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第5回は学校のWi-Fi整備やそのメリットについて学んだわか子。その後、わか子はとしお先生に協力してもらい、教育委員会から借りたタブレット端末を学校内のネットワークにつなげて授業で使い始めた。そんなある日、タブレットで写真を撮ったりムービー撮影したりしていたわか子の様子が何だかおかしい。どうやら、せっかく撮ったデータが保存できず、どうしたらいいのか迷っているようです。どうするわか子?

クラウドってなに?

わか子:としお先生、タブレットで写真や動画を撮りすぎたのか、突然データが保存できなくなってしまいました・・・。こういう時ってどうすればいいですか?

 

としお先生タブレットのストレージ容量がいっぱいになってしまったようだね。パソコンや学校のサーバにデータを移すこともできるけど、今後のことも考えると、わか子先生はクラウドの使い方を知っておくといいね。

 

わか子:クラウド? なんですか、それ? 

 

としお先生:あれれ? わか子先生はスマートフォンをよく見ているから、クラウドサービスはいつも使っているはずなんだけどなぁ。

 

わか子:はぁ…そうですか。でも、いつものことですがあまりよくわからずに使っているのです(汗)。教えてください。

 

クラウドとは「クラウドコンピューティング」の略で、ソフトウェアやデータなどをインターネット経由で利用するコンピュータの利用形態のことをいいます。例えば、パソコンやスマホでメールをするときは、端末にインストールされた「メールソフト」や「メールアプリ」を利用する場合と、WEBブラウザにアクセスしてWEBからメールを利用する2通りの方法があります。このうち、後者がクラウド(の利用)になります。

 

前者はネットにつながっていなくてもメールの閲覧や作成が行える半面、決まった端末でしか送受信ができないのに対して、後者(クラウド)の場合はスマートフォンやタブレット、パソコンなど、どの端末からでもWEBにアクセスすればメールの送受信ができ、そのデータが端末には残らないので、端末をなくしたり壊したりしてもデータが失われないのが特徴です。

 

としお先生:ちなみにクラウドとは英語でいう、「雲(Cloud)」という意味だよ。どこからでもコンピュータやサーバを意識せずに使えるから、雲にたとえてクラウドと呼んでいるんだ。そうだなぁ、もう一度総務省の御厩さんに話を聞きに行ってみようか!

 

こうして、としお先生とわか子が訪れたのは前回と同様、総務省 情報流通行政局 情報通信利用促進課長 御厩祐司(みまや ゆうじ)氏です。今度は学校におけるクラウドの利用について、そのメリットを聞いてみました。

総務省 情報流通行政局 情報通信利用促進課長 御厩 祐司氏
総務省 情報流通行政局 情報通信利用促進課長 御厩 祐司氏

教育機関におけるクラウドのメリットとは?

御厩さん:教材やデータについては、わか子先生のように自分の端末やUSBなどの外部メモリに保存したり、校内や教育センターなどに設置したサーバに専用ネットワークを経由して保存したりするほか、最近では、企業が管理する外部サーバにインターネットを経由して保存するケースも増えてきました。自前でサーバを用意せず、企業が提供するクラウドサービスを利用するわけですね。

※出典:総務省クラウド導入ガイドブック2015より 外部ページへ移動します

わか子:う~ん。自前でサーバを用意するのとクラウドサービスを利用するのって、どんな違いがあるのですか?

 

御厩さん:自宅に自ら金庫を備え付ける場合と、銀行の貸金庫を利用する場合との違いにたとえてみましょう。貸金庫の場合、利用料を払っていく必要はありますが、他には何の負担もなく、銀行が厳重な警備下で保管してくれます。預けるものが増減しても、利用スペースを増減させるだけ。負担が少なく、安全・安心で柔軟な利用が可能です。ただし、貸金庫の場合、預けたり受け取ったりする場所や時間は限られますが、クラウドの場合、場所や時間、端末を問わずにデータをやりとりすることができ、さらに利便性が高いといえるでしょう。

 

わか子:なるほど!タブレットにデータを保存できなくなってしまった私は、自宅の小さな金庫に貴重品を詰め込んでいたようなものなのですね。

学校でクラウドを利用するメリットは「Savable」「Secure」「Scalable」「Seamless」という4つのSに整理できます。

 

☁Savable――コストの削減。サーバの調達や維持管理、運用に関わる人的コストの削減

☁Secure――サーバの保守・管理の負担軽減。非常時にも業務の継続が可能

☁Scalable――拡張性や柔軟性が高い。児童数や利用量の変動に柔軟に対応できる

☁Seamless――時間や場所、端末などに制限されず活用できる

 

