「Google for Education 教育DXパッケージ」で、個別最適な学びと教員の働き方改革を実現する

多くの自治体がGIGA端末の更新時期を迎えています。それに合わせて、Apple、Google、Microsoftの3社もNEXT GIGAに向けた戦略を準備しており、その内容を紹介します。

今回は、GIGAスクール構想で約4割のシェアを獲得したGoogleを取り上げます。低価格で端末の管理・運用がしやすい Chromebook™ ですが、NEXT GIGAでは端末導入だけでなく、個別最適な学びに必要な教育データ利活用や教員の働き方改革の実現に向けたICT環境の構築・サポートに力を入れていく考えです。グーグル合同会社 Google for Education営業統括本部 本部長の杉浦剛氏に話を聞きました。

※本文の内容は、2023年12月28日時点のものです。それ以降に発表された情報は含んでいません。

GIGAスクール構想で Chromebook が一番に選ばれた理由

文部科学省が2021年10月に発表した端末の利活用状況等の実態調査(令和3年7月末時点)(確定値) の資料によると、GIGAスクール構想における ChromeOS™ を搭載した Chromebook のシェアは全体の40.0%を占め、日本の教育機関で最も選ばれた端末となりました。また、他のOSを選んだ自治体においても、Google Workspace for Education (以下、Google Workspace)を使っている割合は多く、その数も含めると約60%の教育機関が Google のソリューションを導入した、という結果になります。

整備済み端末に対するOSごとの割合(台数)(出典:端末の利活用状況等の実態調査(令和3年7月末時点)(確定値)

Chromebook がトップシェアを獲得した理由について杉浦氏は、「低価格で大規模導入に適していることや、OSの自動更新によってセキュリティが高いこと、また起動が速く、複数のユーザーでデバイス共用が可能であることなど、授業や学校生活で日常的に使いやすい点が評価されたと考えています」と述べています。

グーグル合同会社 Google for Education 営業統括本部 本部長 杉浦剛氏

また、「Chrome Education Upgrade (以下、CEU)」と呼ばれる Google 管理コンソールを使って、クラウド上で大量の端末を一元管理できることも、Chromebook が選ばれた大きな要因だったと同氏。アプリのインストールやリモートロックなど日々の端末管理も効率的に行えるうえに、CEU を利用することでサードパーティ製のMDM(Mobile Device Management)やセキュリティソフトが不要になり、ランニングコストを削減できることも教育機関に選ばれた大きなポイントです。

数年間で多くの先生から豊富な活用事例・教育実践が生まれた Chromebook

Google ではGIGAスクール構想当初から、「端末の導入だけ終わることがないよう、活用推進にも力を入れ、『Kickstart Program for Teachers ※』といった先生向けの研修プログラムを実施してきました」と杉浦氏は述べています。※現在は申込を終了しています

そうした取り組みの成果もあり、校種や教科に関わらず、多くの先生の間で Chromebookや Google Workspace の活用が進み、ICT活用のボトムアップにつながりました。 Google では、こうした授業や学校生活の活用アイデアをまとめて公開しています。

また杉浦氏によると、「Chromebook の活用が進むにつれて、アプリを組み合わせたり、アドオンを入れたりと発展的な利用も増えてきた」といいます。たとえば、高等学校では、Google CoLaboratory を活用したPythonのプログラミングの授業や、小学校では Google フォーム に入力した子供たちの気分をBIツール「Locker Studio」で可視化して、いじめの気づきにつなげるなど、活用の幅が広がっています。

さらに、ICT活用が進んでいる学校では Googleサイト™ の利用率が高くなってきていると同氏。児童生徒の成果物や学習記録をポートフォリオとして Google サイト に蓄積する例や、ある自治体では高校の入試結果発表に Google サイト を活用するといった事例も登場。何万人となる受験生の同時接続を実現する合格発表サイトの導入は膨大なコストがかかりますが、10億人あまりが毎日アクセスする Google ソリューションを活用すれば、コストをかけずにデジタル化を実現することも可能です。

