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基本操作から情報モラルまで。小学校のICT教育の入り口「ポケタッチ」とは?

2016年02月04日 記事

デジタルネイティブと呼ばれる今の子どもたち。普段からタブレットやコンピュータに親しみ、あたかも使いこなせているかのように見えるが、実際子どもたちがデバイスを使ってやっていることといえば、ゲームや動画視聴がほとんど。そのため、いざ授業でタブレットやコンピュータを使うとなると基本操作や文字入力などが曖昧で、それらのICTスキルを身につける必要性が生じる。ICTスキルの未熟な小学生が、授業でタブレットやコンピュータをスムーズに使うためにはどうすればいいか。小学生を対象にしたタブレット・パソコンの入門教材ソフト「ポケタッチ」を活用した事例を紹介しよう。株式会社ポケモンコミュニケーションズ ライセンス企画部部長の柳田智克氏に詳細を聞いた。

タブレット・パソコンの入門教材「ポケタッチ」とは?

ポケタッチは、タブレットやコンピュータを使うために必要な基本操作や文字入力などを学べるICT入門教材。主に小学生を対象にしており、子どもたちに親しみのある人気キャラクター「ポケットモンスター」の世界を楽しみながら、子どもが自然にICTに関する基本スキルや知識を学べるようになっている。

ポケタッチで学べることは、主に下記の4つになる。まずは、この4つの内容について詳しく紹介しよう。


 1. 使い方特訓(マウス・タブレットの操作)
 2. アルファベット
 3. タイピング
 4. グルーピング(情報の分類・比較)


マウス・タブレットの操作方法では、ピンチイン、ピンチアウト、ドラッグなど基本操作を学ぶ。ポケモンを目的地まで動かしたり、ピンチアウトしながらポケモンに虫よけスプレーをかけたりと、ポケモンの動きに絡めながらマウスやタブレットの操作を体得する。

アルファベットの学習では、キー操作やローマ字入力に必要なアルファベットを学ぶ。アルファベットの読み方、大文字と小文字の区別など段階的に進み、最終的にはネイティブの発音を聞き分けて、アルファベットを選択する学習も用意されている。
タイピングの学習では、大文字と小文字の両方が表記されたポケタッチ内の専用キーボードを用いてローマ字入力の練習を行う。また、タブレットのインキーボードでは今までどの指で押したかわからないという課題があったが、ポケタッチでは「最初に押した指を離さないまま、次のボタンを押す」といった仕組みを取り入れている。

アルファベットの学習
アルファベットの学習
タイピングの学習
タイピングの学習

情報の分類・比較は、800種類以上ものポケモンを与えられた条件に基づいてベン図や表に分類する学習だ。ポケモンには、電気タイプ、水タイプなどさまざまな属性があるほか、ピカチュウはピチューの進化系といったように、進化を遂げるものもいる。このようなポケモンの特徴を生かして、情報を分類・比較する能力を養う。

情報の分類・比較
情報の分類・比較

ポケタッチで学習可能な以上の4つの内容は、いずれもゲーム感覚で児童が自分で学習を進めていけるようにデザインされている。各学習は、難易度によってステージがいくつも用意されており、クリアすればバッチがもらえるなど達成感も味わえる。柳田氏は「何度も失敗して、トライ&エラーを繰り返すように開発しています。克服した時の達成感や、出来なかったことができるようになることで自信をつけてほしい」とポケタッチへの想いを語る。

ポケタッチはブラウザベースで、どのコンピュータやタブレットからでも利用できる。また2015年度からは総務省が実施する先導的教育システム実証事業において、クラウド型学習プラットフォーム環境で学べる教材コンテンツのひとつとして実証研究が始まっている。小学校におけるIT教育の最初の入り口として、より先進的な取り組みが進められている教材でもある。

