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DIS School Innovation Project

教育長インタビュー 筑前町編

教育長インタビュー 筑前町編

「地域力」と「日常の授業へのICT活用」による地域の特性を活かした教育の充実へ - 小規模自治体だからこそできる、町ぐるみの“たくましい”グローバル人材育成 -

平成25年度に市内すべての学校がコミュニティ・スクールになった福岡県筑前町。
地域の力を教育に活かしながら、日常的な教育活動での段階的ICT活用による“基礎学力向上”と“能力育成”に取り組む、大雄教育長にうかがいました。

福岡県筑前町 大雄 信英 教育長

昭和22年生まれ 福岡県久留米市出身。
福岡県内の高等学校教諭、指導主事、人事管理主事を経て、久留米高校長、主幹指導主事を務めた後、平成17年4月福岡県立明善高等学校校長に着任。平成21年5月より現職。

筑前町DATA
【都道府県】福岡県
【郡】朝倉郡(隣接する自治体:朝倉市、小郡市、筑紫野市、嘉麻市、飯塚市、大刀洗町)
【人口/世帯数】29,530名/10,265世帯(平成26年3月時点)
【小中学校数】小学校4、中学校2
【児童・生徒数】児童1,596名、生徒870名
【備考】平成17年に夜須町と三輪町が合併して筑前町となる。夜須高原(やすこうげん)、目配山(めくばりやま)や砥上岳を仰ぎ、豊かな自然に恵まれた町である。


”地域の教育力”の活用による人材育成への思い


 

―町内2中4小学校のすべてがコミュニティ・スクール となった背景やそのねらいをお聞かせください。

 

平成17年に夜須町と三輪町が合併して筑前町になりました。1中3小と、1中1小からなる二つの町をつなぐ核として、「志をもって意欲的に学び、自律心と思いやりの心をもつ、たくましい子どもの育成」を教育目標に据え、地域の子どもを町民みんなで育てることをめざし、コミュニティ・スクールの実現も含め、これまでに40億円もの予算が教育に充てられてきました。

筑前町の特徴的な取組みとして、平成21年度から実施されている教育施策説明会があり、教員、保護者とすべての町民に、教育の成果や課題、次なる方向性が共有されています。一つの例としては、近年、教育課題として「教員の多忙さ」が町民側より挙げられ、町の教員の真摯な取組みへの労いとして、ICTを活用した教員の負担軽減を実現する校務支援システムが導入されました。
このようにコミュニティ・スクールを中心に、地域全体が学校教育への関心と関与をさらに高め、“地域の教育力”の活用を推進していくことが、教育を予算面から支えることにつながると考えています。筑前町は豊かな自然に囲まれた静かな町ですが、ここの子どもたちも、これからは世界でチャレンジしなければなりません。だからこそ2中4小という小規模自治体だからできる、町ぐるみの人材育成に力を入れていきます。

 

 


校務上の「課題解決のためのICT活用」から学力・能力を育むICT活用へ


 

―今回のDIS School Innovation Projectでは、子どもたちの“学力向上”“能力育成”を目的とした授業デザインにフォーカスされています。本プロジェクトに参画された、そのねらいと成果を教えてください。

 

今回のプロジェクトに参加することで、これまで取り組んできた「ICTを活用した授業づくり」を、一歩先の「子どもたちの能力の育成をめざしたICTの活用」へと進めたいという想いがありました。
本町では、全校の全教室に大型テレビと各校に2台の電子黒板が設置されており、日常の教育活動でのICTの利活用を進めています。平成23年度には、三並小学校で「ICTを活用した授業実践」と題し教師の教材開発など授業力向上、また、24年度は比較、関連づけなどの児童の思考活動や反復学習による知識・技能の定着について研究し、ICTが学習ツールとして有効であることを確認できました。
本プロジェクトでは、これまでの研究をさらに深め、電子黒板とタブレット端末の活用により、学習意欲の喚起や知識・技能、思考力、判断力、表現力といった力の育成をねらいとして、各教科の特性に応じて、どの学習段階でどのようなICT機器をどのように活用すればよいかの検証に取り組みました。その結果、導入段階では「動機づけ」や「体験の想起」など学習者の興味関心の喚起に有効であることや、見通しをもたせる段階では「課題やモデルの提示」による課題の認識、学習を深める(追究する)段階では、「失敗例の提示」「説明」「比較」のためにICTを活用することによる思考や理解の深まりが観察できました。最後のまとめの段階では、「ふりかえり」や「くりかえし」により知識が定着します。
これらの段階的効果を見取るためにも、本プロジェクトでは、子どもたちの学びのために、使いやすい機器や、教育効果を検証しやすいアプリケーションの選定、操作や準備における工夫にいたるまで、有識者として九州工業大学西野和典教授、関係企業の皆様とともに、産学連携の協議会を設け、徹底して検討しました。そのような基盤を整えることで、教師のICT活用への苦手意識や負担感を払拭し、各機器の特性に応じた指導のあり方を改めて理解することができたと考えています。

 

 


”学び続ける教師”の育成と次に見据えるステップ


 

―今後の展望をお聞かせください。

 

まず、町として子どもだけでなく教師を支援することを重視し、筑前町独自の研修システムを通し、全小中学校の教師の交流や今回の研究成果の共有を行い、“学び続ける教師”を育てていきます。今回の成果を踏まえ、教科のねらいに合わせ効果的にICT機器を活用し、子どもたちの知識・技能の定着、それらを活用・応用する能力育成をめざした授業づくりを進めることにより、“意欲的に学ぶ”人材、筑前町がめざすたくましい人材の育成が実現すると確信しています。

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