一方で、Google では日本の教育現場に合わせた機能の充実にも力を入れてきました。かねてより現場から要望の多かった縦書きについても、実証実験用ではあるものの、「Google スライド™ 用縦書きテスト」のアドオンを実装。また、モリサワの「UD書体」が Google Workspace で実装されるなど、先生の要望や活用に合わせてサービスを進化させてきました。

「 Google スライド 用縦書きテスト」のアドオン

このように Chromebook や Google Workspace は多くの学校や先生に使われ、この数年でさまざまな活用事例や教育実践を生み出してきました。ICT活用がさらに求められるNEXT GIGAにおいても、これらの豊富な実践例は有益で、先生方のICTスキルの向上や活用の発展に寄与するでしょう。

導入自治体も増加!NEXT GIGAのICT環境整備に有効なソリューション「Google for Education 教育DXパッケージ」

NEXT GIGAの端末整備については、このようなICT活用に慣れた児童生徒や先生が、さらに学び方・働き方を高められるようなICT環境をめざすことが重要です。そこで Google では、2022年11月にリリースした学び・校務・セキュリティという3つのDXソリューションをパッケージ化した『Google for Education 教育DXパッケージ 』をNEXT GIGAでも広げていく方針です。

同パッケージは、個別最適な学びと教員の働き方改革、そして、それらの実現に必要なゼロトラスト環境を整備するもので、Google Workspace for Education Plus (以下、Education Plus)という有料エディションの上位プランを活用したサービスになります。杉浦氏によると、2023年以降は導入自治体も増えており、NEXT GIGAに向けたICT環境整備の有効なソリューションとして、教育関係者の関心も高まっているといいます。

 なかでも、同パッケージに含まれている Education Plusは、全エディションの機能を統合しており、校務や端末管理の効率化を促進させる機能が充実しているのが特長です。たとえば、動的グループの使用が可能になり、学年、クラス、担任の変更など年次的に発生する組織体制の更新作業が大幅に軽減できるようになりました。

また Education Plus には、2023年7月末にリリースされたAIを活用した個別最適な学びを支援する「演習セット」も含まれています。これは、先生が演習セットに問題を追加すると、自動採点をしてくれて、わからない児童生徒にはヒントも出せる機能で、先生一人ではむずかしい個別最適な学びを実現します。児童生徒の学習ログの分析機能も実装されており、教育データ活用をサポートします。

Chromebook は自動更新を10年に延長、教育を長くサポートする

 Google ではNEXT GIGAだけをフォーカスするのではなく、教育を長くサポートできるサービスの提供など、サステナビリティを高めていく考えだと杉浦氏は述べています。

 一例としては、製品の再利用化として旧型のWindows やMacなどのPCで Chromebookに近い動作を実現する「ChromeOS Flex」を無料で提供しています。教育機関では CEU を導入すれば、ChromeOS Flex のPCを管理コンソールから一元管理が可能で、しかも、その CEU は次に Chromebook を購入した際も使いまわすことが可能。新たに CEU を購入する必要はありません。既存のPCは動作が重く、NEXT GIGAの端末更新までもたない、といった場合に有効な手段で、栃木県壬生町などで事例があります。

さらに、もうひとつ。Google は2023年9月14日に Chromebook の自動更新を10年に延長することを発表しました。GIGAスクール構想の端末導入時点では、OSの自動更新は5~6年のものが多かったですが、これを10年に延長。より長くOSがサポートされることで、安心・安全に Chromebook を使い続けることができるようになりました。

GIGAスクール構想当初から、教育現場に寄り添って活用推進に力を入れてきた Google。多くの先生や学校が Google のサービスを利用している今、NEXT GIGAにおいても、その勢いが衰えることはないでしょう。新たな学び方・働き方を実現するICT環境整備に、Chromebook や 教育DXパッケージ の導入を検討する価値はあるといえます。

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