情報モラルやデバイスの使い方など、ICTの心得も学べる

ポケタッチには数え切れないほどの魅力がつまっているが、ここでは先生方が授業で使用する際にメリットとなる3つの特徴についてご紹介したい。

⚫︎学年に応じた情報問題が出題

タイピングやアルファベットなどの基本操作が学べる学習に加えて、情報モラルが学べることもポケタッチの大きな特徴だ。情報モラルが学べるメニューが用意されているわけではないが、タイピングやアルファベットを学ぶ過程でステージや課題をクリアすると情報モラルの問題に出くわす仕掛けになっている。出題される情報モラルの問題は、学年によって異なる。低学年の場合は、「ていねいな言葉を使おう」というレベルだが、高学年になれば著作権やネット上で自分の身を守る方法も学ぶ。いずれも、文科省の「情報モラル指導モデルカリキュラム」に準拠しており、「ゲームのコードを教えてと友達から言われたらどうする?」「一緒に友達と撮った写真をネットにアップしてもいいかな?」など、子どもたちの身近な話題に置き換えてクイズ形式で学べるのが特徴だ。

情報モラルが学べる
情報モラルが学べる

●「ひみつのあんごう」で自分の学習を自分で管理!

ポケタッチは、基本的にデータの保存機能がない。学習を終了する際には、「ひみつのあんごう」が表示されるので、それをメモし、次回の学習で入力すれば、続きから学習が再開される仕組みだ。また学習履歴を保存するためのサーバーもないので、教師が児童のアカウントを管理する必要もない。柳田氏は「先生が児童のID・パスワードを管理するのは、今の時代の価値観に合わないような気がしています。それよりも子どもたちが“ひみつのあんごう”を紙に書き写して、次回の学習まで自分できちんと管理しておく。そのような意識や習慣を身につける方が大切ではないかと考えています」と語る。

ひみつのあんごう
ひみつのあんごう

●時間を意識した使い方を促す!

ポケタッチでは学習時間を予め設定することができる。授業中や休み時間など、ポケタッチの学習に夢中になりすぎて、ケジメがなくなってしまう児童もいるからだ。ポケタッチでは設定した時間の5分前にはアラートが出るようにし、終了を促すようにした。ポケタッチを利用する教師のひとりは、「先生、今日は何分間使うの?」と取り組む前に子どもから声が出るようになり、時間のルールを守って端末を使用する意識が芽生えたと話している。

ポケタッチの効果とは・・・?

ポケタッチを実際に活用している教師からは、「児童が自由に使いながらICTに馴染んでいくのがよい」「低学年のICTを活用した授業では、最初に何をどうやって指導すれば良いのかわからなかったが、ポケタッチは最初の学習教材として使いやすい」「ポケモンなので子どもたちの食いつきが違う。普段無口な児童が教師と話をしやすくなる」などの感想が多く寄せられているという。

柳田氏は、「ポケタッチの理想的な使い方としては、授業よりも休み時間に使ってほしい」と語る。ポケタッチの導入校では、生活科や総合的な学習の時間で利用されることが多いが、休み時間に児童が自由に学習を進めるような形で使うのも効果的だという。実際に小学1年生でも使い始めて1ヶ月もすれば、かなり学習が進んでいるというのだ。

また、ポケタッチは本来、児童のICTスキルを底上げするのが目的であるため、授業の時間をわざわざ割いてポケタッチの学習時間を設けるのはもったいない。「先生の労力や貴重な授業の時間を、タブレットの操作習得や文字入力の練習に使うのではなく、先生は学習のねらいに沿った本来のICT活用に注力してほしいと思っています」(柳田氏)。授業を受ける児童たちのICTスキルをボトムアップすることは大切だが、それが授業のメインになってしまっては本筋ではない。短時間で効率的にITスキルが学べるポケタッチを上手く生かして、本来のICT活用に早くシフトできることが望ましいだろう。

ポケタッチの今後の展開については、「モチベーションが高まる良さを生かして貢献できる分野を増やしたい」と柳田氏は語る。なかでも、次期学習指導要領においても指摘されている思考力や判断力を伸ばすようなコンテンツを提供していきたいと話す。ポケタッチがこれまで培ってきた良さが、どのように活かされるのか、今後の展開にも期待したい。


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