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DIS School Innovation Project

教育長インタビュー 日向市編

教育長インタビュー 日向市編

“ICTの活用”を通して、教員の授業 改善へのモチベーション維持・向上を 実現する

宮崎県日向市に全国初の小中一貫校が誕生したのは平成18年。その2年後、平成20年には市内7校すべての中学区において施設一体型や連携型での一貫教育をスタートさせた北村教育長に、ICTを活用した教育への取組みとその成果について、お話をうかがいました。

宮崎県日向市教育委員会  教育長 北村   秀秋  氏

昭和19年生まれ 宮崎県都城市出身:宮崎大学卒業後、宮崎県内の中学校教諭、校長を経て、県北諸県教育事務所長、都城市教育長、宮崎女子短期大学教授を務めた後、平成20年より現職。

日向市DATA
【都道府県】宮崎県
【郡】日向市(隣接する自治体:延岡市、門川町、美郷町、都農町、川南町)
【人口/世帯数】63,402人/28,355世帯(平成26年6月時点)
【小中学校数】小学校11、中学校4、小中一貫校3
【児童・生徒数】児童3,640名、生徒1,706名 ※平成26年5月1日現在
【備考】東に太平洋に面した天然の良港細島港、お倉ケ浜や金ケ浜などの日本を代表するサーフポイント、南に神武天皇お舟出の地・美々津地区、西に歌人若山牧水を育んだ豊かな森林資源を持つ。平成18年4月に公立で全国初の小中一貫校を開校、小学校からの「英会話科」実施、小中高と企業が連携した「キャリア教育」の推進にも取り組んでいる。


まちぐるみで子供たちに学ぶ意味や働く意味を問いかける“キャリア教育”を実践


 

―次世代を担う子供たちの育成環境において、日向市ならではの特徴についてお聞かせください。

 

日向市内の一貫教育は、黒潮文化の沿岸地域、森林文化の農林業地域など、各地域の特性に応じた教育活動の実現のため、地域とともに取り組んでいるのがその特徴といえます。もう一つの特徴は「英会話科」です。小学校1年生から中学校3年生まで、週1回の「英会話科」では、「話す」「聞く」ことを重視し、独自教材による全市統一カリキュラムで展開しています。
現在、特に力を入れているキャリア教育では、「つながる力」「分かる力」「創る力」「やりぬく力」「グローカル」(※グローバル&ローカル)、の5つを柱としています。25年8月に日向商工会議所内に開設されたキャリア教育支援センターを中心に、「日向の大人はみな子供たちの先生」を合言葉に、日向市の子供たちに学ぶ意味や働く意味を問いかけ、生涯にわたって“自ら考え抜く”子供の育成をめざし、まちぐるみで取り組んでいるところです。

子供たちが21世紀を生きるためには、自分で考える力や行動する力、そして学習する力が求められており、学習する力の育成には授業改善が不可欠です。ICT教育は、その授業改善の一つの手立てであるととらえ、積極的に取り組んでいます。

 


教員の授業改善に対する意欲を掻き立てた“ICT活用効果の実感”


 

―今回のDIS School Innovation Projectに参加されたねらいと成果は何ですか。


今回のプロジェクト参加のねらいは大きく2つあり、第1は、授業や指導のあり方を見直す契機とすること、第2に校務支援により、多忙を極める教員の子供たちと向き合う時間を確保することでした。
具体的には、教員のICT機器への興味を実践への意欲につなげ、実践による効果を実感することで、授業改善へのモチベーションを維持・向上させることが大切だと考えました。そのため、実証校では、導入後半年は、あらゆる学年、学習にふんだんにICT機器を活用して、教員自身がさまざまな効果や課題を実感するようにしました。
その結果、学年、教科、学習活動に応じて、どの機器をどのように、またどのような教材を活用するのが良いかを、実体験から導き出せるようになりました。指導への活用についても、①ICTの強みである学力定着の基礎につながる反復性、②学習や指導の記録が残るという再現性、③それを個人の学びに対応できる個別性、④お互いの考えを共有できる協働性の4つの視点が整理されました。このように、ICT活用の視点を明確にすることで、子供の良さを引き出す授業への改善が少しずつ実現しています。
また、この半年間で教員のICTスキルが格段に向上し、OJTの仕組みが確立されてきたことで、校務の効率化も進み、教員が個々の子供にしっかりと向き合う時間や余裕が生まれました。そして、作成された通知表を見た保護者から「そこまで見ていてくれたのか」と、教員や学校に対してさらなる信頼感を得ることにもつながっています。

 


教員の“ICT活用を自分のものにしたい”という意欲を後方から支援する


 

―今後の展望をお聞かせ下さい。

 

教員の学習指導に対する改善意欲が全市で高まっている中、予算に限りはあるものの、すべての教員が取り組めるICT教育を目標に、今、情報教育推進の3か年計画に着手したところです。
また、指導法改善研修として、ICTを“指導のあり方を見直す手立てのひとつ”ととらえ、機器環境がそろってからのICT操作研修ではなく、導入を見据えての具体的な授業案づくりにICTを生かすためのワークショップ型の新たな研修形態がすでにスタートしています。このような研修自体が、教員同士の協働学習の場として、さらなる発展につながるよう期待をしています。

 

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