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キーワードは安全、保守。AOI-SPCMシリーズ

2016年05月30日 記事

1918年の創業以来、さまざまな黒板づくりに携わる株式会社青井黒板製作所(以下 青井黒板製作所)。黒板業界では、全国トップシェアを誇る、業界屈指の黒板メーカーだ。ここ近年は、黒板メーカーの強みを活かした電子黒板の開発、製造で、教育現場へのICT機器導入の促進にも一役買っている。本記事では、青井製作所が開発・販売を手がけるAOI-SPCMシリーズについて話を聞いた。

創業100年近い黒板メーカーが電子黒板に取り組む背景

 全国に事業所を構え、黒板メーカーの老舗として黒板業界を牽引する青井黒板製作所。電子黒板については、膨大な黒板づくりの知見を活かしながら、現場のニーズや時代状況にあわせた開発、製造で実績を重ねている。黒板業界の中でも先陣をきって本格的な開発に着手し、学校現場へのICT機器導入の後押し的な役割を担ったともいえる。現在までの採用実績は、全国で約6,000教室。青井黒板製作所の総売上の約2割が電子黒板だという。

 

青井黒板製作所が本格的に電子黒板開発に取り組み出したのが、約6年前。ICT機器導入の推進が叫ばれ、各自治体が予算を確保し出した時期でもある。

 

「電子黒板は、前回までの授業の内容をまとめたものを映し出せたりします。改めて板書する必要がなく効率的です。また、一部の新しいことが好きという先生を除けば、小難しい印象も与えるICT機器に対して、敬遠しがちな先生も少なくありません。だからこそ、実は簡単で、そして便利に授業に使える電子黒板を提供したいのです」(青井黒板製作所 教育ICT事業部東京本部・松下 正氏)

 

確かに、便利な一方で「準備に時間がかかりそう」「プロジェクターの映し出せる位置が固定だと不便」「もしプロジェクターを教室に常設したら、安全面は大丈夫なのか」「これまでの授業スタイルをどれほど変えないといけないのか」といった、さまざまな不安の声が出てくるのも事実だった。それらの不安の声を解消し、開発された電子黒板が「AOI-SPCM」シリーズである。

業界最大手の黒板メーカーだから開発できる電子黒板とは?

 「AOI-SPCM」シリーズは5つの仕様が用意されている。

「学校、教室の状況、予算などによって、各現場で設置条件が異なります。なるべく設置条件にあわせた最適な仕様の提供を目指しています」

(青井黒板製作所 東京支店・植村亮氏)

5つのパターンの特徴は、以下のとおりだ。

 

1 プロジェクターの壁面固定タイプ

2 プロジェクターがアルミ製スライドレール上を左右に移動できるタイプ

3 黒板上部にプロジェクターを固定設置、昇降型黒板でもプロジェクターが一緒に昇降するため、常に最適なエリアで再生可能なタイプ

4 スライドレールによる移動と昇降型黒板の両方に対応できるタイプ

5 ホワイトボードが黒板と一体となり、ホワイトボードの左右移動が可能なタイプ

 

 

青井黒板製作所 東京支店 植村 亮氏
青井黒板製作所 東京支店 植村 亮氏

特に学校現場からは、スライドレールで移動できるタイプの需要が高いという。

「例えば、国語だと縦書きですので、右側を板書用に空けておいて、左側に映像や画像を映すエリアにすることができます。それが英語や他の科目ですと、横書きですので、国語と逆のこともできます」(植村氏)

「特にスライド式は、各先生の指導スタイルに柔軟に対応できるメリットがあります。なおかつ、従来どおりの板書を使った教え方にも対応しやすいので、今までの指導スタイルを変えずに、電子黒板の長所を授業に取り入れやすいと考えています」(遠藤氏)

汎用性の高い、青井黒板の電子黒板

 そのほか「AOI-SPCM」シリーズには、各社プロジェクターメーカーの仕様に対応できる「金具」で設置できるメリットがある。

 

