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DIS School Innovation Project

教育長インタビュー 山江村編

教育長インタビュー 山江村編

「郷土愛の育成」と「社会とつながるスキルの育成」をめざしたICT活用の推進

「教育、地域づくり、村づくり」をICTで連動させるという未来の山江村の理想像を描く教育長に、ICTを活用した教育への取り組みとその成果についてお話をうかがいました。

熊本県山江村 教育長 大平 和明 氏

昭和24年生まれ。昭和51年より、県内小学校教諭。人吉市立人吉西小学校長を経て、平成22年12月より現職。

山江村DATA
【都道府県】熊本県
【郡】球磨郡(隣接する自治体:人吉市、相良村、球磨村、五木村、八代市
【人口/世帯数】3,727名/1,246世帯(平成26年7月末)
【小中学校数】小学校2、中学校1
【児童・生徒数】児童257名、生徒111名
【備考】「水と緑あふれる心豊かな栗の里」の村。のどかな田園風景と緑豊かな山々に囲まれた自然あふれる農山村です。未来を拓き、輝く人材を育むむらづくりの一環として教育ICTを推進中。


郷土愛の育成を土台とした社会とつながる体験重視の学び


 

―山江村ならではの子供たちの育成環境について、特徴をお聞かせください。

 

山江村は人口3,700人のうち約10%が子供です。無医村で、コンビニエンスストアもないという環境ですが、この実情を受け止め、小さな村の大きなチャレンジという思いで教育に取り組んでいます。1中2小で、山江中学校は生徒数111名、山田小学校は児童数218名に対して、万江小学校は児童数39名と二つの小学校の環境は大きく異なります。3校ともに平成25年からコミュニティ・スクールに指定しましたが、それまでの長い歴史においても、地域の大人たちが日常の暮らしの中で子供たちに挨拶やマナーを教えながら村全体で子供たちの郷土を愛する心を育てていくなど、地域の教育への思いや関与は強いものでした。

しかし、近年、そのような意識も少しずつ薄れつつある中で、もう一度地域と学校とのつながりを深めさせることをめざし、“地域の教育力の強化と家庭の教育力の再生"をテーマに地域の特徴を尊重しながら、さらなる学力向上と郷土愛を育む体験に重きを置いた育成環境づくりに取り組んでいます。

山江村で育つ子供たちが、将来社会に出たときに、故郷の原風景を多くの人に発信していくことで郷土の発展に貢献しようと考え、行動できる力を養うためにも、郷土愛の育成とICTを活用して社会とつながるスキルの育成が今必要であると考えています。

 


デジタルとアナログの融合による21世紀型スキルと生きる力の育成


 

―今回のDIS School Innovation Projectに参加されたねらいと成果は何ですか。

 

平成23年度文科省委託「国内のICT教育活用好事例の収集・普及・促進に関する調査研究事業」の研究協力校として山田小学校に電子黒板4台が導入され、授業で使ってみたところ、子供たちの反応の大きさに驚きました。授業の導入段階で活用することで、学習への意欲や関心を高めることができることを実感し、その経験が教員たち自身のさらなるICT活用意欲の向上にもつながっています。

平成24年度からの「DIS School Innovation Project」の実証研究校として95台のタブレットPCが提供され、それまでの電子黒板と連動させた授業研究のスタートにあたり、23年度の経験を踏まえて、児童の学びを生み出す『提示と説明』と、児童の学びを深める『考えの共有』をICT活用の目的に設定しました。

『提示と説明』とは、児童の興味・関心・意欲を高め、学び方や考え方を知るための教師側の手立てを指し、好奇心が引き出される中で問いが生まれることにより、児童の思考が動き出す探究型の学習展開をめざしています。

『考えの共有』とは、伝え合う能動的な学習を通して、自分の考えをより良い考えへと高めていくための手立てを指し、異なる経験や考えをもつもの同士が多様な考えを交わし合う協働的な学習により、思考力・判断力・表現力の育成につながると考えています。

また、複式学級の特質を生かしながら、子供たちはタブレットPCを使って主体的な学習を進めることができ、その実績を教員がしっかりと追いながら、分析し、個別指導やチームティーチングなど、ICTと人がバランスよく介在する新しい学習形態に挑戦しています。

このように3校での「デジタルとアナログの融合」された実践を積み重ねながら、児童生徒の思考力、表現力の育成のためのICT活用による授業改善に取り組んでいます。

 


多様な連繋で広がる教育の可能性


 

―今後の展望についてお聞かせください。

 

平成25年度には村としての予算措置にて170台のタブレットPCを導入することで、1~4年生はグループに1台、5年生以上には一人1台の環境を整えました。平成25年12月の熊本県学力調査(ゆうチャレンジ)の結果でICTを活用した授業による学習への意欲・関心の向上が確認されたことから、ICT機器活用の効果を実感できました。

1中2小による小中連繋教育の実現には3校の同一歩調が重要で、26年度からは3校合同の研修会がスタートし、トップダウンではないボトムアップ型でのICT機器活用推進が始まっています。将来的には小中から高校への接続を視野に入れた教育へと広げていきたいと思っています。

2020年までには、山江村のすべての子供に一人1台の環境を充実させ、家庭教育との接続も図りながら、村ぐるみで日常的なICT活用を推進していきたいと思っています。

 

(注)山江村では「連携」ということばを、あえて「連繋」で統一して使っています。

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