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 小学校教員3年目のわか子。新米だった頃に比べて教員としての経験も増え、充実した日々を送っていました。

そんな折、校長先生から「来年度から本校もタブレット1人1台を目指して本格的に検討していくことになった。そこで、わか子先生に機種選定委員会の委員と兼ねて、本校での旗振り役として、ICT担当になってほしい」と任命されてしまいます。

 

校長先生の期待は嬉しいけど正直、タブレット導入の話なんて私立学校の話で、ウチの学校はまだまだ先だろうと思いわか子は悩んでしまいます。

スマートフォンは使っているものの、学校で使うタブレットのことなんて何ひとつ分からない!さあ、どうする!?

そもそも、なぜタブレットが導入されるの?

としお:わか子先生、ICT担当になったらしいね! 実は、私も校長から任命されたんだよ。よろしくね。

 

わか子:ほんとですか!? パソコンに詳しいとしお先生が一緒なら心強いです。よろしくお願います!

 

としお:うーん。でもこれから、ICT教育についてもいろいろ勉強しなくちゃなぁ…。

 

わか子:えっ、としお先生でもそんなに勉強することがあるんですか? 実は私、私立の学校でタブレットを使うところが増えてきたってことはなんとなく知っていたのですが、ウチの学校はまだまだ先の話だろうと思っていました。だから、全然分からないことばかりです…。

 

としお:大丈夫。これから一緒に勉強していこう!

 

 

ICT担当になったものの不安なわか子。そんな姿を見て情報機器に詳しいベテランのとしお先生は、以前訪れたことがあるタブレット導入校の話をし始めました。

 

としお:その時見た授業では、子ども達がタブレットを使ってプレゼンテーションをしていたよ。自分達で調べた内容を簡単なスライドにまとめて、電子黒板に映して発表していたなぁ…。あとは、理科で観察をする時にタブレットで写真を撮ったり、体育のマット運動では自分の動きを動画で撮影して確認していたよ。いろいろな使い方があるなと思ったね。

わか子:そうなんですね。タブレットって聞くと子どもたちが黙々と画面に向かって勉強するようなイメージだったのですが、随分違うんですね。でも、今のお話を聞いていると、タブレットのほかにも電子黒板とか必要だし、それに子どもたちが学校のあちこちで使うとなると壊さないか心配だなぁ。

 

としお:電子黒板だけじゃないよ。タブレットを学校で使うためには、Wi-Fi環境の整備だったりタブレットの保管場所、それにセキュリティの対応、業支援システムにデータ管理などなど、考えなくてはいけないことがいっぱいだ。もちろん、子どもたちが安心して使えるように耐久性に優れたタブレットが必要だしね。

 

わか子:なるほど〜。これから勉強しないといけないことがたくさんありますね。でも、私、まだ分からないことがあります…。

 

としお:なんだい?

 

わか子そもそも、なぜタブレットとか、電子黒板みたいなICT機器が必要なのでしょうか? 今、ウチの学校はそんなにICTが整備されているわけではありませんが、授業は問題なくできていると思うのです。本当にICTが必要なのでしょうか?

 

としお:わか子先生は、まずはそこから勉強したほうがいいね。 じゃあ一緒に勉強しにいこう!

一方通行型の授業からアクティブ・ラーニングの実現へ

タブレット導入前に、そもそもなぜ学校にICTが必要なのか疑問に思ったわか子。

早速勉強しようと、としお先生が連れてきてくれたのは…なんと文部科学省!

 

国はなぜ、ICTやタブレットの導入を進めているのでしょうか。学校の情報化や情報教育全般を扱う文部科学省 生涯学習政策局 情報教育課情報教育振興室 室長補佐 稲葉敦氏に話を聞きました。

文部科学省 生涯学習政策局 情報教育課 情報教育振興室 室長補佐 稲葉 敦氏
文部科学省 生涯学習政策局 情報教育課 情報教育振興室 室長補佐 稲葉 敦氏

稲葉さん:まず、誤解していただきたくないのは、国が目指しているのは“タブレットPCに限定したICT

機器の導入”ではないということです。確かに、現状をみるとタブレットを選択する学校が多いのです

が、中学や高校ではノートパソコンを選ぶ学校もあるなどさまざまです。あくまで国が目指している

のは、教科指導における教育用コンピュータの導入になります。

稲葉さん:学校の授業はこれまで、教員から子どもに知識や課題を与える一方通行型の授業が中心でした。しかし、高度情報化社会で変化が激しい今、子どもたちが将来必要とされる能力も変わり、学校の学び方も変わっていくことが求められています。なかでも、これからの時代は課題解決能力が求められるので、“どのように学ぶか”という学び方が重要になります。

