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教師用タブレットの活用と課題点、今後の展望_柏市立柏第二小学校【後編】

2017年03月22日 記事

柏市立柏第二小学校は、LTEモデルの教員用タブレットを整備し、その有効性について実証研究を進めている。教師一人ひとりが、いつでもどこでもアクセス可能なタブレット端末を持つことは、教育活動や校務をどのように変えるのか。同校の事例をみていこう(後編)。

普通教室からタブレットを持ち出して、校庭や体育館、課外活動に活用

柏市立柏第二小学校(千葉県)では、教員用タブレットの有効性を探る実証研究を進めている。全担任教員28名には、LTEモデルの東芝Windowsタブレット「Dynabook Tab S80」を整備した。この取り組みでは、教員がいつでもどこでもタブレットを使える環境を通して、教員自身がICT活用に慣れる体制づくりや、LTEモデルの教育的利用における可能性も探る。

※向かって左から児童用のタブレット端末、中と右が教員用PCとタブレット端末。
※向かって左から児童用のタブレット端末、中と右が教員用PCとタブレット端末。

普通教室におけるタブレット活用では、デジタル教科書、ドリル系のフラッシュ教材、WEBサイトなどの利用について、教員用タブレットからアクセス可能にした。柏市では、IT教育支援アドバイザーによるオープンソースの学習ポータルサイト「ITadviser Online Home」を構築しており、柏第二小学校では普段からこれらのソースを使って授業を行う教員が多いというのだ。今までは教員がAP(アクセスポイント)を持ち運びして有線でWi-Fi環境を築き、同サイトにアクセスしていたが、LTEモデルの端末であれば、いつでもストレスなくアクセスできるのがメリットだ。

 

ほかにも、普通教室の活用だけにとどまらず、「体育館や校庭、校外活動にも教員用タブレットを持ち出すケースが増えた」と西田光昭校長は語る。具体的には、体育館や校庭で撮影した写真や動画を普通教室に持って帰って映写したり、町探検では教員同士の連絡にも活用するなど、これまで以上にタブレットを使う場面が増えたという。

 

ちなみに、柏第二小学校ではLTEモデルの教員用タブレットから校内LANに接続する場合(プリンタでの出力とファイルサーバへのアクセス時)は、有線経由でアクセスするよう運用を統一している。なぜなら、教員がインターネットと校内LANの間を相互に接続するにはプロキシの設定変更など操作が煩雑だからだ。校内LANを有線接続に限定することで運用をシンプルにし、明確にネットワークの利用を切り分けている。

資料提供:柏市立柏第二小学校
資料提供:柏市立柏第二小学校

避難訓練、校外学習の連絡など教員間の新たなコミュニケーションに利用

西田校長は、教員用タブレットとしてLTEモデルを選んだことについて、「結果として教員間に新しいコミュニケーションが生まれた」と評価している。いつでも準備なく、すぐにアクセスできる環境は、さまざまなコミュニケーションが行き交う学校運営や学級運営、学習活動に大きなメリットをもたらすというのだ。

 

例えば、不審者対応の避難訓練のときは、教員用タブレットで利用可能なオンライン通話ソフト「Skype(スカイプ)」を利用して、連絡事項のやりとりを行った。また校外学習のときは、教員同士の離れたバス間の連絡やトイレの位置確認などにも教員用タブレットを利用し、円滑なコミュニケーションをとることができた。ほかにも、校内での教員間の連絡や、例えば出張時にインフルエンザの対応を行う際にも、状況把握や相談をスカイプで行ったケースが見られたという。

 

「スカイプはチャットベースのやりとりなので、最初は抵抗感を示す教員もいると思ったのですが、意外にすんなりと受け入れてくれました」と西田校長は語る。また、チャットができない場合も音声電話が使えたり、写真が送れたりすることもメリットだという。「避難訓練などで現場がどのような状況なのかを写真に撮って共有するなど、いろいろ使える場面が増えるなと感じています」(西田校長)

 

このように教員用タブレットは授業以外にもさまざまな場面で活用され、教員たちのコミュニケーションを多様にしている。柏第二小学校では教員用タブレットを導入した当初は、教員同士の会話もツールや操作の話に終始していたが、次第に教員が使い慣れてくるにつれて、授業におけるICT活用に話題がシフトしていったという。西田校長は「世代間を超えた教員同士のコミュニケーションが活発になっているのが良いと思います」と語っており、ICTを共通言語に若い教員とベテラン教員の交流が増えていることを評価した。

柏市立柏第二小学校 校長 西田光昭氏
柏市立柏第二小学校 校長 西田光昭氏

LTEモデルの教員用タブレット、今後の課題と展望

西田校長は、教員用タブレットの取り組み全体を通して、「学校で教員用タブレットを活用するためには、“日常化”と“一般化”の2つの視点を持つことが重要だ」と述べた。教員がICTに馴染むための日常的な環境と、どの教員でもICTが使える活用パターンの一般化、この2つの視点が欠かせないというのだ。「タブレットだけが整備されてもダメです。タブレットが使える環境に端末を導入しなければ、そこから先が広がりません。逆に教師が抵抗感なく使える環境があれば、子どももより主体的に使えると考えています」(西田校長)。柏第二小学校では、電子黒板機能付きのプロジェクタが常設化されていたことや、デジタル教科書などのデジタルコンテンツも整備されていたことが、教員用タブレットの活用を後押ししたと西田校長は考えている。

 

LTEモデルの教員用タブレットについて西田校長は、課題点を2つ挙げた。ひとつは、端末を導入するにあたっての通信料が見えにくいことだ。教育機関におけるLTEモデルのタブレット導入事例はまだまだ少なく、料金体系が不透明なケースが多い。学校や自治体の規模感によって、Wi-FiモデルとLTEモデルのどちらが良いのかも悩みどころだ。このようなICT環境整備全般について、企業と学校の間に立った中立的な意見を聞く場が欲しいと西田校長は話す。

 

もうひとつの課題は、OSのアップデートやWi-Fi対応のプリンタの利用など、LTEモデルの端末だけではカバーできない課題があることだ。教員用タブレットを本格導入する際は、このような課題に対しても考慮し、どのような機種選定を行い、どのような運用をするのが望ましいかを考える必要があるというのだ。

 

一方で、西田校長は今後の展望について「出欠管理や健康観察などの校務情報を教員用タブレットから入力できるようになれば、校務時間の削減につながる」と話す。現状では校務システムと教員用タブレットはリンクしていないが、このような使い方ができれば、教師の作業負担軽減に大きな影響をもたらすというのだ。

 

今後は教員用タブレットだけでなく、児童用タブレットの一人1台に向けても進めていきたいと話す西田校長。次期学習指導要領が目指す能力の育成を考慮すれば、教えるための環境整備だけでなく、学ぶための環境整備に移行していかなければならない。児童たちがより主体的に学ぶ環境を目指して、これからもICT活用をさらに前進させていく。

資料提供:柏市立柏第二小学校
資料提供:柏市立柏第二小学校

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