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千葉県松戸市立馬橋小学校 実証研究の経過取材【後編】

2016年03月31日 記事

2年目、子どもの想いをかなえるICT機器活用を目指して。

 千葉県松戸市立馬橋小学校は長きに渡りICT機器を活用した学習指導について研究してきた。2014年1月からはiPad42台を導入し、ICT機器をより効果的に活用した学習指導について研究を始めている。

導入後の成果と課題など経過状況について、石野 安秀校長、そして堤 由美子教諭、鎌田 歩教諭に詳しく聞いた。

松戸市立馬橋小学校 鎌田 歩教諭、石野 安秀校長、堤 由美子教諭
松戸市立馬橋小学校 鎌田 歩教諭、石野 安秀校長、堤 由美子教諭

2年目、落ち着いた運用と目的に合った活用

 1年目、真新しさと触れることのワクワク感で児童たちも夢中になったiPad。教員もまた、今までと違った授業デザインに戸惑いと楽しさを感じていただろう。では、2年目はどうだろうか? 鎌田教諭は以下のように話した。

鎌田 歩 教諭
鎌田 歩 教諭

 「ノート、教科書と変わらない扱いに変わっていきました。1年目は使い倒すことを目的としていたため、iPadを使いたいから、授業で使うという場面もありました。2年目からは本当に必要な場面、iPad“ならでは”の使い方ができる場面で使うことが増えてきました。これを表現するにはiPadが適しているが、別の場合には紙のほうが適しているというように選択肢のひとつに変わっていきました。いい意味でツール化したと言えます。」(鎌田教諭)

“使い倒す”ことをまず念頭に置きiPadを活用することで見えてきた"最も適した使いどころ”。自らが体感したことだからこそ、見つけられた答えは2年目の活用において財産になる。さらに、運用においても変更したことがある。

「ある期間ではiPadを一定台数各学年に割り振る運用を実施しました。例えば110番までをAブロックとして、それを1年生が使う運用です。割り振り台数を期間によって変えていきました。各学年で使いたいという要望に対して台数が足りませんでしたが、iPadを最大限、そしてより効果的に活用するためにこの運用を決めました。」(鎌田教諭)

 タブレットを整備する際に1人1台ではなく、まずは1クラス分のタブレット導入を考えている学校は多いだろう。1クラス分のタブレットを学年で割り振るという運用を実施した馬橋小学校の事例は参考になるかもしれない。ただ、運用をそのまま模倣するのでなく、なぜ馬橋小学校がこういった運用に至ったかにも注目して欲しい。

 「もちろん、ある期間では特定の学年で全台数を使う運用も実施しました。42台あるので1クラスでは1人1台の環境を実現できます。しかし、我々はタブレットを使うことによるコミュニケーション力の高まりが見たかった。そのため、今は1人1台の活用ではなく、複数人で共有しながら話し合いのツールとして活用していこうと考えました」(鎌田教諭)

実際に鎌田教諭は研究の一環で一定期間1人1台の環境で授業を行った。ドリル学習での活用による学力変化や継続利用による意欲関心の変化なども研究したが、タブレットを活用し、コミュニケーション力を高め、学びを深め合うという目的に立ち返った結果、この運用を決めたという。

しっかりとした目標設定の上で活用や運用の方針を決めていく。自然とiPadの活かし方も見えてくるだろう。

より深く。iPadを使っていく

 落ち着いた2年目の活用の中で、馬橋小学校は3年目の新しい活用も見据えている。もっと使い方に幅を持たせたいと堤教諭は話す。

 

堤 由美子 教諭
堤 由美子 教諭

 

 「写真や動画だけでなく、新しい使い方をしていきたい。いろいろな教科の中で写真・動画などの本来の機能を使うというのは、先生たちも研修を通してできるようになってきた。これからは新しいアプリやソフトウェアを探してコミュニケーションツールとしての活用をすることなども研究していきたい」(堤教諭)

馬橋小学校では毎週木曜日を研修日とし、ICT機器の操作研修やさまざまな授業シーンでの活用方法を共有している。使い方の幅を広げるためにこのような校内の研修体制は重要だったという。

 新しくApple TVを導入したことも、これからの授業展開に期待を寄せる一因だという。電子黒板とつなげて、データを映し出し発表を行うなど、実際に活用事例は校内で増えている。コミュニケーション力だけでなく、発表を通し「表現力」の育成につなげることができる。ICT機器が持つ可能性は使い方次第でいかようにも広がっていくのだ。

石野 安秀 校長
石野 安秀 校長

 

「iPadはいろいろな使い方があるけれども、それを精査していくのが我々の役割。高学年になると、当然インターネットに接続した活用もしていくべきだろう。子供の想いをどう学習に活かしていくかというのは、まだまだ研究していかないといけない。インターネットに接続できることで起こる問題についても、情報モラルを小学校でしっかり教えていかなければならない」(石野校長)

 ICT機器が子どもたちの成長にどう影響を与えていくのか、考えていかなければならない重要な点であると言える。しかしながら、まずは"使い倒してみる”。そういった経験の中で、見えてくるものがあるのではないだろうか。実証と成果、課題と対策のもとに進められる馬橋小学校でのさらなるiPad活用に期待したい。

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