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桃山小学校が実践する「効果的ICTの活用+α=集中力と理解力の向上」【前編】

2017年04月14日 記事

京都市伏見区にある京都教育大学には、幼稚園から小中学校、高等学校までの附属校があり、さまざまな教育課題の研究に取り組んでいる。その附属校として初等教育を担う桃山小学校は、ICTの活用による「人間力」の育成を目指している。同校でICT教育に取り組んでいる教諭、木村明憲氏と若松俊介氏のお二人に、教育ICTの効果的な活用から解決すべき課題まで話を聞いた。

恵まれた環境を活かしてICT活用を推進

同校は、2010年に文部科学省の研究開発校に指定され、情報活用能力を育成するための「メディア・コミュニケーション科」という新教科を開設した。この教科では、表現ツールの1つとしてICT機器を活用できるような授業デザインを実施していて、児童は機器の基本操作から活用方法までを学び、高い情報リテラシーを身につけていく。そのため、同校では授業におけるICT活用の導入検討がしやすい状況にあり、メディア・コミュニケーション科の研究に合わせるようにICT環境の構築が始まったそうだ。

 

「2012年に電子黒板やプロジェクタ、デジカメなどのICT機器の導入が始まりました。同時期に児童用のiPadも導入しました。最初は20台、その後数十台のiPad miniを導入しました」(若松氏)

京都教育大学附属桃山小学校 教諭 若松俊介氏

現在は40台のiPadがあり、1つの授業でクラス全員が使うようなこともできるようになった。このあたりは、公立とはまた違った意味での予算確保に苦労と工夫があったようだ。大学のICT設備環境とのシームレスな連携ができているとのことなので、おそらくは大学と足並みを揃えた提案など、決して環境整備に潤沢な予算を割けるわけではないなか、児童のために奔走されたのであろう。現在は全教室に電子黒板が常設され、校内のすべてに無線LAN(Wi-Fi)環境を構築するなど、効果的なICT活用を実現するために、しっかりステージを踏んで整えられている。

 

「文部科学省に研究開発校として指定される前に、パナソニック教育財団の助成校としての特別研究があって、その辺りからICTを導入することが子どもの理解促進につながるということを管理職の先生も理解してくださいました。それで、できるだけ良いものを入れていこうという流れになり、もちろん導入する機器は吟味しましたが、授業に効果があるものをというこだわりを持って導入を進めていきました」(木村氏)

京都教育大学附属桃山小学校 教諭 木村明憲氏

もちろん、機器の導入だけでは効果的なICT教育は望めない。メディア・コミュニケーション科を持つ同校では、教師陣も情報リテラシーを高めている。ICT機器やツールの特性を把握し、それぞれの授業に合った効果的な使い方を模索しているという。

 

「ICT機器を必ず使うのではなく、黒板やホワイトボードに書くのが一番効果的だったり、大型テレビに映すのが一番効果的だったりと、授業の内容や子どもたちの反応などにより効果的なやり方は異なります。どうすれば一番子どもたちの理解が進むのかを考えながらICTを取り入れ、授業を組み立てているのが現状です」(木村氏)

ハイブリット黒板アプリ「Kocri」を活用

導入したICT機器の使われ方は紋切り刀ではなく、教師陣自らが考え実践し、授業の内容に合わせてさまざまな組み合わせで活用されているそうだ。なかでも木村氏、若松氏が有効に活用しているのが、ハイブリット黒板アプリ「Kocri(コクリ)」である。

 

「Kocriの特徴である、撮ったもの、入力したものをすぐに電子黒板に映しだせる即時性が、子どもたちの理解促進につながっています」(木村氏)

電子黒板の活用として一般的なものはデジタル教科書だが、Kocriは表示内容をフレキシブルに変えられるため、デジタル教科書よりも効果的な授業が可能になる。単に電子化された教科書を表示するのではなく、子どもたちの授業風景を写真に撮り、リアルタイムで電子黒板に表示させるといったインタラクティブな使い方をすることで、授業への集中力と理解力向上に効果が現れるのだろう。

 

「グループ学習中に子どもたちの様子をKocriで撮っておいて、それを電子黒板で見せながら『なにかおもしろい雰囲気だったけど、どんな話をしていたの?』と聞くと、スムーズな流れになります。効率的に授業を進めるための武器という意味でもありがたいですね」(若松氏)

 

子どもからはわかりやすいという声のほか、(表示された)字がきれいで見やすいという声も聞こえるという。Kocriというアプリのこだわりの1つである「読みやすい教科書体のフォント」がしっかりと子どもたちに評価されている事例といえよう。また、Kocriを使うと授業の準備にかかる時間も短縮できる。教える側にとっては授業準備の効率化、児童にとっては、理解しやすい授業内容というメリットがあり、双方にうれしいICTツールなのだ。現在、同校ではまだ木村氏と若松氏の授業でKocriが活用されているのみだが、今後Kocriを活用する教師陣は増えていくのだろう。

木村先生による授業風景。子どもたちによるディスカッションの現場を写真に撮り、リアルタイムで電子黒板に映し出すことで、良かった点や注意すべきポイントなどをわかりやすく示していた。

若松先生による授業風景。子どもたちがグループごとにまとめた内容を発表する際も、Kocriを使って電子黒板に表示して行い、より表現力の高い発表が実現されていた。

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