するのではなく、表現力や思考力育成のための指導方法として、“ICT活用の可能性”を探っています。今回は、“人の意見も参考にしながら自分の考えを整理する”ことをねらいに、コラボノート®を活用しましたが、子どもの発言や観察から、他人の考えと自分の考えを比べることができるようになった、といった成果が出ています。
実践が進むにつれて、“教員の指導方法の幅が広がり”、子どもたちも教員も“思考と表現の道具のひとつ”としてICTを活用することが当たり前になってきました。これからの子どもたちが生きる社会は、ますますグローバル化が進み、世界とのつながりも密接になります。だからこそ、大熊町の子どもたちには、本プロジェクトをきっかけに、ICT機器を道具として活用し、“対面と対話”を通して、さまざまな国の人々と互いに信頼関係を構築できる力を身につけてほしいと願っています。

 

平成25年度大熊町教育委員会の基本方針と重点
平成25年度大熊町教育委員会の基本方針と重点

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