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「模索」から「当たり前」へ - 先生たちの協力が実現した青森県外ケ浜町立蟹田小学校ICT活用の変化【前編】

2016年08月10日 記事

 文部科学省「教育の情報化ビジョン」では、2020年までに児童生徒1人1台の情報端末を活用した学習指導の実施を掲げている。しかし、変化の大きさには期待もあり不安もあるだろう。ICT機器の導入は学校現場や学習指導にどのような変化をもたらすのだろうか。

 

青森県外ケ浜町立蟹田小学校は、平成26年9月にタブレットを導入。翌27年度には校内研究の一環としてプロジェクターや書画カメラなどを含めたICT機器の活用を掲げ、取り組みを進める中で日常の授業に機器の使用が根付いてきたという。ここまでどのような取り組みが行われてきたのか、同校八木橋勝治校長、小松達弘教頭と、6年生担任の船橋先生、5年生担任の後藤先生にお話を聞いた。

(左から)青森県外ケ浜町立蟹田小学校 後藤先生、八木橋校長、小松教頭、船橋先生
(左から)青森県外ケ浜町立蟹田小学校 後藤先生、八木橋校長、小松教頭、船橋先生

授業で使うことをイメージできるように

 蟹田小学校は児童数93人、教員数12人(平成28年度)。導入したのはWindowsタブレット25台で、会議室に設置した収納庫に保管し、使用するクラスの児童が出し入れするルールだ。職員室に予約表を用意して時間ごとの貸出クラスを管理している。導入当初はタブレットに初めて触れる教員もおり、操作方法だけでなく何から手をつけていいのか分からない状態だったという。

蟹田小学校 八木橋 勝治 校長
蟹田小学校 八木橋 勝治 校長

 

「まず学習指導の中でどう活用していけばいいのか、先生方がイメージできていなかったと思います。教員研修を何度もやっていただいたおかげで、使い方も理解でき、授業に活かしていこうという意欲が少しずつ出てきました。先生方も時間的には厳しかったと思いますが、一生懸命取り組んでくれました」(八木橋校長)

初年度は研修内容を参考に徐々に授業に取り入れながら、モデル授業を実施して他の先生方がその様子を見学する機会を設けるなど、活用のイメージをつくっていった。

外国語のモデル授業では「Hi, Friends!」を教材として使用したが、タブレットを使ってカメラで撮影した物の名前を英語で答えるというクイズ形式を取り入れた。また、社会科では弘前市の歴史文化をインターネット等で調べ、その情報からプレゼンテーションアプリを使って資料を作成し発表するなど、授業の流れの中にさまざまな使い方を盛り込んだ。先生方がまだ手探りで奮闘している段階から、子どもたちはタブレットの操作にすぐに慣れ、積極的に授業に参加していたという。

蟹田小学校 小松 達弘 教頭
蟹田小学校 小松 達弘 教頭

「初めはおっかなびっくりの子もいましたが、タブレットを使いたいという気持ちはとても強かったと思います。好き勝手な使い方はしないよう、最初にルールを決めて使うようにしています」(小松教頭)

「セキュリティについてはマニュアルをつくり、学級活動や道徳の時間などいろいろな場面で著作権や情報モラルのことなどを指導しています」(後藤先生)

職員室で生まれた協力体制

5年生担任の後藤先生
5年生担任の後藤先生

 28年度に入ると、校内研究と連動させて授業でのICT活用を明確に打ち出し、取り組み課題が一層具体的になった。校内研究のパイロット教科である算数において、担任は年1回の提案授業の中で、必ずICT機器を活用した場面を取り入れることにした。最終的に年間で算数6回、家庭科1回の提案授業が実践されたという。

「算数では問題提示に使ったり、解答の記入・発表などにも使いました。複合図形の面積の求め方では考え方をタブレットに記入し、プロジェクターに映して発表するなど、児童も受け身なだけでなく、より積極的に取り組むことができたと思います」(後藤先生)

お互いのタブレットを見合う児童たち
お互いのタブレットを見合う児童たち

家庭科では動画撮影・再生機能を使い、ミシンを使った正しい縫い方を見せたり、児童がお互いに撮影し合い正しい縫い方ができているか確認するといった活用が試みられた。こうした取り組みが続くうちに、授業準備のために先生方がお互いに相談したり、活用したい機能やアプリの使い方を教え合うなど、職員室の中で自然に協力体制ができていった。

手元を綺麗に撮影。きちんと手順通りできているのかチェックすることができる
手元を綺麗に撮影。きちんと手順通りできているのかチェックすることができる

「ただICT機器を学習指導に取り入れたというだけでなく、教職員が協力しながら取り組んでいく体制ができたことが一番大きな成果だったと思います。今ではごく普通にICT機器を使った授業が行われていて、以前と大きく様子が変わったことを実感します。こういう環境が大切なのだと思っています」(八木橋校長)

 

またこの年、従来は階ごとに共有していたプロジェクター(または大型モニター)や書画カメラなどの機器を各教室に常設した。日常的にICT機器を使いやすい環境を整えたことも活用の機会が増える理由になったという。タブレット導入当初は使用に消極的な先生もいたそうだが、協力体制による取り組みや環境整備が成果につながり、27年度の1学期には全クラスで活用されるようになったという。

 

後編では、さらに詳しい授業での活用の仕方やこれからの展望について聞いていく。

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