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ひとつ先をゆく同志社中学校のiPad mini活用とは?【後編】

2016年04月11日 記事

 同志社中学校では2014年度から、生徒がより主体的に学べる学習環境を目指してiPad mini11台体制をスタートした。

生徒の知的好奇心・探究心を活性化する思考ツールとしてもiPad miniを生かし、学習者主体の新しい学びに挑戦する。

同志社中学におけるiPad miniの活用事例について、同校の図書・情報教育部主任 反田任教諭に話を聞いた。

同志社中学校 図書・情報教育部主任 反田 任 教諭
同志社中学校 図書・情報教育部主任 反田 任 教諭

iPad mini導入3年目、当たり前のツールとして活用を広げる

2014年度にiPad miniの1人1台環境をスタートした同志社中学校では、導入から3年目を迎えた。実際の活用や手応えはどうか。

 同校の図書・情報教育部主任 反田任教諭は全体を振り返り、「プレゼンテーションやディスカッションなど、さまざまな機会に生徒の言葉が増えていることを実感する」と語る。

 

iPad miniを使えば、イメージを用いたコミュニケーションが可能になるため、生徒は資料やスライド、写真を共有しながら意見や思いを伝えることができる。反田教諭は「言葉だけではやはり恥ずかしいのだろう、以前は上手く伝えられない生徒が多かった。今は生徒が画面を指しながら説明したり、伝えたりする姿が見られ、表現力の向上とともにアピールしたい意欲も高まっている」と手応えを話す。

 イメージを用いたコミュニケーションがもたらす効果は授業だけではない。普段の学校生活においても、生徒と教師のコミュニケーションに変化を与えている。例えば合唱祭の練習では、プレゼンテーションソフトで歌詞カードを作り、伴奏を吹き込んで練習時に使用。また、練習の様子を担任が動画に撮影してフィードバックし、皆で改善点を話し合う。

 

こうした授業とは関係がない何気ない活用が、中学生にとっては“先生が自分たちを見てくれている”という肯定感につながると反田教諭は話す。「今の生徒たちにとって、スマートフォンの画面を共有して会話をしたり、動画や写真を撮影するのは日常的。そんな当たり前の感覚を大切することで、生徒と教師のコミュニケーションが充実するのではないか」と反田教諭は語る。

高校生が中学生の英語を添削。教育用SNS「Edmodo」を活用した授業

iPad miniを導入してからアクティブ・ラーニングを取り入れ、生徒がいかに学ぶかを重視したいと話す反田教諭。

自身の英語の授業でも新たな学びに挑戦している。

 中2英語「My Dream」という単元では、例年、自分の将来の夢について生徒が英語でプレゼンをする活動に取り組む。しかし、今回は“消えゆく職業、新たに生まれる職業”について調べるグループ学習からスタートした。テクノロジーの進化で2030年には多くの職業が無くなると言われているが、自分たちがなりたい職業は存在しているのか。TEDのプレゼン動画を見たり、図書館で調べ学習をしながら、グループでディスカッションも行なった。

授業で生徒たちが閲覧したTED動画。

アンドリュー・マカフィー「未来の仕事は、どうなって行くだろうか?」

https://www.ted.com/talks/andrew_mcafee_what_will_future_jobs_look_like?language=ja

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 その後、生徒たちは自分の将来の夢を英作文に仕上げる。通常では反田教諭が生徒の書いた英作文を添削するが、今回は大阪府立箕面高校「国際教養科」の生徒の協力を得て、教育用SNS「Edmodo」を活用して高校生が中学生の英作文を添削指導する学び合いを実施した。海外の教育機関で広く使われている「Edmodo」は、生徒はメールアドレスが不要で、教師が全ての生徒の学習履歴を確認できるのが特徴だ。生徒たちは掲示板でやり取りをしながら英作文を完成させた。

 反田教諭は、この活動の手応えとして2点をあげる。ひとつは、生徒の思考が深化したこと。単に自分の夢を語るのではなく、将来、どのように職業が変化するのかについて考えたことで問題意識を持つことにつながった。例年は大抵の生徒が、「私は英語が好きなので、英語の先生になりたいです」といった短絡的な英作文になりがちだという。しかし、今回は「自分は教師になりたいが、AI(人工知能)にはできない、生徒の気持ちを理解できる先生になりたい」と自分の考えを一段階深く掘り下げることができ、なおかつ英語のプレゼンでも表現することができた。教科書の内容を教えるだけでなく、実社会や未来と結びついた学びこそが生徒の思考を深化させるのではないかと反田教諭は語る。

 

もうひとつは、「中高生の学び合いの中で、高校生のアドバイスに学ぶことが多かった」と反田教諭は話す。高校生の添削には、英語の間違いを指摘するばかりでなく、“素敵な夢ですね!文章もとてもよく書けているよ。夢を叶えるために頑張れ〜!”というような中学生への言葉がけが多く見られた。反田教諭は「教師は生徒の間違いばかりを指摘しがちだが、まずは認め合うことが大切だと高校生は気づきを与えてくれた」と話す。会ったこともない高校生との学び合い。中高生同士が互いに認め合いながら学ぶことは、生徒の学ぶ意欲や伝えたい思いを駆り立てると反田教諭は話している。

今後の課題は、学校全体の一体感を示すこと

 iPad miniの導入から3年目を迎えた同志社中学校の今後の課題は何か。反田教諭は、「すべての学年が端末を持つようになったので、組織として一体感を示しながら使い方や活用範囲を広げていく必要がある」と語る。

 

一方で、“こうあらねばならない”といった限定的なICTの活用はしない。反田教諭は「ICTを使うと教師の予想しない方向にいくこともあるが、往々にしてそれらは良い方向に向かう」と話している。新しい学びのかたちを生み出していくことで、生徒たちの学びの姿そのものが変容していく可能性があるというのだ。取材日にも、図書・メディアセンターでiPadを使い勉強をする生徒、教室でプレゼン資料をつくる生徒など学校のいたるところでiPadを傍に学習をする生徒に会った。ノートや鉛筆などと同じように、自然に学習の中にiPadがあり、生徒たちは自由に活用する。

そういったマインドが同志社中学校の生徒の中に根付いているように感じた。

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