 

正解がひとつとは限らない問題に対して自ら情報収集し、他者とコミュニケーションを深めたり、協力したりしながら最適な答えを探す課題解決能力が必要なのです。

稲葉さん:こうした能力を育成するためには主体的・協働的に取り組み深く学ぶアクティブ・ラーニングを取り入れることが重要で、ICTを導入することで実践しやすくなるといいます。もちろん、アクティブ・ラーニング自体はICTがなくてもできますが、ICTがあることでより多様な学びを実現できるようになると考えております。

 

わか子:なるほど。タブレット端末は整備ありきではなく、今の授業を改善していくためのツールということですね!

確かにアクティブ・ラーニングはICTがなくてもできるけど、ICTがあることで、写真や映像も使えるし、プレゼンテーションがやりやすいかも。

 

稲葉さん:それと、もうひとつ。ICTを推進する理由としては時代背景もあります。高度情報化社会で、これだけICTが世の中に普及した今、子どもたちの情報活用能力(情報リテラシー)を向上させていくことも重要だと考えています。

 

インターネットに情報が溢れる中、どれが正確な情報で、自分の必要な情報はどこにあるのか。子どもたちは情報を検索したり、 取捨選択して見極める力なども必要になってきています。学習のなかでICTを活用することを通して、子どもたちが試行錯誤を繰り返しながら学ぶことが必要です。

ICTを活用していく課題、教員に求められていること

文部科学省がICTやタブレットの導入を進める背景について、だんだん理解を深めていくわか子。しかし、まだまだ疑問は残っているようです。

わか子:タブレットやICTがなぜ学校で必要なのかは分かったのですが、いったい、タブレットの導入ってどれくらい進んでいるのでしょうか?私の地域でタブレットを使っている学校って、まだ少ないのですが…。

 

稲葉さん:文科省では平成29年度までに3.6人に1台を目指すなどの整備目標を掲げており、27年度現在では6.4人に1台の教育用コンピュータが整備されています。学校でICTを活用するためには、環境整備が必要ですが、現実は地域によって取り組みに差が生じています。今後は、より多くの子どもたちにICTやタブレットが行き渡るように、さらに導入を加速していくことが望まれるでしょう。

 

わか子:う〜ん、そうですよね。ただ、うまく授業できるか正直不安です…。

 

稲葉さん:現場の先生たちと話をしていると、多くの先生が今の時代、ICTを取り入れていくことが重要だという認識をお持ちです。ゆえに一人で何もかもやろうとせず、多くの先生や学校全体でコミュニケーションを取りながら進めていってほしいですね。

例えば、若い教員はICTや機器に慣れていますが、授業の経験はまだまだ。教材もどのようなものを作っていいのか分からないこともあるでしょう。そうした時に、ベテランの教員と若い教員が一緒になって、互いの得意な部分を活かしながら進めてほしいと稲葉さんはいいます。

わか子:そっか!私がICT担当になったからって、一人でなにもかも進めていくわけじゃないんだ! としお先生もいるし、周りにはほかにベテランの先生もいる。学校全体の取り組みとして、今の子どもたちにはICTが必要だという共通認識を、みんな持ちながら進めていこう!

 

 

 

次回は、タブレット1人1台体制についてさらに詳しく聞きながら、小学校で必修化されるプログラミング教育についても稲葉さんに話を聞きました。お楽しみに!

 

 

 

 

 

<プロフィール>

わか子:小学校教員3年目。教員という職業に少し慣れてきたところで校長先生からICT担当に任命される。子どもたちのためにICT環境を整えようと奮闘中。スマートフォンの操作がとても素早く、指が消えて見える程。

 

としお:小学校教員25年のベテラン。趣味はコンピュータ製作で、ICTにも詳しく、各地に専門家の知り合いがいる。メガネは伊達である。

 

校長先生:わか子ととしおが勤める学校の校長先生。時代の流れに焦りを感じつつも、丁寧にICT環境を整えようと考えている。ベテラン、若手問わず、教員たちの意見を集め参考にしている。瞳が綺麗。

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