「開発でかなり注力した点の一つが“金具”です。学校では、主に至近距離から投写できる短焦点プロジェクターが採用されます。それを“超短焦点専用取り付け金具”で設置するのですが、弊社がAOI-SPCMで採用する超短焦点専用取り付け金具は、各社プロジェクターメーカーに対応できる金具です。各社純正の金具で設置すると、仮にリース期間が空けてプロジェクターを再検討しようと思っても、検討できるメーカーが限られてしまいます。弊社の金具なら、メーカーの縛りを気にせずに工事はできるし、プロジェクターが選べるメリットもある。特許技術を使ったこの金具を使えるのが弊社だけですので、中長期を見越して汎用的に選びたいと考える教育委員会、各学校の現場から喜ばれています」(松下氏)

金具全体の写真。プロジェクターと金具全体をつなぐプレートが存在し、このプレートを各社プロジェクターメーカーの仕様にあわせて交換するだけでいい。プレートの交換費用は約5,000円プラス工事費なので、安価な対応が可能。また、プレート部分の上げ下げも簡単にできるようになっていて、細かな画角調整も可能だ

第三者機関による安全面の確保も徹底

 また、小さな子どもたちを預かる立場にある小学校を中心に、安全の確保や定期的な保守点検の有無は、現場や保護者にとって気になるファクターだ。そこにも余念がない。

 

「弊社は、一般社団法人教育環境研究機構という外部の検査機関の指針に沿った取り付けを徹底しています。設計図面どおりの取り付け機器の使用や強度確認などを徹底的に調査されます。強度試験の報告書や計算書のチェックをパスして初めて金具が使えるほか、取り付け工事後にも設置状況確認があります。すべての承認を経て、検査に合格したことを意味する保証書を発行します。オプションで年一回の定期検査もありますので、スライド式など稼働物の経年劣化の不安にもお応えできます。もちろん、こうした機関の存在にかかわらず、私どもは最大限安全面に十分な配慮をしていますが、第三者機関を入れて慎重に慎重を期して、お客様にお渡ししています」(松下氏)

 

「例えば、東京都墨田区で採用いただいた決め手が第三者機関による安全の保証という点でした。現場の安全を担保できてこそ、初めて電子黒板が教育環境の改善や授業支援策に活きてくるからです」(植村氏)

一般社団法人教育環境研究機構
一般社団法人教育環境研究機構

使いやすいからこそ、約8割という稼働率

実際の導入後、教育現場からはどのような声が寄せられているのだろう?

 

「千葉県柏市では、全小学校でスライドレール式の電子黒板を採用いただいています。先ほど触れたとおり、板書計画にあわせてスライドを左右に移動できるので、実際の現場で使いやすい。導入後から3カ月、千葉県柏市立柏第二小学校で調査を行ったところ、“ほぼ毎日活用している”と答えた先生が約79%にのぼりました」(松下氏)

青井黒板製作所 東京支店 遠藤洋平氏
青井黒板製作所 東京支店 遠藤洋平氏

そのほか、東京都墨田区での調査でも同様に約8割ちかい先生がほぼ毎日活用、という報告があがってきているそうだ。使われてこその電子黒板が、「AOI-SPCM」シリーズの設計思想ともいえる。

「電子黒板によって、大きな画面で音声とともに映像や画像を利用できれば、生徒の立場を考えると、通常の板書だけのスタイルよりもわかりやすく、飽きのきづらい授業体験につながります。常設でスライド式による柔軟性と、生徒からの反応のよさが相乗効果となって、各地で高い活用率が維持できていると推察しています」(遠藤氏)

これからはますます、教育現場のICT機器導入は拡がりを見せるだろう。「AOI-SPCM」シリーズをはじめとした、電子黒板のさらなる進化も急務だ。青井黒板製作所も、これからの電子黒板に強い思いを馳せている。

 

「電子黒板の普及が進めば、今以上に板書計画や黒板に求めたい機能の中身は変わってくるはずです。例えば、壁一面に投写できるような空間を提供する、といったことも考えられます。100年近い黒板メーカーとしての強み、実績を活かしながら、電子黒板を通じた新しい教育環境の提案、自由度の高い教室環境実現のための実践を目指したい。そうした活動が、少しでも教育現場の貢献につながれば幸いです」(松下氏)

取材・文/遠藤 義浩

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