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ひとつ先をゆく同志社中学校のiPad mini活用とは?【前編】

2016年04月07日 記事

 同志社中学校では2014年度から、生徒がより主体的に学べる学習環境を目指してiPad mini11台体制をスタートした。

生徒の知的好奇心・探究心を活性化する思考ツールとしてもiPad miniを生かし、学習者主体の新しい学びに挑戦する。

同志社中学校におけるiPad miniの導入経緯や運用について、同校の図書・情報教育部主任 反田任教諭に話を聞いた。

同志社中学校 図書・情報教育部主任 反田 任 教諭
同志社中学校 図書・情報教育部主任 反田 任 教諭

生徒の自立を促進する「教科センター方式」「ノーチャイム制」の導入

 リベラルアーツ教育(理系・文系の枠におさまらない教養)の理念を取り入れ、自由・自治・自立の精神を重んじる同志社中学校(京都市左京区)は、学校運営において「教科センター方式」「ノーチャイム制」という2つの特徴がある。

 教科センター方式とは、各教科の教員が生徒のいる教室に行って授業を行うのではなく、生徒が毎時間、各教科の専門教室へ移動して授業を受けるスタイルのこと。欧米の教育機関では普及している教室運営だ。同志社中学校ではさらに教科センター方式に合わせて、校舎全体のフロアを「英語」「国語」「数学」などの教科ごとにゾーン分けし、それぞれの教科には専門書籍や資料、生徒の成果物を展示するための共有空間が設けられている。メディアスペースと呼ばれるこの共有空間は、生徒の知的好奇心や探求心を刺激し、興味・関心を広げる“学びの場”となっている。

学校運営のもうひとつの特徴である「ノーチャイム制」は、生徒の自発的な行動を促すのがねらいだ。同志社中学校では、校内の至るところにディスプレーを設置し、当日の時間割を表示する。生徒はこの画面を見ながら、自分で時間管理を行う。

 

 同志社中学校のiPad 活用は、このような自立を重んじる学校運営の特徴を受けて、生徒が主体的に学ぶためのツールであると位置づけている。導入のコンセプトには「iPad×ABC」を掲げた。「ABC」は「学びの基礎・基本」の意味に加え、Active Learning(能動的な学習)、Blended Learning(ブレンデッドラーニング)、 Collaborative Learning (協働的な学習) の頭文字を表す。タブレットの導入といえば、“モノをいかに使いこなすか”の話になりがちだが、同校ではiPadを活用して目指す学習の方向性を最初に示した。

スモールステップで進めた同志社中学校のiPad mini導入

同志社中学校では、2014年度から新中学1年生全員に対して、生徒の個人端末としてWi-FiモデルのiPad mini 2を導入した。1人1台環境を本格実施するまでには、約2年間の準備期間を設けスモールステップで進めている。

 2012年にタブレット導入の検討を開始した頃は、初代iPad20台購入し、Appleが提供する電子書籍アプリ「iBooks」を使って自作教材の提示などを試みた。続く2013年には、iPad 240台導入し、協働学習、個別学習などのシーンで試験的に活用。生徒の表現が多様化し、主体的に学ぶ姿に手応えを感じたことから、2014年度に本格導入に踏み切った。

図書・情報教育部主任 反田任教諭
図書・情報教育部主任 反田任教諭

準備期間に使用していたiPadとは違い、最終的にiPad miniを選んだ理由について図書・情報教育部主任 反田任教諭は「教室にある机の大きさや中学生の通学事情を考慮した」と話す。生徒の机には、教科書やワークシート、資料集、筆箱など多くの学習用具が並ぶが、そのうえにiPadも使うとなれば、サイズが一回り小さいiPad miniの方が使いやすい。また、同志社中学校では遠方から通う生徒や、部活動をしている生徒も多い。「通学かばんは、教科書、ノートのほか、部活動の荷物も多い。重さの負担も考えるとminiの方が良いと判断した」と反田教諭は語る。

iPad mini を選んだ理由と運用のポイント

 反田教諭はiPad mini を選んだ理由として、「バッテリーの持ち時間の良さ」「操作性の良さ」「教育用アプリが多いこと」の3点を挙げた。中でも、バッテリーの持ちは製品決定の大きなウエイトを占めた。また、説明なしに生徒が直感的に操作できる、授業で使えるアプリが多いこともiPadのメリットだったと話す。

 

同志社中学校ではiPad miniの導入当初から、“本来であれば生徒が自立して自由に使える環境が望ましい“という理念を持っている。しかし、ITリテラシーが発達段階にある中学生を考慮して、学校側がある程度のルールを設けた。反田教諭は、「生徒を縛るためのがっちりしたルールは必要ない。全体的にゆるやかなルールを最初に決めて、あとは“使いながら考える”という形で走り始めた」と導入当時を振り返る。同志社中学校では、“使用しない時はロッカーに入れて保管する”、“授業の使用は担当教員の指示に従う”など、大まかなルールを設定して運用を開始した。

実際にiPad miniを運用してみて驚いたことは、端末を導入していない上級生から「歩きiPadをやめてほしい」「写真を撮る時は周りに気をつけてほしい」などの声が挙がったことだ。反田教諭は「生徒たちは社会で問題視されている行動については、学校でも同じようにマナー違反だと考えている。このような生徒の声に耳を傾けていくことで、学校に合った運用やルールができるのではないか」と話す。

 

汎用性の高いiPad miniは、教育現場においても活用範囲や使い方など、まだまだ未知数。最初から制限を決めてしまっては、タブレット本来の良さが生かされないだろう。生徒の声に耳を傾けながら柔軟に対応できる体制が築かれているかが、その後のタブレット活用を左右するといえる。

 

後編では、同志社中学校のiPad活用について紹介する。

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