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DIS School Innovation Project

教育長インタビュー 静岡市編

教育長インタビュー 静岡市編

学力向上とともに思考力、判断力、表現力を育するICT活用の充実をめざして

政令指定都市として130校の小中学校と2校の高等学校を抱える静岡市。高木雅宏教育長に教育理念、静岡市独自の取組みやICT活用についてお話をうかがいました。

静岡県静岡市教育委員会 教育長 高木 雅宏 氏

昭和26年生まれ。静岡大学卒業後、静岡市内の小・中学校教諭、小・中学校長を経て、静岡市教育委員会事務局教職員課長、教育部参与を務める。平成22年より現職。

静岡市DATA
【都道府県】静岡県
【人口/世帯数】716,746名/306,519世帯(平成26年7月現在)
【小・中・高等学校数】小学校87、中学校43、高等学校2
【児童・生徒数】児童34,142名、生徒16,638名(平成26年5月現在)
【備考】静岡市は県のほぼ中央にあり、同県の県庁所在地である。平成17年より政令指定都市に移行した。
南アルプスと駿河湾に囲まれ、美しい自然と温和な気候に恵まれている。平成25年には三保松原が富士山世界文化遺産登録とともに構成資産の一つに認定された。


多様な考えや生き方を学び、自分らしく行動できる子どもの育成をめざして


 

―静岡市ならではの、教育の特徴的な取組みをお聞かせください。

 

静岡市は平成17年に政令指定都市に制定されました。山間部から沿岸部まで東西南北に広がる静岡市は、平成25年に世界文化遺産に登録された三保松原(みほのまつばら)を擁します。農産物や海産物などの豊富な、穏やかな自然に恵まれた地域に小学校87校、中学校43校と2つの高等学校があります。「たくましく そしてしなやかに生きていくことのできる力をもった子どもたちを育てる」が教育の基本理念で、「たくましさ」には、未来に向って前に進む力強さを、「しなやかさ」には、「多様性」と「協調性」を大切に、「柔軟性」をもつという思いがこめられています。

人とのかかわりを通して多様な考えや生き方を学び、自分らしく行動する子どもの育成をめざして、平成22年から26年の第1期教育振興基本計画では50以上の施策を策定しました。その中でも、次の3つを特徴あるシンボル的な取組みとして推進しています。

一つめは、すべての子どもに身に付けるべき学力をつけていくため、放課後に学習支援を行う『学力アップサポート事業』です。学力アップ支援員による支援を受け、学力が向上するなどの成果があらわれています。もともと地域の方々に学校教育に関わっていただく土壌が育まれていたからこそ、この成果につながったとも言えます。

二つめは、『学校応援団推進事業』です。保護者や地域住民によるボランティア活動で、学習支援や環境整備など学校の教育活動を幅広く支援していただいています。土曜参観をはじめとして、各校で設定されている学校公開週間には、保護者のみならず多くの地域の方々に参加いただいていることが『学校応援団推進事業』が地域にしっかり根付いている証といえます。

三つめは、市長を塾長とする『しずおか教師塾事業』です。政令都市に求められる優秀な教員の独自採用も鑑み、静岡市で教員採用されることをめざす多彩な人材を対象に、退職校長や現職教員などが指導にあたり、未来の教員育成に取り組んでいます。

このように、子どもたちの学びを多くの大人で支えていることが静岡市の教育の特徴であると考えています。

 


ICT活用のキーワードは「可視化、共有、評価」


 

― 今回のDIS School Innovation Projectに参加されたねらいと成果をお聞かせください。

 

参加を検討した理由は大きく3つありました。事業のねらいが機器活用能力の育成ではなく、あらゆる教科でのICT利活用による学力向上という点で、本市の教育の情報化の方向性と合致していたこと、また既存のICT環境の先を見据えた授業研究ができること、さらには有識者を含めた産学官協働体制による多様な視点からの示唆を得られるという点です。

実証研究のもっとも大きな成果は、授業でICTが有効に機能する活用場面が明らかになったことです。それを「可視化」「共有」「評価」というキーワードでとらえています。

「可視化」については、タブレット端末による個々の学習を大型モニターなどに表示し共有することで、論点を明確に認識できる利点があります。また「共有」については、個や小集団の学びをクラス全体などで即時共有することで、個々の考えや思考を活発に交流させ、活発な言語活動、思考力や判断力の育成につなげることができます。さらに「評価」については、動画や音声などで児童生徒の取組みを記録し、互いに確認し合うことにより自己評価や相互評価が活発になり、表現力の育成につながります。

ICTを有効に活用するには、授業のどの場面でどのような能力を育成するためにICTのどんなメリットを生かすのか、という指導者の明確な意図・授業デザインの重要性が改めて確認されたことも大きな成果であるととらえています。

 


柔軟な教員研修で、さらなる授業力の向上を


 

― 今後の展望についてお聞かせください。

 

静岡市内の小中学校130校全てに機器環境やネットワーク環境を整えるのは容易ではありませんが、ICT環境の充実と同時に、ICTを適切に活用できるよう教員の授業力をさらに向上させたいと考えています。そのために重要なのが教員研修です。静岡市の教育センターでは、推薦された教員や受講を希望する教員を対象にした研修など、個別に多様かつ柔軟な研修プログラムの整備を進めています。

今回の実証研究事業の成果を、保護者をはじめとする地域の方々やすでに高い関心を示している議会に対し、広報誌や市のWebサイト、研究発表会などを通じて積極的に情報発信し、ICT教育のさらなる充実につなげたいと考えています。

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