例えば、自前でサーバを用意する場合は、サーバ機器やネットワーク環境を調達したり、システムを維持・管理するための人材を揃えたりしなければなりません。またトラブルに対応したり、子どもの数やデータ量の変化に応じてサーバを拡張したりするなどの追加作業も発生します。つまり現場への負担が大きいのです。これに対してクラウドの場合は、企業が構築し、保守管理しているサーバを利用するだけなので、初期コストや維持費、マンパワー等の負担軽減につながります。さらにクラウドはICTの専門家が管理しているため、セキュリティ面でも安心度が高いといえます。

クラウド利用先進校における活用事例

御厩さん:総務省では文部科学省と連携して、このようなクラウドのメリットを活かした「教育クラウド・プラットフォーム」の構築を目指して実証研究を進めてきました

 

わか子:教育クラウド・プラットフォーム!?

 

御厩さん:簡単にいうと、多様な教材やツールなどの教育用コンテンツを揃え、いつでもどこでも、パソコンでもタブレットでもスマホでも利用できるシステムのことです。国内の小・中・高・特別支援学校112校と世界16カ国の日本人学校等で、このプラットフォームを活用した実証研究を行ってきました。

総務省の先導的教育システム実証事業では、文部科学省と連携しつつ、平成26年度から28年にかけて「教育クラウド・プラットフォームのあり方の検証」を進めてきました。このプラットフォームには、一斉授業や協働学習、個別学習、コミュニケーションなどに活用できる教材(先生の自作教材を含む)やツールが揃えられており、インターネット経由でアクセスし、ログインして利用します。学習記録も蓄積され、今後の学習・教育に活用することが可能です。

わか子:授業でタブレットを使うとき、どんなコンテンツが使えるのかなあと思っていたので、それらが一通り揃っているのは便利ですね。

 

御厩さん:授業中だけでなく、家庭学習や課外活動の際でも、パソコンやスマートフォン、タブレット等からアクセスし、教材やツール、データを利用することが可能です。

 

わか子:なるほど。クラウドの場合はどの端末からでもアクセスできますからね! ちなみに今、この研究の実証校になっている学校は、どのようにクラウドを活用してきたのですか?

 

御厩さん:実証校の多くに、ある傾向が見られました。最初は、授業ではなく、朝学習の時間に、漢字や計算などの基礎学力向上にドリル教材を活用するパターンが多いのです。そうやって児童生徒や先生がクラウドの活用に慣れてくると、授業の中でも使われるようになっていきます。特に、児童生徒からオンラインで提出された意見を電子黒板に比較表示するなど、データやコンテンツを素早く配付したり共有したりですることが可能な「授業支援ツール」の需要が高まっていくのです。

 

わか子:そういえば、先輩の先生が授業支援ツールを使うと、普段手を挙げない子どもでも積極的に意見を出してくるって話していました。

 

御厩さん:授業での活用が進んでくると、次は学校のタブレットを持ち帰ったり、家のパソコンを利用したりして、家庭学習でもコンテンツを利用するようになっていきます。学校での続きを家で、家での続きを学校で、というようにシームレスに学びを展開していけるのもクラウドのよさですね。また、先生は児童生徒がいつ、どんなコンテンツで学んでいるのか、学習履歴をリアルタイムで確認できます。教室外での学習状況を簡単に把握でき、個に応じた指導の充実に役立つわけです。

 

わか子:子どもたちにとっても、私たち教員にとっても、クラウドの活用が効果的であることが、よくわかりました!

 

御厩さん児童生徒や先生がクラウドを円滑に活用していくためにも、各自治体・学校には、前回お話ししたWi-Fiや超高速インターネット接続環境の整備を進めていただきたいですね。

御厩さんの話を聞いてクラウドのメリットを理解したわか子。でも、いざ子どもたちに使わせるとなると、インターネットを利用することから少々不安があるようです。次回は、そんなわか子が「情報モラル」や「情報リテラシー」について学びます。

プロフィール

わか子:小学校教員3年目。教員という職業に少し慣れてきたところで校長先生からICT担当に任命される。子どもたちのためにICT環境を整えようと奮闘中。最近、自分は左投げ右打ちが適している事に気付いた。

 

としお:小学校教員25年のベテラン。趣味はコンピュータ製作で、ICTにも詳しく、各地に専門家の知り合いがいる。花粉の季節が終わったら、伊達メガネを卒業しようと考えている。。

 

 

 

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