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DIS School Innovation Project

教育長インタビュー 白石町編

教育長インタビュー 白石町編

「町を誇りに、世界に貢献できる人材の育成」をめざした、段階的なICT教育環境整備と活用の推進

平成17年度の大合併により、現在8小学校・3中学校を抱える佐賀県白石町。
平成21年度より段階的に推進されてきたICT教育への取組みとその成果、そして25年度からの新たな実践について、江口教育長にうかがいました。

佐賀県白石町教育委員会 教育長 江口 武好 氏

昭和20年生まれ。昭和42年より、県内の小学校教諭、塩田町立塩田小学校教頭、校長職を経て、藤津教育事務所副所長、所長を歴任。平成22年より現職。

白石町DATA
【都道府県】佐賀県
【郡】杵島郡(隣接する自治体:鹿島市、武雄市、嬉野市、小城市、杵島郡大町町、江北町)
【人口/世帯数】24,933名/7,704世帯(平成26年5月末)
【小中学校数】小学校8、中学校3
【児童・生徒数】児童1,269名、生徒680名
【備考】平成17年に旧白石町・福富町・有明町の3町が合併して新しい白石町となる。穀倉地帯の白石平野が広がり、東は有明海に面し、西は万葉からの歴史と文化を誇る杵島山を有する自然豊かな町。


キーワードは【すべての児童生徒に、同じICT教育環境を、できるだけ早く】


 

―白石町の教育指針の重点項目である「確かな学力の育成と時代のニーズに対応した教育の推進」と、ICT教育環境整備の関連性についてお聞かせください。

 

白石町では、郷土に愛着を持ち、郷土の発展に貢献しようとする児童生徒の育成をめざし、保護者並びに地域住民との連携を大切にしながら、質の高い学習環境の充実を図ってきました。その一つの柱として、ICT教育の推進に取り組んでいます。

白石町で育つ子どもたちが、将来社会に出るときはもちろん、今の学校での学習において「確かな学力」を獲得するには、必要な場面でICTをツールとして利活用できるリテラシーやスキルを身につけていることは必須であると考えています。だからこそ、すべての子どもたちが同じようにICTを利活用できる環境を、「当然のこと」として整えることは急務です。

 

―ICT教育の推進について、どのようなステップを踏んでこられたのですか。

 

大きく分けると「1.教師のICT教育についての理解とスキル育成」と、「2.児童生徒のICT利活用による学習活動の実践」の2つが挙げられます。まず、1.の段階では、平成21年に本格的な普通教室への電子黒板、デジタルテレビの導入に踏み切り、その後24年度までは、環境整備とともに、教師が授業におけるICTの効果的な利活用について十分に理解し、自身の授業での実践につなげられるようにしました。具体的には、筑波大学附属小学校で実践しておられる先生方を招いてのモデル授業の実施や、その授業を町内全職員で見学・体験するなどの研修に力を入れました。全校の児童生徒に等しくその成果を還元するために、全教職員を対象とすることは必須だという考えに基づいた方策です。
研修と並行して、電子黒板を導入した学校の授業を視察・参観し、良い実践事例を他校の先生方にも共有し、教員同士が「学び合い」の機会を通して、授業におけるICT活用の意義や効果を実感することを重視しました。

このように、順序立てた基盤づくりを行ったため、2.の児童生徒による実践のスタートがスムーズであったと言えます。中学校では現在3校中1校に40台、平成27年度までに残り2校に40台ずつのタブレット端末の導入を完了予定です。小学校については8校中2校の導入にとどまっていますが、【すべての児童生徒に、同じICT教育環境を、できるだけ早く】の観点から、現在導入している123台のタブレット端末を41台ずつ3セットに分けて、8つの学校を2,3週間単位で巡廻させる「移動パソコン教室」を今年度から本格実施しています。これは、全校のICT環境整備のタイムラグに対応するための工夫の一つで、先生方は、研修で培ったノウハウを活かし、児童生徒に適したICT利活用指導計画を立てています。また、中学校への接続を意識し、小学生のうちにどこまでのスキルを身につけておくべきかなど、発達段階に応じたICTスキルレベルを町として設定し、学校間の格差の是正にも着手しています。

 


児童生徒が能動的に学ぶための、ツールとしてのICTの効果


 

―今回のDIS School Innovation Projectでは、昨年度(平成25年)より、児童生徒がタブレット端末を使用する授業実践を進めておられますが、どのような成果がありましたか。

 

実証研究校である白石小学校では、多様な学年、教科で、さまざまな方法でタブレット端末の活用を授業に取り入れました。結果、学習の中で「トライ&エラー」を繰り返し、個々の理解度や課題に合った学び方ができることから、子どもたちの学習意欲が高まりました。同時に、ICTをツールとして活用することで、知識提供や調べ学習によるインプットの時間が短縮され、子どもたちがより深く「思考し」、クラスメイトと「かかわる」時間がより多く取れるようになったことは、学習の質の向上の面から大きな成果であると考えます。授業のねらいを明確にした上で、学習活動に適したツールを与えることで、子どもたちは自由に発想したり、思考したり、協働的な活動を深めたりと、多様なアプローチで新しいモノを創り出すのだということに気づかされました。

また、本プロジェクトは、産学連携による協議会を設け、ICTの教育的活用に関する考え方から、児童生徒の学びに有効なアプリケーションの検討に至るまで、「研究」という位置づけで、意図的・計画的に進めることができました。その間、佐賀大学中村隆敏教授や、企業の方々からご助言をいただくことができ、価値ある機会となりました。今回の白石小での研究の成果を町内全校で共有することから着実に展開していきたいと思います。

 


社会に出ていく子どもたちを想像し、今必要なことを


 

―今後の展望をお聞かせ下さい。

 

ICT教育の環境整備、授業への導入は、児童生徒に公平に教育機会を提供し、学びの質を向上させるための有効な教育手法の一つと捉えています。白石町では、今の取組みで、子どもたちが高校、大学に進学し、さらには社会に出ても、通用するものと考えています。ICTに関わるリテラシーや、各教科の学習内容についても体系的に整理し、白石町から巣立った子どもたちが、皆「ここで学んでよかった、育ってよかった」と感じてくれるような教育につなげていきたいと考えています。

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